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怒りのスピーチをしたNBAヘッドコーチから学ぶ…CEOが銃規制問題に対してできること

テキサス州ユバルデで起きた小学校銃乱射事件について、感情あらわに語るゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーヘッドコーチ。

テキサス州ユバルディで起きた小学校銃乱射事件について、感情あらわに語るゴールデンステイト・ウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カー。

Warriors

  • テキサス州ユバルデの小学校で、21人が殺害される銃乱射事件が発生した。それを受けてNBAゴールデンステイト・ウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カーが感情をあらわにしてスピーチを行った。
  • 専門家はビジネスリーダーには銃の問題について発言する責任があると述べている。
  • CEOたちにはそのような議論に参加する絶好の機会がある。そしてカーのスピーチは重要な示唆を与えてくれた。

「いつになったら行動を起こすんだ!」とNBAゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カー(Steve Kerr)ヘッドコーチはテーブルを叩いて叫んだ。

「もううんざりだ。打ちひしがれている家族にお悔やみを言うことにも、もううんざりだ。言い訳を聞くのもうんざり…申し訳ないが、黙祷をささげるのにもうんざりしている。もう十分だ!」

カーは2022年5月24日、ダラスで試合前の記者会見の冒頭で「バスケットボールの話をするつもりはない」「バスケットボールに関する質問はどうでもいい」と言った。その代わり、明らかに取り乱した様子のカーは、同日にテキサス州ユバルディの小学校で19人の児童と2人の大人が殺害された銃乱射事件に対する怒りを表明した

これについて専門家たちは正しい行動だと述べている。「CEOたちは、銃の問題は人類共通のものであり、皆が責任を持つべきだという考えのもとで発言していくべきだ」とバージニア工科大学の教授でトラウマカウンセラーのジェラード・ローソン(Gerard Lawson)は述べている。

「カーコーチはその良い例を示した」

この2年間、ジョージ・フロイド(George Floyd)の死、LGBTQの権利、人工妊娠中絶など、議論を呼ぶ問題に関して、リーダーたちは発言を迫られてきた。銃規制の問題が多くの人の関心を集める中、銃規制強化への支持を表明しようとするCEOは、議論に参加する絶好の機会を得ており、カーのスピーチは重要なヒントを与えてくれている。

2007年にバージニア工科大学で発生した銃乱射事件でのカウンセリングで重要な役割を果たしたローソンと、カーネギーメロン大学教授で危機管理と政治コミュニケーションを専門とするステイシー・ローゼンバーグ(Stacy Rosenberg)は、今回の銃乱射事件を受け、CEOは声を上げ、共感を持って人を導き、意味のあるアクションをとる責任があると述べている。

声を上げる

多くの人は、政治的リーダーよりもCEOの方が信頼できると考えているとローソンは言う。CEOの方が政治家よりも効果的に世論に影響を与えるとする調査結果もある。

記者会見でカーは、議員たちが何の行動も起こさないことを非難した。

「(共和党上院議員の)ミッチ・マコーネルに聞きたい。暴力や、学校・スーパーマーケットでの銃乱射事件に対して何もしようとしないすべての議員に聞きたい。子どもたちやお年寄り、教会へ通う信者の命よりも自分の権力を優先するのか。どうしてもそのように見えてしまう。毎週こうしたことが起こっているのに」

2019年、相次ぐ銃乱射事件を受け、Uber、DoorDash、Airbnbなど145社のCEOが、身元確認の拡大や銃規制の強化を促す書簡を上院に送った。「CEOたちが自らのプラットフォームを使って『こうやって対処する』と述べるのは、彼らが責任を持ってやるべきことだ」とローソンは言う。

共感をもって導く

カーの父親は、1984年にレバノンのベイルートで起きた銃撃事件で殺害されており、その経験が銃規制に対する彼のスタンスに影響を与えているのかもしれない。「カーのスピーチのように、経験をもとに、心から話すことは効果的だ」とローゼンバーグは言う。

ビジネスリーダーは、ユバルディの銃乱射事件をきっかけに多くの従業員や株主が抱える過去のトラウマが引き出される可能性があることに配慮すべきだと、ローソンは付け加えた。

「トラウマに配慮した職場環境を作るには、人々が経験してきたトラウマの深さと広さを理解しなくてはならない。言いづらいことでも言えるような職場の雰囲気にすることが大切だ。また、今回のようなことが原因で精神状態が不調になった場合には、それをケアするように促すことも大切だ」とローソンは述べている。

意義あるアクションを起こす

専門家らによると、ビジネスリーダーは銃規制について単に発言するだけではいけないという。彼らは有意義なアクションを起こす必要がある。長年、銃規制強化を訴えてきたカーは、銃器購入時の身元調査を厳格化する法案を支持していた。その法案は2021年に下院を通過したものの、上院は通過できなかった。

ユバルディの銃乱射事件の数時間後、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は国民に向けた演説で、銃規制の強化を推進することを誓った。同じころ、テキサス州の共和党は、いかなる銃規制も受け入れないと明言した。銃による暴力や銃に関する政策に対するアメリカ人の考え方が、依然として党によって大きく異なることを思い知らされることになった

企業は、銃の所有に関する規制を行っていない州から、そうでない週に移転することで、銃規制に影響を与えることができるとローゼンバーグは言う。

「確かにそれは『言うは易く行うは難し』だ。工場の場所を選び、本社を選ぶということは短期的には簡単に実現できるものではないが、長期的なアクションとして検討されるべきだ」

企業が有意義な短期的アクションと長期的アクションを区別する中で、ビジネスリーダーがすぐにできることの1つは、自分たちのスタンスにそぐわない金融投資からの撤退だとローソンは言う。

「どこに投資するかを選ぶことによって、目標は簡単に達成できる。企業は一般人よりもはるかに潤沢な資金を持っているので、銃器・弾薬メーカーへの投資を一切行わないようにすることが、アクションにつながるのだ」

[原文:'I am tired of the moments of silence. Enough!' 3 lessons CEOs can learn from Warriors Coach Steve Kerr's viral speech on gun control.

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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