人材派遣会社によると、ハイブリッドワークはチームによって意味が異なるという。
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- Insiderは世界的な人材派遣会社2社の幹部からハイブリッドワークや大退職時代について話を聞いた。
- 彼らはハイブリッドワークと柔軟性を混同するべきではないと述べた。
- 意思決定は画一的ではなく、従業員や企業のニーズに応じて行われるべきだという。
世界的な人材派遣会社であるアデコ・グループ(Adecco Group)とマンパワーグループ(ManpowerGroup)は、ハイブリッドワークを一般化することのリスクについて警告した。
スイスのダボスで行われた世界経済フォーラムでのInsiderのインタビューで、両社の幹部は、ハイブリッドワークは万能ではなく、実施方法に「正しい答え」はないと語った。
マンパワーグループで北欧地域のプレジデントを務めるリカルド・バーベリス(Riccardo Barberis)は、求職者は柔軟性を求めているため、もし企業が職場のルールをコロナ前に戻せると思っているなら人材を失うことになるだろうと語った。
彼は、労働時間を自宅とオフィスに分けるハイブリッドワークについて、柔軟性と混同するべきではないと話した。「柔軟性とは自分の仕事やミッションをいかに柔軟に管理できるかということであり、ハイブリッドモデルはワークライフバランスや健康に関することだ。これらのテーマは異なっている」とバーベリスはダボスで語った。
バーベリスは、労働者が求めることについてマンパワーが行った最新の調査では、「求めていることはそれぞれ異なる」のが明らかになったと付け加えた。
「ある女性はお金がほしい。なぜなら、自立や自由を求めているからだ」とバーベリスは語った。
「あなたが50歳以上なら、今の上司にうんざりしていて、優れたチームスピリットや優秀なリーダーを求めているかもしれない。若い世代なら、柔軟性や社会的影響、価値観の共有などを求めるだろう。これこそが、大退職が起きた理由だ」
「大退職」は2021年に始まった経済的なトレンドで、多くの労働者が退職を決断し、その理由の大半は労働環境に満足しなかったことやよりよい仕事を求めたことだった。
アデコグループのチーフフィナンシャルオフィサーでチーフエコノミストのコーラム・ウィリアムズ(Coram Williams)は「大再評価(Great Reevaluation)」というべきかもしれないとInsiderに語った。
「大退職は大量の人々が労働から離れて戻らないことを意味するが、そうではない」とウィリアムズは語った。
労働市場への参加率はパンデミック前に比べて低いものの、上昇してきているという。
「本当に起きているのは、人々が自分たちの仕事について再考していることだ。労働市場への参加について再考しているわけではない」
スイスを拠点とするアデコ・グループは、世界第2位の人材派遣会社だ。ウィリアムズはinsiderに、ハイブリッドワークの一般化は難しく、企業は何がベストか決断する際、多くの要因について考慮しなければならないと語った。
「手で行う作業に限って言えば、バーチャルでは不可能だ。また、特定の分野や特定の職務では、オフィスにいることが業務の進め方として非常に重要な要素になる」とウィリアムズは述べた。
「つまり、一つのパターンには収まらない。我々が指摘したいのは、オフィスを運営に柔軟性を組み込む方法について考える必要があるということだ」
企業や政府の職場は、従業員への柔軟性を取り入れる方法を模索しているところで、中には妥協点を見出した企業もある。だが多くの組織はリモートワークの方針について明確ににしておらず、もしそれを強硬に決めたなら人材を失うリスクがある。
「正しい答えはない。なぜなら、地理的なことや従業員、事業などの要素について考える必要があるからだ」とウィリアムズは言う。
「誰もが『答えは何なのか』と詰め寄ると思う。しかし答えは、一つではない。事業内容や従業員、それを構成する世代、管理者のタイプに応じて、納得できることは何か考えなければならない」
[原文:There's no 'right answer' on hybrid working, leaders at world's top staffing firms warn]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)