マネーのプロ直伝「FIREを実現するお金の計算式」5つのポイントを徹底解説

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早期退職を実現するためには、お金のルールを学んで実践することだ。

Shutterstock/Sumala Chidchoi

早期退職に憧れる人は多いものの、仕事を辞めたいと強く望むだけでは叶わない。ピンチを乗り切るための柔軟な資金計画や、不測の事態への万全な備えが必要だ。

40代で退職し、50代、60代、70代でお金が尽きたからといって、簡単に会社に戻れるわけではない。また、来たるべき大不況や今後ますます増えていく医療費への対策はどうすればいいか。

これらを踏まえ、早期退職に必要なお金はどう計算すればいいのだろう、と多くの人が考えている。必要なのは具体的な金額か、年間の支出額か、それとも別の何かなのか。お金の専門家に話を聞いた。

1. 25倍ルールの活用

金融系メディアサイト『Super Money』の編集長、アンドリュー・レイサムは、早期退職に必要な資金を計算する方法として、25倍ルールがいいのではないかと言う。計算方法は至ってシンプルで、引退後に必要と思われる年間支出を25倍するだけだ。

「例えば、退職後に年間8万ドル(約1000万円)必要だと思ったら、200万ドル(約2億5000万円)貯めればいいのです」

25倍ルールでは年間の資産取り崩し率が3%を想定しているので、保守的な人なら33倍ルールにしてもいい、と付け加える。33倍ルールの場合、年間8万ドルの出費に対して、退職前に264万ドル(約3億3000万円)を貯めておく計算になる。

2. 4%ルールの活用

ファイナンシャルプランナーのエレナ・レディジーナによると、30年以上の老後資金を計算する方法として4%ルールも広く受け入れられるという。

4%ルールを用いると、退職までに180万ドル(約2億2000万円)を貯蓄した人は、年間7万2000ドル(約900万円)使えることになる。

しかし、この方法は絶対に安全なものではなく、特に40年以上働くつもりがない場合、調整が必要になるかもしれないそうだ。

「いまの状況を考えると、各自が期待収益と個々の状況を踏まえたうえで、取り崩し率を下げたほうがいい」と言う。

「例えば早期退職者は、将来の取り崩し率が3~3.5%になるよう努力するといいでしょう」

3. 退職後は現在の収入の80%で暮らす

退職後に毎年いくら必要になるか、正確に予測するのは難しいかもしれない。Pillar Wealth Managementのファイナンシャルアドバイザー、ハッチ・アシューによると、目安として現在の収入の80%程度あれば、生活水準を維持できるという。

この計算式は、退職後の出費をある程度減らすことを前提としている。

「退職に向けた貯蓄をする必要はなくなるし、通勤代ほか、仕事関連の出費もなくなるはずです」

4. インフレを考慮する

Marathon Wealth Managementのファイナンシャルアドバイザー、メリンダ・サタリーは、顧客の早期退職を手助けする際には、主に2つの要素を考慮するという。毎月の出費と、社会保障や年金など退職後に得られる安定した収入の金額だ。

さらに、早期退職に必要な資金の有無を判断する際には、将来価値、インフレ、収益率を理解しておくことも重要だという。

例えば、将来の支出は間違いなくインフレの影響を受けることから、今日の貨幣価値ではなく、その分を考慮した計算式を用いる必要がある。また年利についても、つまり退職の準備が整うまでにどれだけお金が増えるかということも、現実的に考えなければならない。

退職前と退職後の年利を7%、毎年のインフレ率を3%と想定すれば、大半の人は退職後に必要とされる理想の金額に近づけるそうだ。

5. ニーズを過大評価する

Good Financial Centsのファイナンシャルプランナー、ジェフ・ローズは、早期退職を希望する顧客と仕事をした経験から、実際に必要な金額を過小評価する人があまりに多いと指摘する。

「退職後の時間が長くなれば、日々のニーズに影響を及ぼす要因も激増します」と言う。そうした要因には、インフレ、医療問題、市場変動などが含まれる。

そのため、目標の「退職資金」に25%上乗せすることを提案する。つまり、4%ルールにのっとって200万ドル(約2億5000万円)の貯蓄を目指す場合、250万ドル(約3億1500万円)貯めるべきだというのだ。

また、45歳未満で退職するなら、自分が必要だと思う額の30~50%多い金額を目指すべきだとも述べている。

[原文:5 expert tips to calculate the 'retirement number' that will let you leave the workforce for good

(翻訳・片桐恵理子/LIBER、編集・小倉宏弥)

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