日本でも一部地域でアップルマップの「拡張現実による徒歩経路」が利用できるようになった。
撮影:小林優多郎
アップルが開発、提供している「マップ」(いわゆる「Apple Maps」)で、AR(拡張現実)を使った徒歩の経路案内が日本でも使えるようになった。
iPhoneのサポートページには、「iPhoneのカメラと拡張現実を使用した、どこで曲がればよいかがわかる臨場感あふれる徒歩での経路案内」とある。
どんな使い心地になるのか、早速、試してみた。
2018年発売の「iPhone XS/XS Max/XR」以降に対応、対象地域は一部
AR経路案内は、対応モデルと対応地域が限定されている。
対応モデルは2018年発売の「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」以降の機種。
マップのサポートページにある対応地域に日本はまだ記載されていないが(2022年5月31日現在)、SNSや各種報道によると東京、大阪、京都、名古屋、福岡、横浜などの地域で利用できるようになっているようだ。
しかし、対応になっている地域すべての場所でAR経路案内が使えるわけではない。
筆者は東京・板橋区に住んでいるが、自宅付近のほか、一番の繁華街である最寄り駅周辺でも利用できなかった(2022年5月30日現在)。
AR経路案内が使えるかどうかは、iPhoneの「マップ」アプリを起動して、徒歩の経路案内を利用するときに専用アイコンが出現することで判断するしかない。
AR経路案内ができる場所では、右上に専用アイコンが出現する。
画像:筆者によるスクリーンショット
今回は東京・池袋駅東口周辺からサンシャイン水族館までのルートを検索して歩いてみた。
池袋東口はそれほど複雑な街ではないが、大きな交差点があり進む道を間違えると遠回りになる。
また、首都高の高架下、サンシャイン前も分かりにくい。どんな風にルートが表示されるのかをチェックした。
建物をスキャンすると、カメラの映像に「矢印」が出現
まず、iPhoneの「マップ」アプリで目的地を設定し、経路案内を選択。
すると、AR経路案内に対応した場所であれば、画面右上の地図選択、方位マークの下に、透明な立方体のようなアイコンが出現する。これがAR経路案内のアイコンだ。
かんたんな説明が表示されるので「OK」をタップ。ルートがクルマや電車など、徒歩の経路になっていなかったら、人型のアイコンをタップして徒歩の経路を表示させる。
複数の経路が提案された場合は、希望する経路を選び「出発」をタップする。
行きたい場所を決めて徒歩の経路を検索し「出発」をタップ。徒歩経路になっていない場合は、人型のアイコンをタップする。
画像:筆者によるスクリーンショット
ここで通常だと、カーナビのように進行方向に向かって地図が回転し、距離や曲がる方向などが表示される。
だが、AR経路案内の場合は、まず建物をiPhoneのカメラでスキャンすることから始まる。
「道路の反対側にある建物をスキャンしてください」と指示されてカメラが起動するので、正面や、やや左右に見える建物にカメラを向ける。
建物を認識することで、ユーザーの位置や方向などを地図とマッチングさせているのではないだろうか。
建物をスキャンするように指示される(画像左)。スキャンは数秒で終わり、矢印が表示される。これは小さな矢印(画像右)。
画像:筆者によるスクリーンショット
建物のスキャンが終わると、丸で囲まれた小さな矢印と、道路の名称や大きな矢印が表示されるはずだ。
最初、筆者は小さな矢印が進行方向を示しているものと勘違いして、狭い場所をウロウロと歩き回ってしまったのだが、これは大きな矢印のある方向を案内するもので、進行方向は大きな矢印が示す。
大きな矢印が見えない場合は、小さな矢印の方向にiPhoneを動かしてみるといい。このときiPhoneは垂直に、やや高めの位置で掲げるのがおすすめ。
慣れるまで矢印がなかなか見つけられないことがあるので、知っている場所で予習しておく方が焦らずスムーズに使えると思う。
交差点で進むべき方向がしっかりわかる
慣れない使い勝手で周囲をウロウロしていたら、大きな矢印と道路名を確認。この大きな矢印に従って歩いて行く。
画像:筆者によるスクリーンショット
大きな矢印が見つかって進むべき道や方向が決まったら、画面下部に表示される距離を確認して歩いていく。
交差点や曲がり角でしっかりと方向、道が指示される。
画像:筆者によるスクリーンショット
歩いている最中も「こちらの方向を見てください」と小さな矢印がと頻繁に出現するが、これに惑わされないように。
この小さな矢印は大きな矢印が見える方向を案内しているので、直線なら見る必要はなし。
画像:筆者によるスクリーンショット
方向と道が決まったら距離を確認しつつ歩き、交差点や曲がり角で大きな矢印をチェックするくらいがいい。
経路を表示するには「立ち止まるように」という注意が出ることもあり、歩きスマホを防止する工夫もされている。
わかりにくい首都高の高架下も、どの道を選べばいいかはっきり分かる。
画像:筆者によるスクリーンショット
歩きスマホを防止する工夫もある。
画像:筆者によるスクリーンショット
目的地が近づくとアイコンが見えてくる。今回は水族館を目的地にしたのでイルカのアイコンが表示されていた。
目的地に近づくとアイコンはどんどん大きくなり、到着時は画面内に収まらないほど大きくなった。
目的地に近づくとアイコンが見えてくる。
画像:筆者によるスクリーンショット
目的地のサンシャイン水族館に到着した。
画像:筆者によるスクリーンショット
アップルのマップアプリのAR経路案内は、最初、大きな矢印が進行方向を示すことを理解するまで少し戸惑ったが、コツをつかむと進む方向がしっかり把握できてわかりやすい。
交差点で進む方向が現実の風景に合わせて矢印でしっかり指示され、安心して進んでいくことができる。
初めて訪れる場所はもちろん、大きなビルから出た場合に便利に使えそうだ。
ビルによっては出入り口が複数あり、入ったときとうっかり別の出入り口から出てしまうと帰り道がわからなくなることが、方向音痴の筆者にはよくある。
そんなときにこのAR経路案内は便利に使えそうだ。周囲の様子をiPhoneの画面越しに見られるので、地図に没頭して人にぶつかることも防げる。
ただ、対応地域がまだまだ少ない。利用可能地域の拡大に期待したい。
自転車ルートも検索可能に
「自転車」のアイコンをタップしてルート検索する(画像左)。坂や混雑している道路を避ける場合は、「坂道」「交通量の多い道路」のスイッチをオンにする(右)。
画像:筆者によるスクリーンショット
このAR経路案内のほかに、マップアプリでは自転車の経路も検索できるようになった。
複数の提案から好みの経路を選ぶことができる。また、坂道や交通量の多い道路をなるべく通らないルートも検索できる。