ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2022年5月16日、モスクワのクレムリンで開催された集団安全保障条約機構(CSTO)首脳会議で。
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- EUがロシア産原油の輸入禁止で合意したことを受けて、ロシアは「他の売却先を探す」と述べた。
- 欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は5月30日にこの措置を発表した。
- ウクライナは、EU諸国がロシアの天然ガスや石油を購入しないように働きかけている。
欧州連合(EU)首脳がロシア産石油の輸入禁止で合意したことを受け、ロシアは2022年5月31日、「他の買い手を探す」と述べた。
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長は5月30日、EUは2022年末までにロシアからの石油輸入の約90%を削減すると発表した。これは、ウクライナで進行中の戦争に対する制裁の最新のものだ。
ロシアのウィーン国際機関代表部常駐代表のミハイル・ウリヤノフ(Mikhail Ulyanov)はこれに応えて「彼女が昨日言ったように、ロシアは他の買い手を見つけるだろう」、EUは「良い状態ではない」と、嘲笑を含んだツイートを投稿した。
世界トップの原油生産国であるロシアは、石油と天然ガスからの収入に大きく依存している。ヨーロッパはエネルギー需要をこれらに依存しており、ここ数カ月、EU圏はロシアの石油に大金を払っている。
ウクライナ政府は、ロシアに厳しい制裁を加えるよう西側諸国を説得しており、EU諸国にはロシアのガスや石油から距離を置くよう働きかけている。
欧州理事会のシャルル・ミシェル(Charles Michel)議長は5月30日、EUの輸入禁止が「直ちにロシアからの石油輸入の2/3以上に影響を与え、戦争のための巨大な資金源を断つ」とツイートしている。
しかし、この禁輸令には、ハンガリー、スロバキア、チェコの3カ国がロシアの石油を買い続けることができるという特別措置も含まれており、クレムリンへと金が流れ続けることになる。
しかし、2月末のウクライナ侵攻以来、ヨーロッパや西側諸国が次々と実施しているロシアに対する徹底的な経済制裁は、経済学者たちにロシア経済が「崩壊」しつつあると指摘させることになった。
フォン・デア・ライエン委員長は先週、こうした主張を繰り返し、西側の制裁がロシア経済を「消耗」させ、ウクライナ東部のドンバス地方でウクライナ軍に対して激しい戦いを展開しているプーチン大統領の軍隊の行動を無駄にさせていると断言していた。
[原文:Moscow says it will 'find other importers' after EU leaders agree to ban Russian oil]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)