アルゴAIの無人自動運転車。
Argo AI/PRnewswire
- テキサス州オースティンとフロリダ州マイアミのドライバーは、無人の自動運転車と道路を共有することになる。
- ピッツバーグにある自動運転車を手掛ける企業アルゴAIが、新しい自動運転車両が走行したことをを5月17日に発表した。
- アリゾナ州フェニックスでは、2022年3月にライバル企業ウェイモによる完全無人タクシーが目撃されている。
自動運転車を手掛ける企業アルゴAI(Argo AI)は、テキサス州オースティンとフロリダ州マイアミで、運転席にドライバーがいない完全自動運転車が走行したと2022年5月17日に発表した。
これによってオースティンとマイアミは、都市部での完全無人自動運転技術の早期導入に成功した都市になった。
ペンシルバニア州ピッツバーグに本社を置くアルゴAIは、現在、他のアメリカの4都市(ワシントンDC、ピッツバーグ、デトロイト、パロアルト)と、ドイツの2都市(ミュンヘン、ハンブルク)でも独自の自動運転プラットフォームをテストしている。同社は、LiDAR、センサー、マッピングソフトウェアから構成される自動運転技術をフォード(Ford)とフォルクスワーゲン(Volkswagen)の車両に搭載し、両社から支援を受けている。
アルゴAIの車両を使ったサービスを定期的に利用するユーザーがどれだけいるのかは不明だが、同社によると、その「サービスの対象範囲」はアメリカの200万人に及び、最終的には1500万人を超える顧客を獲得することを目標にしているという。
「初日から最も運転が難しい場所で、それも複数の都市で取り組むことにしたのは、顧客需要の高い場所だったからだ」とアルゴAIのCEOで創業者のブライアン・サレスキー(Bryan Salesky)は声明で述べている。
オースティンとマイアミの完全自動運転車は、タクシー配車サービスを手掛けるリフト(Lyft)やウォルマート(Walmart)の配送サービスと提携し、無人運転のタクシーと食料品の自動配送の一部を請け負う予定だ。
2022年は自動運転車を手掛ける複数の企業が、郊外からアメリカの主要都市に自社の無人運転技術を導入する年になっている。アルゴAIのライバル企業であるウェイモ(Waymo)は、アルファベット(Alphabet)傘下のテック企業で、無人配車サービスの分野をリードし、躍進を遂げている。
2022年3月、ウェイモはアリゾナ州フェニックスの市街地でアーリー・ライダー・プログラム(早期利用の試験プログラム)の顧客のために、またカリフォルニア州サンフランシスコではウェイモの従業員のために、完全自動運転車の準備が整ったことを発表した。ウェイモの無人タクシーサービスは、数年前からフェニックス近郊のイーストバレーで利用することができる。
また、自動運転車の開発を手掛ける企業のクルーズ(Cruise)の最高技術責任者で共同設立者のカイル・ヴォクト(Kyle Vogt)によると、同社は2022年2月、完全無人運転車をサンフランシスコで一般公開した。
自動運転車は大々的に宣伝される一方、大きな批判も浴びてきた。2018年、アリゾナ州でウーバー(Uber)の自動運転車が歩行者をはねて死亡させた事故では、安全確保のために運転席にいたドライバーが過失致死で起訴された。またウーバーは国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board)から責任の一端を問われた。その後、ウーバーは自動運転技術の開発を完全に停止した。
アルゴAIは、安全認証機関のテュフズード(TÜV SÜD)と協力し、自動運転技術の評価を行ったと述べている。テキサス州の法律では、自動運転車には録画カメラの設置が義務付けられており、衝突事故や交通違反が発生した場合、メーカーが責任を問われることがある。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)