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機関投資家は仮想通貨をなぜ無視できないのか。182兆円の資産運用会社が期待する4つの「革新的な関連技術分野」

ビットコイン

生命保険大手プルデンシャルのPGIMは、ビットコインについては弱気だが、仮想通貨のエコシステムを発達させてきた技術については投資のチャンスととらえている。

Filip Radwanski/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

生命保険大手プルデンシャルのPGIM(ピージム)は、1.4兆ドル(約182兆円、1ドル=130円換算)の運用規模を誇る資産運用部門だ。そのPGIMが先ごろ、仮想通貨業界の状況に関するレポートを発行した。このレポートは、仮想通貨に全く前向きではない内容だ。

広範にわたる調査に基づいた同レポートでは、機関投資家がなぜ仮想通貨に投資し始めたのか、仮想通貨にまつわる投資理論についてなぜ懐疑的なのかを説明している。

PGIMは、仮想通貨が法定通貨を代替することはしばらくない、と結論づける一方で、将来投資家にマーケットを上回るリターンをもたらすセグメントを4つ挙げている。

何が起こっているのか

PGIMは、仮想通貨があまりにも大きくなりすぎて機関投資家が無視できなくなった背景を5つ挙げる。

2020年3月、ビットコインは4904ドル(約63万7500円)まで暴落し、その1年後の2021年3月にはピークを迎え、6万31ドル(約780万円)となった。この急上昇がさらに注目され、投資家が集まるオンライン掲示板の参加者からイーロン・マスクに至るまで、誰もが仮想通貨の話をしているように見えるほどだった。

「ビットコインで一晩にして億万長者になった人たち」の話を聞いた投資家たちに「乗り遅れることへの恐怖」が生まれ、これがさらに仮想通貨の値を吊り上げてしまったとPGIMのアナリストたちは述べている。

また、PGIMは一般的な金融機関に対する不信感も仮想通貨への投資理由として挙げている。実際、2020年にAxiosとIpsosがアメリカ人を対象に行った調査では、連邦準備制度理事会(FRB)を信頼していると回答したのは34%に過ぎなかった。加えて40年ぶりの高インフレ率により、多くの人がインフレ対抗策として、そもそも入手が容易ではないビットコインなどの仮想通貨に目を向けた。

AAVEや今や悪名高いLunaなど、ステーキングにより高い報酬が得られる仮想通貨のキャリートレードが、情報通の投資家たちに儲けるチャンスをもたらした。

もう一つのチャンスは「市場の乱高下」によるもので、これは仮想通貨の価格が乱高下することにより、取引市場によって仮想通貨の価格差が生じる場合に発生する。例えば、ビットコインの価格がバイナンス(Binance)では2万9900ドルだがコインベースでは3万ドルとなる場合、投資家にとってはこの100ドルの差がサヤ取りのチャンスとなる。

最後に、仮想通貨は、ゲームやメタバースなど新たに生まれた分野のマーケットでも使われている。PGIMはオンラインゲームの『フォートナイト』におけるデジタル通貨のV-Bucksを例として挙げている。マルチプレイヤーのオンラインゲーム(これが今後メタバースにつながっていくと考えられている)でデジタル通貨として使われているからだ。

こうしたさまざまな理由に加え、今や投資対象とされるほどのマーケット規模になったこともあり、機関投資家はこれらのデジタル資産を買うようになった。

しかし、これほど魅力があるにもかかわらず、機関投資家が仮想通貨をまともな投資対象と見なすことはないだろうとPGIMは考えている。

仮想通貨の弱点

仮想通貨が従来の通貨に取って代わることはない理由を、PGIMは4つ挙げる。また、これらのデジタル資産についてよく言われるアグレッシブなマクロ経済理論のいくつかにも反論している。

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