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メガバンクからアフリカンプリントのファッションブランドへ…RICCI EVERYDAY仲本千津さん起業の源流

RICCI EVERYDAYの仲本千津さん

RICCI EVERYDAYの仲本千津さん。

撮影:小林優多郎

“変化の兆し”を捉えて動き出している人や企業にスポットを当てるオンライン番組「BEYOND」

第3回は、SDGsを軸にしたファッションブランド「RICCI EVERYDAY」の共同創業者、仲本千津さんが登場。

5月25日(水)に放映した番組の抄録を、一部編集して掲載する。

本編アーカイブはYouTubeよりご視聴いただけます。

撮影:Business Insider Japan

——「RICCI EVERYDAY」はどのようなブランドなのでしょうか。

仲本千津さん(以下、仲本):アフリカンプリントを使ったファッションブランドで、2015年に3人のウガンダの女性と、日本に暮らす母と私の5人で立ち上げました。

今では正社員を20名ほど雇い、バッグやアパレル、インテリアアイテムなどをウガンダの直営工房で製造して、日本で販売するというビジネスをしています。

従業員は1人を除いて女性で、なおかつ社会的に阻害されている——生きづらさを感じているシングルマザーや、 紛争被害を受けて首都のカンパラに逃げてきた方々が働いています。

仲本さんと野田さんの写真

「RICCI EVERYDAY」のバッグを紹介。

番組をキャプチャ

現地の女性たちの能力を引き出せる事業を目指す

——どのような経緯でウガンダで起業しようと考えたのでしょうか?

仲本:元々働いていたNGOで、ウガンダのオフィスに駐在していたときに考え始めました。

当時、30歳までに起業したいという思いがあり、休日や平日の夜にさまざまな人に会ったり、いろんな場所を見に行くようにしていました。

その一環でローカルマーケットに足を運んだとき、床から天井まで壁一面、アフリカンプリントで敷き詰められているのを見たんです。カラフルで遊び心に溢れていて、これでビジネスをやりたいと思いました。

ただ私にはデザインや縫製の知識や技術がなく、どうしようかと考えました。 そのとき、コミュニティの表に出てくるのは男性が多いものの、裏で支えているのは女性だったというNGOでの経験を思い出しました。

女性たちの能力をもっと引き出す事業として、アフリカンプリントという素材を使って、現地の女性たちと一緒に何かやってみよう。そう思って起業に至りました。

——ウガンダの従業員にはどのようにして出会ったのですか?

仲本:最初の3人は、日本人の方から紹介していただきました。

日本人経由だったことで信用性もある程度担保されますし、日本人とすでに働いた経験があった3人だったので、私もやりやすかったです。

——ウガンダの工房で、どのように商品を開発していったのでしょうか。

仲本:初めはデザインを決めるところからだったため、生産に慣れていただくことも兼ねて、柄も関係なく布を買い込み、いくつもバッグをつくっていただきました。

レザーの位置をミリ単位で調整するなど、半年以上かけて開発していたと思います。

——仲本さんはNGOの前はメガバンク勤務。ノウハウがない中、どのように販路を広げていったのですか?

仲本:いくつかありますが、母の力が大きかったですね。

当時私はNGOの仕事もあった上、ウガンダで生産現場を見なければならず、販売ができる人を探そうと思ったとき母の顔が思い浮かびました。

母はそれまで名刺交換を経験したこともない専業主婦。最初は百貨店などのポップアップに店員として立ってもらえればという程度で考えていました。

ところが母の行動力はそれにとどまりませんでした。例えば百貨店で催事をやりたいと思ったとき、真っ先に百貨店のインフォメーションセンターに突進して「バイヤーさんに会わせてください」と直談判したり、私がプレスリリースをつくると、母と私の地元である静岡県内の各局や編集部にひたすら電話をかけたり、FAXを送ってくれました。

最終的には取材が殺到して、おかげさまでポップアップは大成功でした。

——スタートダッシュが良かったのですね。

仲本:はい。もう、母さまさまです。

仲本さんの写真

プロボノでも学びを得た。

撮影:小林優多郎

——仲本さんは「RICCI EVERYDAY」を立ち上げる前、エチオピアの羊の皮を使ったブランド「andu amet」(アンドゥアメット)にもプロボノとして関わっていますが、この経験もやはり今の仕事に生きているのでしょうか?

仲本:とても生きました。 NGO時代、最初は東京のオフィスに在籍しており、仕事終わりに何か打ち込めるものはないかと探していたんです。そのときに 「andu amet」の代表の鮫島弘子さんに出会いました。

そこで「これだ!」と思い、すぐに「お手伝いさせてください」とメールを打ちました。

一度のメールでは返信がありませんでしたが、どうしてもやりたかったので、何度もメールを送り、 何とか参加することができました。

彼女のそばでファッションビジネスがどのように動いていくのか、戦略の立て方、PR、営業、人事と何から何まで学ばせていただきました。

——「andu amet」もアフリカに工房がある点で「RICCI EVERYDAY」と構造が似ていますよね。

一見構造は似ていますが、エチオピアの方が断然大変でした。

アムハラ語が公用語なので、英語がほとんど通じない、国が外資に厳しく、輸出入が難しいこともありました。「andu amet」に関わったのは1年程度でしたが、濃い経験でした。

緒方貞子さんの言葉が雇用創成の源流に

——ウガンダという場所で活動された仲本さんが、なぜこのような人生を歩むようになったのか、その経緯をお聞きしたいと思います。

仲本:元国連難民高等弁務官、緒方貞子さんの本に出合ったことがきっかけでした。

仲本さんの写真

仲本さんが影響を受けた『私の仕事 国連難民高等弁務官の10年と平和の構築(著:緒方貞子)』。

番組をキャプチャ

仲本:緒方貞子さんは国連難民高等弁務官事務所のトップを務めた方です。この本には、弁務官を務めた10年間、誰と会って何を話し合ったのかといった日々のことや、元国連難民高等弁事務所がどういう政策をやろうとしているのか、どのように難民を保護していくのかなど理論的なことも書かれています。

——本にはいつ頃出合ったのですか?

仲本:大学生の頃です。ただ、緒方さんを知ったのは高校生のときでしたね。緒方さんの本に出合って、誰かのために尽くす、一緒に成長できる仕事をしたいなと思うようになりました。

——今のお仕事がまさにど真ん中に近いというか。経営の姿勢にも通じているのですね。

仲本:そうなんです。緒方さんから学んだことの一つに、「どのような人であっても人の命、生活は守らなければならない」があります。

冒頭でのお話しの通り、RICCI EVERYDAYの従業員の中には日々の生活に困り、最後の一つのパンを子供たちと分けるところまで追い込まれた方もいました。

そのような高等教育を受けられない、伝手もない、その一方でやる気や技術があるという彼女たちが輝ける場所、きちんと生活ができるような環境を会社として整えていきました。

“好ましい”より“好き”を選ぶ

仲本さんの写真

自分の内なる声に従うことが大切だという。

撮影:小林優多郎

——今回は既存の枠組みにとらわれず、さまざまな挑戦をしている方を取り上げる連載「ミライノツクリテ」とのコラボ回ということで、これから未来をつくっていく方へ向けて、アドバイスをいただけないでしょうか。

仲本:「“好ましい”より“好き”を」と「Follow Your Heart」です。

日本社会を生きていると、社会通念や固定観念などでがんじがらめになり、誰かにとって「好ましいもの」を選ぶというか、自分軸ではなく他人軸で物事を選んでしまうことがあると思います。

そういうときに、自分の内なる声(Heart)に従って、「自分は何をやりたいんだろう」「何が好きなんだろう」ということを深く掘り下げて、自分の「好き」なものを選び取るといいと思っています。私も銀行員時代、この言葉にすごく救われました。

——「RICCI EVERYDAY」を選ぶ方にも、そういう気持ちで選んでいただきたいということですよね。

仲本:その通りです!

(聞き手・野田翔、構成・紅野一鶴


「BEYOND」とは:

毎週水曜日19時から配信予定。ビジネス、テクノロジー、SDGs、働き方……それぞれのテーマで、既成概念にとらわれず新しい未来を作ろうとチャレンジする人にBusiness Insider Japanの記者/編集者がインタビュー。記者との対話を通して、チャレンジの原点、現在の取り組みやつくりたい未来を深堀りします。

アーカイブはYouTubeチャンネルのプレイリストで公開します。

6月3日(金)18時からはイノカ CEOの高倉葉太さんをお迎えして「海のリトマス紙「珊瑚」を守るイノカ」をお送りします。

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