中国のステルス戦闘機J-20の3D画像。
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- J-20は、中国の最新鋭ステルス戦闘機だ。
- 研究開発にかかったコストは300億元(約6000億円)以上と言われている。
- J-20は2020年にアメリカのF-35と何度か遭遇しているとSCMPは伝えている。
J-20は中国の最新鋭ステルス戦闘機だ
中国国際航空宇宙博覧会(Airshow China 2021)を控えた2021年9月25日に飛行するステルス戦闘機J-20。
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「マイティドラゴン」 という愛称を持つこのジェット戦闘機は2017年3月に中国人民解放軍空軍に導入された。四川省を拠点とする成都飛機工業公司(Chengdu Aircraft Industry Group)が製造する同機は、中国の最新鋭兵器の1つだ。
2016年11月、広東省珠海市で開催された中国国際航空宇宙博覧会で、一般公開された。
J-20は、アメリカのロッキード・マーティン(Lockheed Martin)のF-22とF-35に次ぐ史上3機目の第5世代の戦闘機だ。中国空軍は2021年、J-20を50機以上保有していた。
2020年に発見されて以来、F-35と比較されてきた
J-20(左)とF-35。
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F-35がアメリカ軍に導入されたのは、2015年7月だ。F-35には3つの派生型がある。通常離離着陸(CTOL)タイプのF-35A、短距離離陸垂直着陸(STOVL)タイプのF-35B、艦載タイプのF-35Cの3つで、離着陸の方法によって分類されている。
ロッキード・マーティンは、F-35は「世界最先端のステルス戦闘機」であるとして売り込んでおり、ステルス性能が極めて高く、その他にも高度なセンサー、情報融合システム、ネットワーク接続能力を備えている。
だが、J-20との競争は熾烈だ。
F-35がJ-20と東シナ海で遭遇し、アメリカ空軍の司令官を感銘を与えたとサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は伝えている。
アメリカ太平洋空軍の司令官、ケネス・ウィルズバック(Kenneth Wilsbach)大将は3月のミッチェル航空宇宙研究所(Mitchell Institute for Aerospace Studies)のインタビューで中国の国防能力は「強固」だと述べた。
彼はインタビューで「中国が(J-20で)何をするつもりなのか、具体的に述べるのは時期尚早だ。我々が見たのは制空能力だけだ」と述べ、中国のパイロットの運転は「なかなかのものだった」と付け加えた。
J-20の全長は23メートル、全高は5メートルだ
訓練中のJ-20ステルス戦闘機。
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航空情報サイトのAero Cornerによると、この戦闘機の最高速度は約2468km/h、航続距離は約5926km。対してオーストラリア空軍(Australian Air Force)によると、F-35Aの最高時速は約1960km/h、航続距離は約2200kmだ。
J-20には、いくつかの派生型がある
第13回中国国際航空宇宙博覧会でアクロバット飛行を披露するJ-20。2021年9月28日、広東省珠海市で。
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最初のバージョンのJ-20Aからいつかの派生型が生まれており、中でも特筆すべきは世界初の複座型(2人乗り)ステルス戦闘機となるJ-20Sだ。
中国はさらに爆撃機、電子軍用機、艦載機などへと発展させる力を持っていると軍事情報サイトのグローバル・セキュリティー(Global Security)は伝えている。
当初はロシア製のAL-31Fエンジン搭載していた
中国国際航空宇宙博覧会を控えた2021年9月25日に飛行するJ-20。広東省珠海市で。
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エンジンはロシア製から国産のアフターバーナー搭載ターボファンエンジンWS-15にアップグレードされているとSCMPが3月に報じた。中国の国産化プログラムの一環で、J-20全機にWS-15のような中国製のエンジンが搭載されると消息筋がSCMPに語っている。
2020年のレポートで、香港に拠点を置くSCMPが述べたところによると、エンジンのアップグレードはF-22の「パフォーマンスに近付ける」ためだという。WS-15エンジンにすれば、操縦性および戦闘能力は向上するだろう。
1機あたりのコストは1億ドルから1億2000万ドル(約132億円から160億円)だとEurAsian Timesは伝えている
編隊を組んで飛行するJ-20。中国北京市で2021年7月1日、中国共産党創立100周年を祝うフライト・パフォーマンスが行われた。
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2000年代初頭は、約4億5000万元から5億元(約88億円から98億円)と言われていたとザ・ディプロマット(The Diplomat)は伝えている。複数のレポートから推定するとそれ以降に大幅にコストが上がっているという。研究開発費は推定300億元(約6000億円)以上だとSCMPは伝えている。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)