やよい軒初の大豆ミート定食は、野菜と相性のいい定番メニュー3種の「大豆ミート」版。既存の「豚肉」版と同じ価格で提供する。
撮影:湯田陽子、提供:プレナス
定食レストラン「やよい軒」を展開するプレナスは6月7日、やよい軒初の100%植物性原料「大豆ミート」を使った定食3種を発売すると発表した。6月14日から全国366店舗(5月末現在)で提供を開始する。
新メニューは、「大豆ミートの野菜炒め定食」(730円・税込)、「大豆ミートのしょうが焼定食」(640円・税込)、「大豆ミートのなす味噌と焼魚の定食」(930円・税込)。
定番メニューの肉野菜炒め、しょうが焼、なす味噌と焼魚の各定食で使用している豚肉を大豆ミートに置き換え、同じ価格で販売する。また、持ち帰り用の「[テイクアウト]大豆ミートの野菜炒め」(730円・税込)も同日から販売をスタートする。
大豆ミートを提供するのは、セブンイレブンで販売開始後、約1年で販売数1000万本を突破したヒット商品「豆腐バー」を開発したアサヒコだ。
大豆ミート定食発売のきっかけは、アサヒコがスーパーなどで販売しているTOFFU PROTEIN シリーズ「大豆のお肉 焼肉」との出合いだった。プレナス商品開発部の外食食品開発課課長、大谷信晃氏はこう語る。
「初めて食べた時、しっかりとした厚みと食べ応えがあって、大豆特有の匂いも抑えられており、本当の肉のように再現されていると感じました。
これなら、やよい軒のお客さまにも満足いただける定食がつくれるのではないか。また、健康的な食事をしつつ満足感を得たいという既存のお客さまはもちろん、新規のお客さまに対しても(やよい軒の)ご利用のきっかけをつくりたいと思い、採用しました」(大谷氏)
発売に先立ち、プレナスが行ったテストマーケティングでは、女性、特に50〜60代を中心に、「大豆ミートと言われなければ分からないくらいの完成度の高さ」「本物の肉でなくても十分満足」「味付けもとても良かった」「肉が苦手なのでありがたい」など、評判は上々だった。
また、「野菜との相性が高評価につながる」ことも分かり、野菜を使った3種類の定番メニューで展開することにしたという。
やよい軒の新メニューの一つ「大豆ミートの野菜炒め定食」。手前中央の「肉」が大豆ミート。大豆からできているとは思えないほどの再現力だった。試食した感想としては、味も食べごたえも「まるで豚肉」。その一方で、胃もたれしない軽さもあった。
撮影:湯田陽子
一方、これまで小売店向けに自社ブランド商品を販売してきたアサヒコにとっては、今回が初めての業務用商品となった。先述の「大豆のお肉 焼肉」に改良を重ね、肉の厚みや大きさ、食感、さらに366店舗(2022年5月末現在)ものやよい軒でのオペレーションに適した下処理にするなど工夫を凝らしたという。
アサヒコのプラントフォワード事業部の新井えり子氏はこう話す。
「美味しさ第一でないと(お客さまに)選ばれないので、そこは妥協をせずにプレナスさんと一緒に取り組みました」(新井氏)
また、プレナスの大谷氏によると「最終の味付けも非常に苦労した」という。
「(既存の)3種類の定食に使っているタレとのマッチングを重視して、それぞれの定食の良さが損なわれないように、何度も試作を繰り返しました」(大谷氏)
アサヒコは6月1日から、豆腐バーの新商品(左)を全国のスーパー、コンビニで販売開始。2022年秋には、豆腐からつくったギョーザとシュウマイ(右)も発売する計画だ。
撮影:湯田陽子
「アメリカのように、日本にも自由に動物性・植物性のタンパク質を選べる時代がようやく来た」と感慨深そうに話すのは、アサヒコのプラントフォワード事業部部長の池田未央氏だ。
池田氏は、世界の人口増加によって近い将来「肉を買える人と買えない人が出てくる『タンパク質の格差社会』が訪れる」とし、次のように語った。
「50年続く豆腐屋として、長年培ってきた豆腐・大豆の加工技術を生かし、より手頃な価格で安心して美味しく食べられる大豆タンパク質を供給したい。それによって、タンパク質不足による健康リスクの低減を目指したいと考えています」(池田氏)