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蓄えを怠るのはあまりに危険…女性がより多くの「老後資金」を必要とする5つの理由

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女性にとって、退職後の蓄えを怠るのはあまりにも危険だ。

shutterstock/Ustyle

  • 退職後に向けた貯蓄は非常に重要だが、体系的な不平等は女性にとって、それをより困難にする。
  • 女性は一般的に男性よりも長生きし、より多くの無給労働を引き受け、最終的に男性よりも収入が少なくなる。
  • 収入の減少と介護の複合効果は、女性が退職後に向けて貢献できることに影響を与える。

退職後のために貯金をすることは、将来に向けた準備としては重要だ。もちろん誰でも退職後を見据えて蓄えをつくるべきなのだが、とりわけ女性は貯金を増やす必要がある。

ところが、女性は一般に退職後の蓄えが少なく、また将来に向けて貯金や投資をする能力に影響を与えるような、女性ならではの経済的問題に直面している。

なぜ女性は退職後の蓄えが必要なのか?

退職後の生活は、老後の計画のすべてと言ってもいい。そして、女性は男性よりも長生きすることが多いため、一般的にはより多くの蓄えが必要になる

「女性の平均寿命のほうが長いため、女性は退職後の蓄えに頼って生活する年数が長くなります。ですから、人生を終えるまでに貯金を使い果たしてしまうリスクが高くなるのです」とトゥルー・ワース・ファイナンシャルプランニングの認定金融専門家であるレイチェル・バーンズは言う。

女性の所得は、男女の賃金格差や商品価格の格差(ピンクタックス)といった、多くの体系的な問題の影響を受けている。要するに、女性は一般に稼ぎが少なく、それなのに多くの商品について男性よりも高額を支払っているのだ。

それに加えて、女性は無給労働の大半を引き受け、子育てや老いた両親の介護の主たる担い手となっている。こうした要因から、多くの女性は仕事を辞める道を選び、あるいはパートの仕事に就くこともある。

その結果、2つの問題が起きるのだ。1つは、女性の稼ぎが減り、退職後に備えた貯金があまりできないこと。もう1つは、雇用主が提供する退職金制度の対象にならない可能性があることだ。

なぜ女性は退職後の蓄えを十分にできないことが多いのか。なぜ女性にとって将来のための投資が重要なのか。さらに深く掘り下げてみたいと思う。

1.女性ならではの経済的問題に直面している

子育てや高齢の両親の介護については、女性が主な担い手になることが多い。有給の家族休暇や経済的支援が不十分であることを踏まえれば、こうした労働は無給となり、結局は女性の経済状態を悪化させる。

「女性は男性に比べて、子育てや老いた家族の介護のために雇用を中断することがよくあります」とバーンズは言う。

「これはいくつかの点で、女性の経済状態に悪影響を与えます。つまり、女性の収入が伸び悩み、女性の社会保障給付の金額が減り、女性の退職後の蓄えが少ないのはそのせいなのです」

こうした無給労働に加えて、男女の賃金格差によっても、働く女性の収入は少なくなりがちだ。

米国労働省労働統計局の2020年のデータによると、同じくフルタイムで働いていても、女性の収入額は男性の82%だという。有色人種の女性においては、男女の賃金格差はさらに大きい。

アメリカプログレスセンターによれば、白人男性が1ドル稼ぐたびに黒人女性は64セントしか稼いでおらず、ヒスパニック系の女性にいたっては、その金額はわずか57セントと低い。

さらに女性は収入が低いだけでなく、「ピンクタックス」によって特定の商品に対して、より多くの金額を支払う場合もある。ピンクタックスとは、デオドラント用品やシャンプーのような多くの女性向け商品、あるいはその他の個人向け商品やサービスに追加される割増価格を意味する言葉だ。

それに、ガラスの天井も実際に存在するIBMの最近の調査によると、経営幹部に占める女性の割合はわずか10%、取締役に占める割合も8%に過ぎなかった。

メモ:フィデリティ・インベストメンツが実施した『女性と投資に関する調査(2021年)』によると、「自分を投資家とみなしている女性は全体のわずか3分の1、貯蓄や投資に詳しいと回答した女性は14%だった」(調査報告書3ページを参照)。

2.雇用主が提供する退職金制度を利用できない

米国労働省の「女性と退職後の蓄え」に関する白書によると、退職金制度の対象になるのは、働く女性の46%であった。問題の1つとして、退職貯蓄の多くが雇用主の協力のもとで行われている点が挙げられる。

雇用主は一般に、フルタイムの社員に対しては、401kのような退職金制度を提供している。福利厚生の一環として、雇用主は社員の拠出金に対して一定の割合(通常は給料の3%から6%)の金額を拠出している。

だが、こうした制度や拠出金はおおむね、フルタイムの社員に対して用意されている(ただし、今後数年でこうした状況は変化する可能性がある)。そのため、子育てや高齢者介護のために仕事を中断しがちな女性は、こうした退職手当を利用できない可能性があるわけだ。

残念なことに、パンデミックによって、女性はキャリアや収入の点でさらに不利な立場に立たされている。女性の多くはパートタイムで働いており、パンデミックによって解雇された結果、退職後の蓄えを自力で用意せざるをえなくなっている。

個人退職年金は雇用主とは関係がないため、女性はこうしたサービスの利用によって、自力で退職後の蓄えをつくることができるだろう。

3.関係の変化

多くの女性は、夫との死別や離婚といった関係の変化が起きた場合、経済的な問題に直面する。

「女性の平均寿命のほうが長いため、退職後に配偶者に先立たれるのは、男性よりも女性が多くなりがちです」とバーンズは言う。「多くの未亡人は、亡き夫の社会保障給付や年金給付が終了すると、退職後の収入に大きな打撃を受けてしまいます」

米国会計検査院の報告書「高齢女性が訴える経済的に不安定な将来」によると、中年期以降に離婚した女性は、世帯収入が41%減少したという。これは離婚男性について報告された収入減少額のほぼ2倍にあたる。

報告書では、中年期以降に夫と死別した女性の世帯収入が37%減少したことも取り上げ、妻と死別した男性の収入減少額が22%だったことと比較している。

「女性は保険で対策を講じるべきです。配偶者に経済的に依存しているのなら、パートナーが亡くなったり身体が不自由になったりした場合に失われる収入を埋め合わせるために、身体障害保険や生命保険への加入を検討するべきです」とバーンズは話す。

家計の主導権を夫に握らせている女性もいるが、これはマイナスの結果をもたらす可能性がある。

フィデリティ・インベストメンツが実施した『夫婦とお金に関する調査(2021年)』によると、女性の22%が、退職金や長期資金計画にほとんど、もしくはまったく関与していないと回答した。

死亡や離婚といった関係の変化による経済的な苦労に加えて、女性は経済的虐待を経験する可能性もある「家庭内暴力を終わらせるための全国ネットワーク(NNEDV)」によると、家庭内暴力に関する事例の99%で経済的虐待が起きている。

経済的虐待は、一見何気ない出来事から始まることがある。パートナーがあなたのストレスを和らげたり、金銭管理の「手伝い」をしようとする場合などがそれに当たる。

さらに、もっと深刻な例としては、お金の使用や使途を管理したり、仕事を妨害、禁止したり、お金を盗んだり、なりすまし犯罪を犯したりすることさえある。

重要:フリーフォーム」は、家庭内暴力の被害者に経済支援や各種リソース、機会を提供する米国の非営利団体である。

4.女性は一般に男性より長生きする

幸いなことに、女性であるあなたには、退職後の蓄えをつくるために男性よりも長い時間がある。一方で、男性よりも多額の貯金が必要なのは、マイナス面と言えるだろう。

米国国勢調査局の2017年のデータによると、米国人男性の平均寿命は77.3歳、米国人女性は82歳であった。2030年までに、平均寿命は男性で79.7歳、女性で83.8歳まで延びると予測されている。

2060年にはさらに延び、男性の平均寿命は83.9歳に、女性は87.3歳に達する見込みだ。

つまり、女性は男性より平均で3年から5年ほど長く生きるというわけだ。この年数を考慮すると、女性は男性よりも退職後の貯金を増やすために取り組まなければならない。

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出典:米国国勢調査局の全国人口推計(2017年)

5.多くの高齢者女性が貧しい暮らしをしている

退職は仕事から離れるビッグチャンスだ。また、仕事という義務を負うことなく、自分の思うがままに生活を楽しむチャンスでもある。だが残念なことに、65歳以上の多くの女性が結果的に貧困に陥っている。

議会調査局の2021年の報告書「65歳以上の国民における貧困」では、以下のとおり指摘されている。

「65歳以上の女性の間では、総収入が公式な貧困線を下回るのは、未亡人の14.4%、離婚女性の15.8%、結婚歴のない女性の16.9%にのぼる。この割合は既婚女性の4.7%と比べると高い」

コミュニティ生活局の報告書「2020年高齢アメリカ人のプロファイル」によると、2019年の時点で高齢男性の平均収入が36万921ドルなのに対し、高齢女性の平均収入は21万815ドルだった

結論

退職後の蓄えは、誰にとっても必要だ。

だが、女性が男性と同様に貯蓄手段を利用できているとは言えないし、男性と同様に稼ぐ機会を与えられているとも言い難い。こうしたことを踏まえれば、女性が退職後に十分な蓄えを持てる可能性は低く、すぐに貯金を始めるのも難しいかもしれない。

とはいえ、これらの問題の多くは体系的な変化を要するものの、女性としては、できる限りの方法で貯蓄に最優先に取り掛かることはできるだろう

例えば、トラディショナルIRA〔編註:拠出金を所得税から控除できるが運用益は課税対象の年金サービス〕やロスIRA〔編註:拠出金は所得税から控除できないが運用益は非課税の年金サービス〕のような個人年金に加入して毎月いくらかを積み立てたり、401kに拠出して対象の給付金を受け取ったりすることもできるだろう。

可能ならば、受け取る金額を増やすために社会保障給付の受け取りを70歳まで遅らせる検討をするのもよい。

女性にとって、退職後の蓄えを怠るのはあまりにも危険だ。だからこそ、手持ちの資金を元手にすぐにでもスタートさせることが肝心だ。女性は職場で懸命に働き、無給労働を引き受け、体系的な不平等に取り組んでいる──それならば、退職した後は当然、ゆっくりひと休みするべきなのだ。

[原文:5 reasons women face roadblocks to retirement and need to save more

(翻訳・道本美穂/LIBER、編集・長田真)

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