クリス・プラット出演の最新作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
Universal Pictures
- 『ジュラシック・ワールド』シリーズ第3作で完結編の『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』がアメリカで2022年6月10日に公開された(日本では同年7月29日公開予定)。
- 全6作品の『ジュラシック』シリーズを振り返り、ワースト作品からベスト作品までランキングにした。
- 最新作の『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』『ジュラシック・ワールド』、そして第1作の『ジュラシック・パーク』は何位なのか見てみよう。
6位『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022年)
『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』(コリン・トレボロウ監督)
Universal Studios
第5作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の後、恐竜と人間が共存するようになった。『ワールド』3部作のクライマックスとなるこの最新作では、過去のシリーズに出演していたキャストが再登場し、すべての決着をつける。
『ジュラシック・パーク』に出演した古生物学者アラン・グラント役のサム・ニール(Sam Neill)、古植物学者で助手のエリ―・サトラー役のローラ・ダーン(Laura Dern)、数学者イアン・マルコム役のジェフ・ゴールドブラム(Jeff Goldblum)がもたらしてくれる楽しいノスタルジーとは裏腹に、映画自体は、考える暇もないほど次から次へとアクションシーンが繰り出される。ただ、サブプロットの巨大イナゴの場面は勘弁してほしい。
5位『ジュラシック・ワールド』(2015年)
『ジュラシック・ワールド』(コリン・トレボロウ監督)
Universal
『ジュラシック・パーク』シリーズは基本的に、「人間は過去から逃れることができない」ということをテーマにしていて、それが制御不能になった時に起こる恐ろしい結果を描いている。つまり、ノスタルジーが武器になることを描いた作品とも言える。
第4作の『ジュラシック・ワールド』では、そのコンセプトはクールでもなく、自意識過剰な方法でもなく、非常にメタなものになっている。第1作から22年経ち、人間は恐竜のテーマパークを誕生させる。映画に出てくるリゾート施設「ジュラシック・ワールド」も、映画の『ジュラシック・ワールド』も金儲けのためのものだ。両方とも、過去から学ばない人類の失敗やノスタルジーを利用して何百万ドルも稼ぎ出しているのだ。
4位『ジュラシック・パークIII』(2001年)
『ジュラシック・パークIII』(ジョー・ジョンストン監督)
Universal
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』のジョー・ジョンストン(Joe Johnston)監督による『ジュラシック・パークIII』は、いくつかの印象的な場面がある。この映画ではスピノサウルスは、使い古されたティラノサウルスに代わる驚異的な存在で、「鳥かご」の場面はすばらしいものだった。
しかし、そもそも恐竜が存在すべきではないという事実からは逃れることはできない。サム・ニール演じるアラン・グラント博士は、恐竜の島へ帰還を強制されるが、衝撃的なことに何もかもが計画通りに進まない。エンディングは急ぎすぎで、まるでこの映画に関わった全員が、登場人物よりも早く島から脱出したいと思ったかのように見える。また、スピノサウルス対ティラノサウルスの戦いの場面は、CGIがひどく期待外れなもので、子どもの頃に持っていたおもちゃのロボットボクシングゲームのほうがましだった。
また、これまでは恐竜に食べられそうになった人のPTSD( 心的外傷後ストレス障害 )がどのようなものかを探る機会がなかったが、この映画でもグラント博士が自分の名前を叫ぶベロキラプトルの幻覚を見るだけだった。
3位『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(1997年)
『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(スティーブン・スピルバーグ監督)
Universal
『ジュラシック』シリーズの2作目である『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』は、第1作に続いてスティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)が監督し、注目を集めた作品だ。1作目には遠く及ばないが、演出が優れていると評価する批評家もいる。
その演出は、サンディエゴを舞台にしたひどく評判が悪いエンディングまで、映画全体に緊張感を与え続けている。ジェフ・ゴールドブラムを再び登場させ、ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)が出演者に加わったことも助けになっている。どう考えてもこの映画は傑作になるはずだったのに、脚本のひどさには本当にがっかりした。
2位『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018年)
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(J・A・バヨナ監督)
Universal
『ジュラシック』の続編の問題は、どの作品もその存在をまったく正当化できないことだ。同じコンセプトを何度も繰り返し伝えるのは簡単だが、それを価値あるものにすることは実際には難しい。
しかし、この5作目『ジュラシック・ワールド/炎の王国』はシリーズの中で最も自己を認識している作品だ。つまり、人間は本当に愚かで、同じ状況に陥り続けることがポイントになっている。この作品は映画の終盤まで危険の度合いを高めていき、それを自然な結末へと導いた、おそらく唯一の続編だ。
そのため、前作の『ジュラシック・ワールド』より優れているだけでなく、シリーズで最高の続編となっている(それほど評価されていないとしても)。
この映画は自らを実際よりはるかに賢いと考えているように思える(恐竜は地球温暖化、公民権などの社会問題のメタファーだ!)が、少なくともそのようなアイデアのいくつかに取り組もうとしている。しかしそこから論理的な疑問が生じる。このような映画でそこまで意識する必要があるのだろうか。しかし、我々は映画がそんなことにまったく頭を使わないよりは、自分たちの住む世界の問題を多少なりとも意識してほしいのだ。
1位『ジュラシック・パーク』(1993年)
『ジュラシック・パーク』(スティーブン・スピルバーグ監督)
Universal
この作品について説明する必要があるだろうか。
マイケル・クライトン(Michael Crichton)の小説を基にしたスピルバーグ監督によるシリーズ1作目は、勇気と知性を兼ね備えた第一級の大ヒット作品である。
そして、その頃はCGIそのものがハリウッドにとって画期的な出来事だった。ジョージ・ルーカスがこの映画を見て、『スター・ウォーズ』の前日譚の構想にCG技術がやっと追いついたと実感し、脱帽したのは有名な話だ。
『ジュラシック・パーク』は、単に巨大なスクリーンの可能性を押し広げただけでなく、それから数十年続く大ヒット映画の製作のあり方の扉を開いた。
[原文:Every 'Jurassic Park' movie, ranked from worst to best]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)