イーロン・マスクのリモートワークに対する「時代遅れ」な考えは、優秀な人材の流出につながる恐れも —— 専門家が指摘

イーロン・マスク

テスラのCEOイーロン・マスク氏。

VCG/Getty Images

  • テスラのCEOイーロン・マスク氏は従業員に対し、最低でも週に40時間はオフィスで働くべきだとするメールを送った。
  • マスク氏は、リモートワークは物理的に存在する職場で働くのに比べて、効率的にも生産的にもなり得ないと主張している。
  • しかし専門家は、マスク氏がこのような考えを持つ自分に人々がついてくると期待するなら、「奇跡」が必要になるだろうと指摘している。

イーロン・マスク氏はテスラの従業員に対し、最低でも週に40時間はオフィスで働かなければならないと伝えた。

しかし専門家は、コロナ禍の在宅勤務が人々に一生懸命働く必要はないと「思わせた」というマスク氏の主張は間違っていると指摘している

Advanced People Managementのイノベーション担当の責任者ニック・ガリモア(Nick Gallimore)氏は、「それでも人々が自分についてくると期待するなら、奇跡のようなもの」がマスク氏には必要になるだろうとInsiderに語った。

「リモートワークは物理的に存在する職場で働くのに比べて、断じて効率的にも生産的にもなり得ないというマスク氏のコメントは、同氏を過去の組織設計の原則に自らの組織の未来を賭ける、数少ない経営者にするものです」とガリモア氏は話している。

その上で、人事課題についてコンサルティングを行っているガリモア氏は「確率的には不利です。さまざまな調査で、フルタイムでオフィスで働きたいと考えている人は10%しかいないことが分かっています」と付け加えた。

Insierはテスラを通じてマスク氏のコメントを求めたが、回答は得られなかった。

アメリカのシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターの調査では、リモートワークを続けている人は「そうしなければならないから」ではなく、「そうしたいから」続けていることが分かっている。

広告・マーケティングを手掛けるEGC Groupのプレジデント、ニコール・ペン(Nicole Penn)氏は「従業員にはそれぞれ生産性の上がる環境、下がる環境があります。テスラのカルチャーが協業、工場の生産現場から生まれるアイデアの上に成り立っているなら、リモートで働くチームのメンバーが効率的につながるのは難しいでしょう」とInsiderに語った。

ただ、ペン氏はフルタイムでオフィスで働くという"柔軟性のなさ"は「時代遅れ」で、リモートワークや在宅と出社を組み合わせたハイブリッドワークを排除すると優秀な人材を逃す可能性があると考えている。

「柔軟性を求め、必要とする最高の人材をイーロンが雇い続けられるのかどうか、見ておかなければなりません」とペン氏は付け加えた。

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