マーク・キューバン。
Michael Cohen/Getty Images for The New York Times
- アメリカのテレビ番組「シャーク・タンク」への出演で知られるマーク・キューバンは、市場を取り巻く環境の悪化によって株式市場と仮想通貨業界で淘汰が起こると予想している。
- 彼は、誇大広告と楽して儲けた金の上に築かれたビジネスは消滅すると警告した。
- これに対し、堅実なビジネスモデルを持つ本物の改革者が勝者になるだろうと述べた。
ハイテク億万長者のマーク・キューバン(Mark Cuban)は株式市場と仮想通貨業界で淘汰が起こると予測している。誇大広告に頼る放漫経営の企業は失敗し、真に革新的な技術で手堅いビジネスモデルを展開する企業が成功して生き残るというのだ。
「楽して儲けた金に支えられていても、適切なビジネス展開を考えていない企業は消えていくだろう」と彼はフォーチュンに語っている。
キューバンはアメリカのテレビ番組「シャークタンク」(日本の「マネーの虎」のリメイク)に出演する投資家であり、NBAダラス・マーベリックスのオーナーでもある。さらに1999年にインターネットラジオのスタートアップBroadcast.comをヤフーに57億ドルで売却したことでも知られている。彼はウォーレン・バフェット(Warren Buffett)の言葉を引用しながら、高インフレ、歴史的な金利引き上げ、株価や仮想通貨の価格急落、不況への懸念により、勝者と見せかけだけの者が見分けられるようになると強調した。
「バフェットが言うように『潮が引くと、誰が裸で泳いでいるのかが分かる』」と、キューバンは述べた。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、その他の仮想通貨の価値は今年に入ってから半分程度になるとともに、テラ(LUNA)やセルシウス(CEL)などを購入した人はここ数週間でトラブルに見舞われている。
キューバンがフォーチュンに語ったところによると、革新的なアプリケーションやテクノロジーは、たとえ下げ相場のときにリリースされたとしても、常に顧客を引きつけ、成功するものだという。またハイテク株や仮想通貨は、相次ぐ利上げが価格に織り込まれるまでは苦しい戦いを強いられるが、「これまでの流れを変えるアプリケーション」であればそのプレッシャーから逃れられると主張する。
彼は以前、仮想通貨をめぐる熱狂と懐疑の混在をインターネット黎明期になぞらえ、市場の低迷によってこの分野の長期的な勝者が浮き彫りにされると予測した。
「ビットコインやイーサリアムの他、いくつかの仮想通貨は、ちょうど『ドットコム時代』に設立されたアマゾン(Amazon)、イーベイ(eBay)、プライスライン(Priceline)のようなものだ。これらはドットコムバブルの崩壊を生き延び、繁栄している」と彼は2021年1月にツイートした。
「しかし多くは生き残らないだろう」
キューバンは、これまでにもバフェットの知恵を参考にしたことがある。例えば、金融危機の際にバフェットがゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)やゼネラル・エレクトリック(General Electric)などの企業と行ったワラント債の取引をモデルにして、パンデミック時の「ビッグ4」(アメリカの4大航空会社)を救済するよう財務省に要求した。
また、住宅バブル崩壊や新型コロナのパンデミック時に企業救済策の立案に携わった民主党のジャック・リード(Jack Reed)上院議員もバフェットの取引に触発され、いずれの場合もワラント債の取引を企業に求めたとInsiderに語っている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)