「コロラ」とも呼ばれるコガタペンギンはニュージーランドの固有種だ。
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- ここ数週間、ニュージーランドの海岸に世界最小のペンギン数百羽の死骸が漂着した。
- その多くは餓死したと見られている。
- 気候変動の影響で海水温が高くなり過ぎて、ペンギンたちがエサとしている魚を見つけるのが難しくなっていると、専門家は話している。
ここ数週間、ニュージーランドの海岸に世界最小のペンギン数百羽の死骸が漂着し、自然保護活動家や地元住民を憂慮させている。
ガーディアンによると、183羽の「コロラ」とも呼ばれるコガタペンギンの死骸が6月中旬、90マイルビーチで見つかった。数日前にはケーブル・ベイの近くで100羽以上のコガタペンギンの死骸が見つかったばかりだった。
5月以降、これまでに1000羽近いペンギンの死骸が見つかっていると、同紙はニュージーランド自然保護局の専門家の話を引用して報じた。
ニュージーランドの固有種であるコガタペンギンは世界最小のペンギンで、その体長は25センチあまり、体重はおよそ1キロだ。
海岸で見つかったペンギンの多くは、気候変動の影響で餓死したものと見られると専門家は話している。
ガーディアンによると、2021年の海水温は記録史上最も高かった —— そして、ここ数カ月のラニーニャ現象の影響でコガタペンギンたちがエサとしている魚にとっては"暑く"なり過ぎたという。海水温が上がると、魚はその海域から離れるか、より冷たい海水を求めて深く潜るかのどちらかだ。そのせいで、ペンギンにとってはエサを見つけづらくなっている。
「コガタペンギンは日常的に20~30メートルは潜れますが、それ以上深く潜ることは得意ではありません」とニュージーランド自然保護局の主任科学アドバイザー、グレイム・テイラー(Graeme Taylor)氏はガーディアンに語った。
ニュージーランド自然保護局のウェブサイトによると、生き物の大量死は珍しくないものの、ここまで頻繁に起こるのは珍しいという。
「1000羽以上のペンギンが死ぬような大量死は、かつて10年に一度の出来事でした」と同局は説明している。ところがこの10年で、科学者たちは少なくとも3度の「大量死が起きた年」を確認していると、テイラー氏はガーディアンに話している。
そして、この数字はまだ増えそうだ。ニュージーランド自然保護局は「気候変動が影響を及ぼし続ける中、猛暑や嵐といったその他の悪天候はますます強力かつ頻繁になるでしょう。それに伴って、ペンギンやその他の海の生き物の大量死を見ることが増えるかもしれません」と警鐘を鳴らしている。
現地メディアはペンギンの死骸が山積みになっているショッキングな写真を公開していて、ニュージーランド自然保護局の専門家は、これは死骸を見つけた人間が回収し、一カ所にまとめた可能性もあると話している。
同局の運用管理者であるメイリーン・ハーディ・バーチ(Meirene Hardy-Birch)氏は「海岸でペンギンの死骸を見つけても、そのままにしておくよう皆さんにはお願いしています。海に流されたり、自然に分解されます」とInsiderに語った。
(翻訳、編集:山口佳美)