編集部作成
外資系経営コンサルティング会社大手、PwCコンサルティングとアクセンチュアが6月末〜7月上旬、相次いでメタバース空間内で大規模な社内イベントや、本格的な発表イベントを開く。
3Dで構築された仮想空間で、仕事や遊び、コミュニケーションをとる「メタバース」は、2021年にバズワードとして注目された。そうしたテクノロジー業界の動きを、企業の経営を支援する経営コンサルティング企業大手が、自身でも取り入れ始めた形だ。
PwCコンサルティング、3000台のVRゴーグルを調達。6月末の社内イベント向け
撮影:伊藤有
PwCコンサルティングは、社員全員を対象とする大規模な社内イベントをメタバース(VR空間)上で実施する。社内イベントは6月27日〜29日の3日間で実施。イベントに参加する社員向けに3000台のVRゴーグルを用意した。
同社内イベントではPwCコンサルティングCEOの大竹伸明氏が社員へ3カ年計画を説明するほか、メタバース上での業界の有識者との対談や、著名人を招いたライブコンテンツが用意されている。3日間を通してメタバースの可能性について、ビジネスとエンタメの2つの観点から検証する方針だ。
PwC Japan広報はBusiness Insider Japanの取材に対し、使用するVRイベントのプラットフォームは「VRChat」と国内のVRベンチャーが運営する「cluster」を組み合わせて、コンテンツによって使い分けながら3日間を運営すると明かした。
この時期にメタバース上での社内イベントに踏み切った理由には、「社員一人ひとりへ戦略の理解促進を図るため、ビジネス活用へのニーズが高まっている『メタバース』をプラットフォームとして利用する」という狙いがある。
アクセンチュア日本、全社初の「メタバース記者会見」を7月5日開催
OleksSH / Shutterstock
一方のアクセンチュアはメタバース上での記者会見に踏み切った。
7月5日、2022年に企業が押さえるべき技術トレンドの最新調査を報告する場として「Technology Vision 2022」の記者会見をメタバース上で開く。メタバース上での記者会見は、全世界のアクセンチュアとして初の試みになるという。「会場」には、PwCと同様にclusterを使用する。
アクセンチュア広報はBusiness Insider Japanの取材に対し、メタバース上での開催を選んだ背景について「メタバースがテーマの調査レポートのため、取材記者陣にも深く体験してもらう必要があると考えた」と説明した。
アクセンチュアの調査では、全世界で71%の経営幹部が「メタバースは自社にポジティブなインパクトをもたらす」と答えているという。
VR空間でのプレゼンテーションにあたっては、登壇する日本法人の山根圭輔氏(テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービスグループ共同日本統括 マネジング・ディレクター)が自身を模した3Dアバターを事前に作成し、当日のプレゼンテーションに臨む見込みだ。
PwC、アクセンチュアともに共通しているのは、メタバースをビジネス変革の大きなトレンドして発信する以上、自社でも取り入れ始めなければ言動一致しない、ということだろう。
(文・伊藤有)