ディーブマインドの内部告発者は元同僚に労働組合への加入も勧めていた。
Marianne Ayala/Insider
- AI企業ディープマインドの元社員が、苦しむ同僚たちに退職を検討するよう促している。
- この匿名の元社員は以前、同社がセクハラ問題の解決に積極的に取り組まないことを告発した。
アルファベット(Alphabet)傘下のAI企業ディープマインド(DeepMind)の元社員が、彼女自身のセクシャルハラスメントの被害経験を理由に、「悪い状況にある」同僚たちに会社を辞めるよう呼びかけている。
2022年3月、匿名の元社員(Insiderには身元を明かしている)は2019年を通じて年上の同僚からセクハラや暴行を受けたという申し立てを公にした。彼女は、ディープマインドとその親会社であるアルファベット(Alphabet)が、彼女の申し立ての処理を長引かせたことによって苦痛が増したと主張した。
その同僚からのセクハラの内容には「複数回の性的な誘い、女性への性的暴力行為の露骨な告白を含むグロテスクなメールやテキスト、自傷行為の脅迫など」が含まれていたと、彼女は当時ミディアム(Medium)に投稿している。
この申し立てを受け、ディープマインドの最高執行責任者ライラ・イブラヒム(Lila Ibrahim)は、同社の1200人の従業員にメールを送り、このケースは「複雑」だと主張した。元社員はこれを「決まり文句」 に過ぎないとしてイブラヒムの言葉に反論している。
今回、この元社員は新たな公開書簡で、セクシャルハラスメント被害を申し出た人に対する秘密保持契約 (NDA)の禁止や社内の苦情処理手続きが2カ月を超えないようにするという、以前に人事部に提案した改革を同社が拒否していることを非難した。
「一部の人から『ディープマインドは絶望的だと思うか』と聞かれたことがある。私は以前、そうではないと答えていた。彼らには優秀な人材が必要だ」と元社員は書いている。
「しかし、今ではディープマインドの指導者の(欠如した)反応を見て、また同じような状況にある人々の話を聞いて、アドバイスを改めることにした。もし、あなたが悪い状況に陥ってしまったら、会社を辞めてほしい。人事部はあなたを助けないし、指導者層に対して残っていた、私の信頼もすでになくなっている」
そして彼女は「あなたが幸せなら、会社に残って改革のために闘ってほしい。そうでなければ、人事部に相談しても指導者が劇的に変わらない限りは絶対に変わらない。あなたの才能は他の場所で評価されるだろう」と付け加えた。
この元社員は、社内匿名SNS「Blind」への登録、会社への不満を公の場で訴えること、労働組合に加入することなどを元同僚たちに提案している。
「いつの日か、ディープマインドが労働組合の結成を承認させるのに十分な組合員数が確保できるようになれば、団体交渉力を強化でき、労働者の保護、権利に関する研修、透明性の向上が保証されるだろう」
一方、同社の広報担当者はInsiderに次のように述べた。
「我々はディープマインドがすべての社員にとって安全で、尊敬に値し、包括的な職場であることを保証するように尽力している。これらの指針に沿うように、いくつかの新しい、そして強化された職場方針と慣行を実施している」
「これには、懸念を表明する方法について、すべての社員とよりコミュニケーションを取ること、無意識の偏見を抑制するために管理職とすべての社員向けの年1回の研修を強化すること、懸念の調査担当者向けのための追加研修を展開すること、調査中に懸念を表明した社員の支援を強化することも含まれている」
広報担当者はInsiderに対し、ディープマインドは苦情処理の一環としてNDAを使っておらず、使ったこともないと述べた。しかし「和解契約には一定の守秘義務を課しているが、我々は個人が自分の状況を話す権利について明確にしている。セクハラの訴えを解決した場合、その人は背景にある事実や状況を自由に開示することができる」 と述べている。
同社は最近、「社員との関係がベストプラクティスに準拠していることを確認するための監査を完了した」と述べ、この監査は今後毎年、外部機関によって実施される予定だと付け加えた。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)