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- NFTイベント「NFT.NYC」の創始者であるジョディ・リッチがこのイベントやデジタル資産に関する考えを、Insiderの独占インタビューで明かした。
- 2019年に始まった「NFT.NYC」は現在、ニューヨークのタイムズスクエアなどに1500人以上のスピーカーが登壇するまでになっている。
- 「ニューヨークの『サウス・バイ・サウスウエスト』になるかもしれない」と、ジョディ・リッチは話した。
2022年6月21日、4年連続となる世界最大のNFTイベント「NFT.NYC」が始まった。デジタル資産市場が最近下落を見せているが、創始者のジョディー・リッチ(Jodee Rich)は明るい表情を見せている。
NonFungible.comのデータによると、NFTは2021年に躍進したが、週次の売上はピークである2022年1月の10億ドル近くから80%以上も下落している。それでも「NFT.NYC」は昨年の3倍の規模になっているとリッチは語っている。
タイムズスクエアの7つの公式会場とニューヨーク市中の数えきれないほどのサテライト会場には、1500人以上の登壇者と1万5000人の参加者が4日間に渡って集まり、NFT(非代替性トークン)のあらゆることについて語り合った。また、NFTアーティストによるバーチャルアート作品が、開催期間中にタイムズスクエアの電光掲示板に登場する。
以前は参加者はこのイベントを「仮想通貨のコーチェラ」とみなしていたが、NFTマーケットプレイスのNFT.KredのCEOも務めるリッチによると、ただ単に盛り上がる1週間というわけではなく、NFTに焦点を当てるものだという。
「我々はコミュニティに発言権を与えたかったので、NFT.NYCを始めた」と、リッチはInsiderに語った。
「できるだけ多くの人をステージに上げ、オピニオンリーダーを集め、できるかぎりNFTテクノロジーをイベントに取り入れたかった」
彼はこのイベントを、コーチェラではなく、もっと広範囲のものに例えた。
「ニューヨークの『サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)』になれるかもしれない」
2022年のテーマ「NFTの多様性」は、プログラムにも反映されている。NFTとサステナビリティ、ハリウッド、オリンピックスポーツ、ホスピタリティ、メタバースアパレルとの関連性など、幅広いディスカッションが繰り広げられた。
NFTは、人々がSNSのプロフィールに使うデジタル画像であるだけではないとリッチは言う。それはNFTが持つ最も小さな役割の1つだという。
「NFTアーティストは、それがただのJPEG画像という考えに異議を唱えるだろう」とリッチは述べている。
「NFTはアーティストと作品の購入者の繋がりを変える可能性があるが、それだけでなく、多くの異なるプラットフォームでダイナミックな空間、インテリジェンスやメタデータなどを提供できる」
ブロックチェーン技術が重要
仮想通貨が急落し、OpenSeaなどのマーケットプレイスでのNFTの売上も落ちているが、リッチは楽観視しているという。
第一に仮想通貨の上昇や下落はNFTの成功には必要なく、NFTを支えるブロックチェーン技術が、リッチがもっとも期待しているものだ。
OpenSea上にあるような取引可能なNFTは、NFT市場全体の3分の1未満であり、他のテクノロジーとは完全に切り離されていると彼は説明した。
「発券、ブランディング、ファッションなど、さまざまなチャンスがある」と、リッチは続けた。
「(取引可能なNFTは)我々のイベントやエコシステム全体からすると、ごくごく小さな一部分にすぎない」
このイベントが始まってから4年が経ち、リッチは多くのブランドがNFTテクノロジーに参入しているのを目にしているという。
リッチによると、NFTが主流となってきていることから、主要な企業ではブロックチェーンのテクノロジーを発展させる人材の採用を行っており、この分野に注力しているという。そして、エンターテイメント大手のLiveNationが直近の2回の収支報告でNFTについて触れたことを指摘した。
「NFTはほとんどの業界で混乱を引き起こしている」と彼は語った。
「独自性、発券、ブランド、音楽、ファッション、不動産などの業界だ。我々はまだごく初期の段階にあり、これは長期的なトレンドの始まりにすぎない」
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)