2027年に完成予定の「モルディブ・フローティング・シティ」では、5000棟の浮遊式モジュールユニットに2万人が居住する。
Waterstudio.NL/Dutch Docklands
- オランダの開発業者が、モルディブに広大な水上都市を建設している。
- ここでは、水上に網の目のように配置された5000棟の建物に、2万人を収容する予定だ。
- これらの建物には、住宅、店舗、学校まで含まれ、モルディブの首都マレから10分の距離に建設される予定だ。
オランダの建築事務所Waterstudioが、モルディブの首都マレからわずか10分の場所に水上都市を造ろうとしている。
同事務所が設計した「モルディブ・フローティング・シティ」は、膨大な数の浮遊式モジュールのプラットフォームを、ノウサンゴ(脳珊瑚)のような形につなげたものだ。
Waterstudioの創設者であるコーエン・オルタシュ(Koen Olthuis)がInsiderに語ったところによると、このプロジェクトは、地元の開発業者であるDutch Docklandsとマレの行政府とのコラボレーションだという。その目的の1つは、居住エリアを増やすことだ。
オルタシュによると、水上都市の建設は、今後何世代にもわたって続くであろう海面上昇の脅威への解決策にもなるという。
「水上都市内は、浮遊式のストリートでつながれ、散策することができる。また、都市内や首都マレへの物資や人の移動にはボートが使われる」とオルタシュは言う。
また、水上都市での生活費は、モルディブ本土で開発された街と同程度になるとしている。
「2027年には、5000棟の家に2万人が暮らすようになっているだろう」とオルタシュは考えている。
「モルディブ・フローティング・シティ」の完成予想図。紺碧の海に浮かぶボートは、モジュール間の移動や陸地との移動に利用される。
Waterstudio.NL/Dutch Docklands
CNNによると、水上都市の最初のユニットの内覧会が2022年6月に行われる。価格はワンルームタイプが15万ドル(約2000万円)から、家族向けは25万ドル(約3400万円)からとなっている。2024年初頭から入居が始まり、2027年には都市全体が完成する予定だという。
開発元のプレスリリースによると、この都市はモジュール式の六角形のパーツで構成され、外側にある環状に並ぶバリアー島に接続される。モジュールの底は固定装置につながれ、構造物が海流に流されることはない。
モルディブ・フローティング・シティのアイデアは、Oceanixが取り組んでいるプラットフォームの連結によって構成された水上都市のコンセプトと似ている。国連が支援するこのプロジェクトは、韓国の港湾都市である釜山が受け入れ先となり、約1万2000人が居住する予定だ。
気候に関するシンクタンク、Global Center on Adaptationのパトリック・バーコイエン(Patrick Verkooijen)CEOは、海面上昇に対する解決策として、水上都市はいいアイデアだと思うとCNNに語っている。
「洪水のリスクに対処しなければ、その代償は壊滅的なものとなる」とバーコイエンは言う。
「対処を遅らせて代償を支払うのか、あるいは計画を立てて繁栄するのか、我々は選択を迫られている。水上オフィスや水上ビルは、未来の気候に対抗する計画の一環なのだ」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)
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