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男性育休後のハラスメント訴え、高裁でも棄却。三菱モルガン元幹部「パタハラなくすため最後まで戦う」

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判決を受け、記者会見を開いたウッド・グレン氏。

撮影:横山耕太郎

男性育休をきっかけにハラスメントを受ける、いわいる「パタハラ」問題。

このパタハラを理由に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に特命部長として勤務していたグレン・ウッド(Glen Wood)氏が、同社を相手取り損害賠償などを求めた裁判の控訴審判決が2022年6月23日、東京高裁(渡辺勇次裁判長)であった。

グレン氏は裁判で、育児休業の取得をきっかけとしたパタハラでうつ病を発症し、療養後も正当な理由なく休職命令を受けたと訴え、損害賠償などを求めていた。

東京高裁は判決で「育児休業を理由として不利益取り扱いをしたなどの事実は認められない」として、請求を棄却した。グレン氏は最高裁へ上告する方針。

判決を受けグレン氏の弁護団は、「育休復帰後の環境が保証されなければ、男性育休の取得にはつながらない」と話した。

「育休後、ミーティングが減った」と主張

控訴審では、グレン氏が育休取得を理由として不利益な扱いを受けたかどうかが争点の1つだった。訴状によると、グレン氏は育休取得後、これまで参加していた会議などに呼ばれなくなったなどと主張していた。

控訴審では新たに、グレン氏の上司のスケジュールデータが提出された。グレン氏は自ら記録していたスケジュールと合致しているとして、育休後にIR関連のミーティングなどへの参加が著しく減少したと主張。一方で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券はハラスメントを否定していた。

東京高裁の判決では「客観的な裏付けにかける」とし、

「仮に育児休業の前後で日程が減少した業務があるとしても、各種の業務の多寡はその時期の業務の優先順位や繁閑などに応じて異なると考えられる。

育児休業後に各種業務からは外れたと認めることは困難である」

とした。

男性育休の取得「促進されない」

会見

グレン氏と弁護団が記者会見。担当した江夏弁護士(左)、今泉弁護士(中央)ら。

撮影:横山耕太郎

今回の判決について弁護団の江夏大樹弁護士は、2022年4月から育児・介護休業法が改正され、男性育休の取得対象者には取得の意向を企業側が確認することが義務化されたことに触れ、「政府が男性育休の普及を進めているが、今回のような裁判所の判断では男性育休の取得は促進されない」と話した。

「今回争ったハラスメントは、給与を突然下げるとか、降格させるなどの分かりやすいものではなく、会議に参加させなかったり、これまでとは違う業務を与えたりするという、分かりづらい形のハラスメントだった。

こうしたハラスメントに真摯に向き合ってくれない裁判所であれば、育児休業から復帰後の環境は保証されていないことになってしまう」(江夏氏)

「もうすぐ息子は7歳」

グレン氏の子ども

判決の前には、グレン氏と支援者が高裁前でビラ配りをおこない、グレン氏の長男も参加した。

撮影:横山耕太郎

会見でグレン氏は、「息子はもうすぐ7歳になりますが、7年も会社と戦っていることになります。例えば妊娠した女性がハラスメントを受けたとして、7年間も戦うことができるでしょうか」と、長期に及ぶハラスメント訴訟の難しさを語った。

またグレン氏は今後について、こう話した。

「日本ではまだまだ男性は会社のものだという認識が根強い。男性が育休を取るなんて考えられないとか、育休をとったら仕事を干されてしまうと思っている人も多い。残念ながら今回の判決は、それをサポートするものでした。ハラスメントをなくすため、最後まで戦いたいと思います

(文・横山耕太郎

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