ボーイング747の工場ツアーの様子。
Seattle Times
- ボーイング社は大型ジェット機ボーイング747の最後の3機を製造している。
- その3機とも2022年末までに貨物航空会社のアトラス航空に引き渡される予定だ。
- Insiderはボーイング747の工場を訪れ、最後の747の製造を見学し、その生産と歴史について学んだ。
ボーイング(Boeing)社を象徴する2階建てジェット機ボーイング747が、まもなく組立工場から永遠に姿を消す
ボーイング747。
Boeing
ボーイング747の歴史で最後となる3機は、ワシントン州エバレットにあるボーイング社の工場で生産されている
ボーイング747-8Fの1号機が工場から搬出されるところ。
Boeing
3機はいずれもボーイング747-8で、アメリカの貨物航空会社、アトラス航空(Atlas Air)に引き渡される予定だ。このことはひとつの時代の終わりを意味し、歴史上最も素晴らしい航空機プログラムが幕を閉じることとなる
アトラス航空のボーイング747-8。
Arjan Veltman/Shutterstock.com
ボーイング社の名機で「空の女王(Queen of the Skies)」とも言われた747は、世界最大の航空会社だったパンアメリカン航空(Pan American World Airways)の創業者、ファン・トリップ(Juan Trippe)が、長距離飛行ができ、巨大かつ収容可能人数の多い旅客機の開発をボーイング社に依頼したことからその製造が始まった
パンアメリカン航空のボーイング747。
Morse Collection/Gado/Getty Images
1950年代から1960年代にかけて、空の旅の需要が急増していたため、航空業界ではより多くの旅客を乗せせられ、かつ航空運賃を下げることが可能な大型ジェット機を必要としていた
キャセイパシフィック航空のボーイング747。
LAURENT FIEVET/Getty Images
Source: Insider
16カ月におよぶ設計と組み立てを経て、1969年2月、最初の747が飛行した。「インクレディブルズ(Incredibles)」と呼ばれた約5万人の従業員たちが、4基のエンジンと機首に2階建て部分を備えたこのマンモス機の完成を実現するために働いた
初飛行するボーイング747。
AP
Source: Boeing
ボーイング747は、細身のボーイング707の2倍の収容人数を誇り、当時、最も低い1座席あたりのコストを実現して航空業界に革命を起こした
パンアメリカン航空のボーイング707とボーイング747。
Underwood Archives/Getty Images
Source: Boeing
ジェット機の利用料金が安くなったことで、海外旅行が手頃なものとなった。つまり、長距離のフライトに乗ることは、もはや富裕層や有名人だけの特権ではなくなったのだ
パンアメリカン航空のボーイング747の機内で飲み物を提供する客室乗務員。
Bettmann/Contributor/Getty Images
Source: Insider
ボーイング747の最初のフライトは1970年で、パンアメリカン航空がニューヨークからロンドンまで347名の旅客を運んだ。英国海外航空(British Overseas Airways Corporation)のような他の航空会社もこの画期的なジェット機をいち早く導入し…
英国海外航空のボーイング747。
Keystone/Getty Images
Source: Insider
KLMオランダ航空(KLM Royal Dutch Airlines)も…
KLMオランダ航空のボーイング747-400。
Louis Nastro/Reuters
Source: Insider
デルタ航空(Delta Air Lines)も…
デルタ航空のボーイング747。
aviation-images.com/Getty Images
Source: Insider
…カンタス航空(Qantas)も747を導入した
カンタス航空のボーイング747。
REUTERS/Daniel Munoz
Source: Insider
ボーイング社は、最後に製造される747のうちの1機の組み立てや、その歴史を知ってもらうために、メディア関係者をワシントン州にあるエバレット工場に招いた。その様子を紹介しよう
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Taylor Rains/Insider
Insiderは、最後から3番目となる747-8貨物機の製造が行われているところを見学した。747-8は2010年に初飛行した機種で、ルクセンブルクの貨物航空会社のカーゴルックス航空(Cargolux)やルフトハンザドイツ航空(Lufthansa)など、複数の航空会社で使用されている
ボーイング747-8の初フライト。
Boeing
ボーイング747-8F型は747-400F型の後継機で、比較すると全長は約18フィート(約5.5メートル)長くなり、最大積載量は16%増加している
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Seattle Times
「献身的な従業員たちが最後の747を製造している。多くの人たちがその生涯を通じて、ジャンボジェットに携わってきた」とボーイング社の747の広報責任者ブリアンナ・ジャクソン(Brianna Jackson)はメディアに語った
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Taylor Rains/Insider
「この飛行機に対する従業員の誇りがいかに大きいか、私には言い表すこともできない。ここには40年間、この飛行機にすべてのキャリアを捧げてきた人たちがいる。彼らは747を愛しており、最後まで見届けたいと思っている」とジャクソンは話した
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Taylor Rains/Insider
ジャクソンによると、747の機体の半分を製造するのに約1カ月かかるため、およそ2カ月に1機しかこのジャンボジェットは作れないという
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Taylor Rains/Insider
「空の女王」が最終的にエバレットを離れても、労働力に影響はないが、最後の1機が製造が終わった後に退職を予定しているスタッフもいると彼女は説明した
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Taylor Rains/Insider
この747はまだ完成していなかったが、主翼や尾翼などを含め全体的な組み立てはすでに終わっていた
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Taylor Rains/Insider
ボーイング社は、各部品を取り付けるために工場の天井にある巨大なクレーンを使用して部品を移動させている
クレーンで吊り下げられ移動するボーイング747-8F型機の胴体部分。2010年撮影。
Boeing
見学したこのジェット機にはまだ着陸装置とエンジンが取り付けられていなかったが、エンジンは燃料消費量の低いゼネラル・エレクトリック(GE)のGEnx-2Bが搭載される予定だという
ボーイング747-8F型の1号機に搭載されたGEnx-2Bエンジン。2010年撮影。
Boeing
我々が訪れていた時、従業員たちはノーズカーゴドアの作業をしていた
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Taylor Rains/Insider
747の貨物機は機首が開く仕様となっているため、サイドのドアから出し入れできないような大型貨物の積み下ろしが可能になっている。機首が開くことは747のユニークな特徴で、同機の製造が終了すれば、貨物輸送会社にとって代替機を見つけることは容易ではない
ボーイング747のサイドにある貨物用ドア
Taylor Rains/Insider
取材時はこの747はグリーンに塗装されていたが、納品までにはアトラス航空の機体色に塗装される予定だ。アトラス航空は747-8F型を4機発注しており、2022年5月に最初の1機を受け取っている
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Taylor Rains/Insider
広報担当のジャクソンによると、最後の747機が完成すれば、それはボーイング社が54年以上にわたって製造してきた1574機目のジャンボジェットとなるという
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Seattle Times
「我々は747のレガシーを非常に誇りに思っていて、同じように747の素晴らしいチームを誇りに思っている」
ボーイング747の工場ツアーの様子。
Seattle Times
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)
注:この記事のリンクを経由して製品を購入すると、アフィリエイト契約により編集部が一定割合の利益を得ます。