ソフトバンクG・孫正義氏、Arm売却断念は「言い訳抜きで良かった」。株主総会で

ソフトバンクグループは6月24日、本社を置く東京都港区で42回目の定時株主総会を開いた。傘下の英Armを米NVIDIAに売却する計画が頓挫したことについて、孫正義会長兼社長は「言い訳抜きで(各国政府の)許認可が降りなくてよかった」と笑顔を見せた。

「売らなきゃお金がない状態だった」

孫氏は世界のユニコーン企業に投資している傘下ファンド「ビジョン・ファンド」とArmが、ソフトバンクGの新しい成長エンジンだと株主に強調した。

上場させる方針を決めたArmは「コロナが始まりどん底で、売らなきゃお金がない状態だった。今は戻ってきて良かった」とし、「インターネットトラフィックの増加と共に伸びていく会社だ」と述べた。

孫正義会長兼社長

画像名 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長

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ソフトバンクG株については、「上がったり下がったりが激しく、信用買いで買うのは危険。(信用買いなら)少し借りて、長く持っていただきたい。僕は必ず上がると信じている」と話した。

スピーチの終盤では、「これからが僕のやりたかったこと。やる気満々、夢満々。髪の毛だけが滅んでいく」と語って笑いを誘った。

株主との一問一答

——475社の投資先から、中国アリババ集団を超える規模の会社は出てくるか。

1社か2社か、うまくいって3社。可能性が十分にあるのがまさにArmで、将来はGAFAに相当する規模になる。

——Armをロンドンで上場させる考えは。

(Armの本社がある)イギリス、Armのお客さんが多いアメリカからラブコールをいただくが、まだ決めていない。本命はナスダックだ。

——投資成果が出るまでにあと何十年待てばいいのか。

何十年までは待たなくていいと思う。「桃栗三年柿八年」と果物でも時間がかかる。5、10年くらい待てば、かなり美味しくなる。

——ビジョン・ファンドの投資先の価値が大きく目減りしている。

世界中の株価も大半が目減りしているが、僕のビジョンは微動だにしていない。だから(情報革命の)進化に逆張りはしない(で投資する)。借入比率を25%未満に抑えていて、危ないときこそ、夜道はライトを付けて安全運転する。

——配当が低いのでは。

安定的な配当をし、代わりに機動的に自社株買いもしている。日本企業の中では自社株買いの規模が一番大きいのではないか。ソフトバンクGでは配当より、株式そのものの価値を増やしていく。

(文・Strainer編集部)

"Strainer"より転載(2022年6月24日公開

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