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ウォルマートがアマゾンの“縄張り”侵食。収益75%増のデータ分析サービス「ルミネート」が引き起こす新たな戦い

アマゾンvs.ウォルマート

Bruce VanLoon, Ascannio / Shutterstock.com

ウォルマート(Walmart)のデータベンチャー責任者であるマーク・ハーディ(Mark Hardy)は、転職してきて約2年半になる。歯に衣着せないハーディは、長年のライバルであるアマゾンのデータ戦略を自社と比較して率直にこう語る。

「アマゾンの取り組みは統一性に欠けていて、まとまりに欠けていますね。それに比べるとウォルマートは、すべてをまとめて、クローズドエンドのエコシステムという戦略をとっています」

ハーディ氏が言及した「クローズドエンドのエコシステム」とは、ウォルマートのデータマネタイゼーション・プラットフォーム「ウォルマート・ルミネート(Walmart Luminate)」を指している。

2021年10月に立ち上げられた同プラットフォームは、ウォルマートの仕入先である卸売業者やサプライヤーにデータ一式を提供するもので、いま急速に拡大している。2021年第4四半期から2022年第1四半期にかけて収益は75%以上も伸び、加入するサプライヤー数も50%増加した。

ルミネイト

ウォルマートの仕入先である卸売業者やサプライヤーにデータ一式を提供するプラットフォーム「ウォルマート・ルミネート」

Walmart

ウォルマートは他の小売業者向けのサービスを多様化し、テクノロジーの面でも影響力を拡大することを目指しており、「ウォルマート・ルミネート」はその計画の一環だ。

ウォルマートは同プラットフォームについてあまり明らかにしていない。Insiderの取材に応じたハーディも、何社のサプライヤーが同プラットフォームを利用しているのか、プラットフォームを利用する際のサプライヤー側の費用負担はどのくらいか、など特定の話題については「企業秘密」だとして明かさなかった。

だが、今回の取材でハーディがルミネートについて語った内容が、これまでで最も詳細な説明だったことは間違いない。そればかりか、ハーディは“小売業界の巨人”たるウォルマートがテック業界へと活動領域を広げ、アマゾンと競合することの意味合いについても語ってくれた。

3つの機能を1つのプラットフォームに集約

2021年に初めて米国内の小売り支出シェアでアマゾンに首位の座を明け渡したウォルマート。データサービスの領域でもアマゾンとの競争は続きそうだ。

Bob Chamberlin/Getty Images

ハーディによれば、「ウォルマート・ルミネート」の機能は大きく3つあるという。1)購買行動の観測、2)顧客意識の把握、3)商品購入時に利用される販売チャネル(オンライン、店舗、アプリ内)の分析だ。

「購買行動」——つまり顧客層に応じた買い物かごの内訳や購買傾向に関するデータは、従来から長らくサプライヤーが利用してきたものだ。多くの場合、サプライヤーはニールセンやインフォメーション・リソーシズなどの二次調査会社を通じて入手していた。

これに対してウォルマート・ルミネートは、データの規模が特徴だとハーディは言う。「当社のプラットフォームが提供する分析は、きめ細かさという点で、他社が提供しているデータとは一線を画しています」

一方、「顧客意識」では、卸売業者やサプライヤーがウォルマートの特定の顧客層(ハーディの言葉を借りれば「買い物客のコミュニティ」)に対して独自調査を行うことができる。集計されたデータは匿名化されるという。

「ウォルマート・ルミネート」には購買行動、顧客意識、販売チャネルのパフォーマンスに関する3機能が上に集約されているので、データ分析を効率的にこなせる。

ハーディも「この取り組みは、ウォルマートのみならず業界全体にとって画期的なもの」と自信をのぞかせ、「ウォルマートは、正確なインサイトを瞬時に導き出し、そのインサイトを迅速に活用して顧客との関係を築くためのエコシステムを築いていますから」と付け加える。

「アマゾンはオムニコマース全体では存在感を示せていない」

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