Associated Press
- アメリカの大手企業は2021年、CEOや会長が使うプライベートジェットに3400万ドル近くを費やした。
- Metaは、マーク・ザッカーバーグCEOの自家用機での出張費に160万ドルを費やし、最も支出の多い企業となった。
- 複数の企業が新型コロナウイルスへの懸念に関連して出張費が増えたと述べている。
2021年にアメリカの大手企業がプライベートジェットに費やした金額は、2012年以降で最も多くなり、フェイスブック(Facebook)創業者のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)の支出がそのトップとなった。
投資顧問会社ISSコーポレート・ソリューションズ(ISS Corporate Solutions)のデータを引用したフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)のレポートによると、S&P500に名を連ねる企業は、2021年、CEOや取締役のプライベートジェットを使った旅費に3400万ドル(約46億円)近くを費やしたという。
ISSコーポレート・ソリューションズの調査によると、2021年に企業がプライベートジェットに費やした金額は平均で約17万ドル(約2300万円)となり、2020年より3分の1以上も増えたという。
このニュースの背景には、平均的な従業員の給与とCEOの給与の格差が広がっているとして、企業に対する批判が高まっていることがある。2022年6月初め、政策研究所 (Institute for Policy Studies) の報告によると、アメリカで最も賃金の低い企業300社の経営陣は、自社の労働者の約670倍もの収入を得ていることが明らかになった。
複数の企業は、自家用機の利用増加の理由は、新型コロナウイルスへの懸念によるものだとしている。フィナンシャル・タイムズによると、ディスカバー・フィナンシャル(Discover Financial)とロッキード・マーティン(Lockheed Martin)は、パンデミックが始まって以来、経営陣がプライベートジェットでの移動をより自由に使えるようなったと述べている。
プライベートジェットの利用を後押しした問題は、新型コロナウイルスの懸念だけではないかもしれない。多くの企業にとって、プライベートジェットは著名な最高経営責任者の重要なセキュリティ対策となっているからだ。
「マーク(ザッカーバーグ)の安全を維持するためには、総合的、高機能な手段が必要だ」とMeta(メタ)の広報担当者はInsiderに語った。
「彼がMetaで果たしている重要な役割と、そこから生じる安全への脅威を考慮すれば、マークはあらゆる出張や個人的な移動の際にプライベートジェットを使用する必要がある」
2021年、パンデミックの影響でCEOたちのセキュリティコストが急増したとプロトコル(Protoco)は、報じている。しかし、他の経営者たちのセキュリティコストは、マーク・ザッカーバーグと比べてると見劣りするものだ。
2021年、Metaはザッカーバーグのためのプライベートジェットに約160万ドル(約2億1400万円)を費やした。これは彼のセキュリティに費やされた過去最高の2680万ドル(約36億2800万円)の一部だ。この経費は、2022年初めの規制当局へ提出した書類で明らかにされた。証券取引委員会(Exchange Commission)への提出書類の中で、Metaは、ザッカーバーグの役割が彼自身の安全を脅かす可能性があると述べている。
「彼はMetaの代名詞であり、その結果、当社に関する否定的な感情はザッカーバーグと直接関連付けられてしまい、多くの場合、彼にその感情が向けられる」と同文書には記されている。
Metaは2021年、タイソン・フーズ(Tyson Foods)やロッキード・マーティンなどとともに役員用のプライベートジェットに100万ドル以上を費やしたわずか3社のうちの1社となった。
2021年、グーグル(Google)はサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai )CEOのセキュリティ対策に約430万ドル(約5億8000万円)の経費を充て、アマゾン(Amazon)は創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)に約160万ドル(約2億1400万円)、新CEOアンディ・ジャシー(Andy Jassy)に60万ドル(約8100万円)弱を費やしている。両社とも2021年のISSコーポレート・ソリューションズのプライベートジェットに最も多く支出した15社のリストには含まれていない。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)