キーズ夫妻は29歳でセミリタイアに必要な貯蓄目標を達成した。
Photo by Lauren and Steven Keys
2012年、大学を卒業したばかりのローレンとスティーブンのキーズ夫妻(Lauren and Steven Keys)は、荷物をまとめてカリフォルニアからフロリダに引っ越した。
ローレンはマーケティング会社に、スティーブンは高校の物理教師として職を得た。2人の収入はそれぞれ約4万ドル(約540万円、1ドル=135円)だった。
それから10年足らず、29歳の時に2人は正社員の仕事を辞めた。4%ルール(編注:年間生活費の25倍を貯蓄して投資に回し、30年間毎年4%を引き出せば、理論上は資産を減らすことなく運用益だけで生活できるとするルール)に従い、キーズ夫妻は働かなくても生活費をまかなえるだけの投資資金を手に入れたのだ。
その後は、彼らが「セミリタイア」と呼ぶ生活に入った。パートタイムで働いて、投資を続け、旅行をするライフスタイルだ。
ブログ「トリップ・オブ・ライフスタイル(Trip of a Lifestyle)」も運営するキーズ夫妻が、セミリタイアを可能にしたお金に関する3つのポイントを明かしてくれた。なお、2人は現在もこのポイントに沿って生活をしているという。
1. ライフスタイルのインフレを避ける
キーズ夫妻は、どんなに収入があっても、必要以上にお金を使うことを避けてきた。
「僕たちは大学時代の生活水準でかなり満足していました。かなり安上がりでしょう?」と、スティーブンは語る。
「だから、もっと高いものを買ったり、車や住居をアップグレードしたりする代わりに、『このお金を投資したらどうだろう?』と話してきたんです」
カリフォルニアからフロリダに引っ越したとき、2人は1ベッドルームのアパートを一緒に借りた。5000ドル(約67万円)相当のホンダ・シビックをシェアし、スティーブンは毎日自転車で職場と大学院に通った。
たとえ昇給や副業による収入で純資産が増えても、キーズ夫妻は慎ましい暮らしを続けてきた。「あるレベルの消費で満足でき、純粋に幸せな生活を送っているなら、そこから消費を増やす理由はありませんから」とスティーブンは言う。
ただし、自分が大切にしているものを捨てる必要はないと彼らは語る。その代わり、何かを購入することが自分を幸せにするのか、それとも社会的なプレッシャーから来る必要以上の出費の衝動なのかを見極めることが大切だという。
しかし、満足できるほどの出費の基準は、多くの人が思っているよりもずっと低いとローレンは言う。
「フルタイムで働いていた時は必要のないものも買っていました。でも、そのほとんどは『手頃な価格のもの』または『価値が下がりにくいもの』に収めるよう努めました」と、2人はブログにも書いている。
「必要がないかもしれないものに散財するのであれば、まずは自由を買えというのが僕たちからのアドバイスです。だってそうでしょう? まず経済的な自由を得てから、もしその気になったらそういうものをケースバイケースで検討すればいいんですから」とスティーブンは言う。
2. 本業以外でお金を稼ぐことにも前向きに
キーズ夫妻は、いつも副業をしている。「僕たちは小規模ながらいろいろな副業をあれこれやってきました。大金にはなりませんよ、副業の稼ぎは多分1年に1万ドル(約135万円)くらいだと思います」と、スティーブンは語る。
「でも、本業で年間4万ドル(約540万円)稼いでいる人が、年間1万ドルも収入を増やせるんですから、本業の稼ぎに対する割合としては、かなりの額と言えるでしょう」
4%ルール(※)に従い、キーズ夫妻が働かなくても生活費をまかなえるだけの投資額を手に入れたとき、スティーブンは雇用主に対し、フルタイムではなくパートタイムで働きたいと持ちかけた。
雇用主はこれを了承しただけでなく、かなり高い時給を提示してくれた。スティーブンは、今では週に10時間ほど業務を行い、追加の投資資金としている。お金に困らない状態になれば、パートタイム以外の時間を副業に充てたとしても、自分で時給単価を設定することが可能になる。
「使える時間をすべて売る必要がなくなれば、自分の時給単価も好きに決められるようになります」と、夫妻はブログに書いている。
3. 新しいスキルを学び続ける
ローレンは、自分のスキルを磨けるような新しいプロジェクトに参加することを勧めている。スキルを磨けば、収入アップにつながったり、別の副業にありつけたり、自分で提供できるサービスの費用を節約したりと、後々役立つ可能性があるからだ。
特に、大学に行かなかったり、行く予定がなかったりする人は、「お金を稼ぎやすいスキルを身につける努力をしましょう」と2人はブログに書いている。スティーブンとローレンは写真について学び、ブライダルフォトやポートレートを撮影する収益性の高い副業を始めた。
新しいスキルを身につけることで出費を抑えることもできる。キーズ夫妻は、修理工場で何千ドルも払う代わりに、YouTubeを見て車のちょっとした修理の仕方を学んだ。
ローレンとスティーブンは29歳のとき、彼らが「セミリタイア」と呼ぶ生活に入った。パートタイムで働いて、投資を続け、旅行をするライフスタイルだ。
「早く始めるほど、早く自由を感じられるようになる。これが一番大事なポイントですね」
※この記事は2022年7月1日初出です。