中国の富裕層は、欧米の教育は独立した思考を育てると考えている。
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- ブルームバーグによると、中国の富裕層の親たちは子どもを日本のインターナショナルスクールに通わせている。
- これは、2021年12月に中国のインターナショナルスクールが、国が承認したカリキュラムを採用することを余儀なくされたことが背景がある。
- 中国の裕福な家庭では、欧米の教育が自立した思考を育てると考えられている。
中国の富裕層は、欧米の教育を受けさせるために、自分の子どもを日本のインターナショナルスクールに通わせるために高額な学費を支払っていると、2022年6月26日、ブルームバーグが報じている。
これは2021年12月に中国のインターナショナルスクールが、国が定めたカリキュラムを採用せざるを得ない状況になったという背景がある。中国政府による国際教育とバイリンガルの私立教育に対する締め付けは、若い世代に愛国心を植え付け、反抗心を抑えようとする共産党のイデオロギー的な動機によって進められてきた。
胡潤総合研究所(Hurun Research Institute)が2022年3月に発表した「中国の国際教育事情」によると、中国の富裕層は、欧米の教育を重視し、その教育は自主的な思考を身につけることができると考えているという。そのため、親の多くは自分たちの子どもを日本に留学させているというのだ。
「日本の安全で衛生的な生活環境を知っている中国人の家庭は、中国国内で教育の締め付けがあってから、日本での新型コロナウイルスの規制が緩和されれば、寄宿学校に子どもを送りたいと考えている」と、日本のインターナショナルスクールのコンサルティング会社、セブンシーズキャピタルホールディングス(Seven Seas Capital Holdings)の村田学はInsiderに語っている。
ブルームバーグは、教育データ会社のISCリサーチ(ISC Research)の調査を引用し、日本ではこの1年間でインターナショナルスクールの入学者数が急増していると報じている。それによると、日本のインターナショナルスクールの授業料の総額は、2022年には9億7900万ドル(約1338億円)に達する見込みで、2017年の授業料7億6600万ドル(1047億円)から27.8%増加する勢いだという。
このような需要に応えるために、日本では新たなインターナショナルスクールが次々と誕生している。ブルームバーグによると、ラグビースクール・ジャパン(Rugby School Japan)、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(Harrow International School Appi Japan)、マルバーン・カレッジ東京(Malvern College Tokyo)など、日本に展開するイギリスの名門校がその一例だという。
ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンは、岩手県の安比高原に位置する。
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ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンは年間授業料が850万円(6万3000ドル)からと、かなり高額だ。11歳から18歳の生徒が通学する同校のキャンパスは日本最大のスキーリゾートにあり、36ホールのゴルフコースと18面のテニスコートも備えているという。
ある中国人の父親は、ブルームバーグの取材に対し、同校の評判を聞いて自分の子どもをハロウインターナショナルスクール安比ジャパンに通わせていると語った。
「中国の友人たちは、私の子どもがハロウに入学したことをうらやましがっている。日本は近いし、文化も似ているし、安全だから、子どもを留学させたいと思っている中国の富裕層にとって非常に魅力的だ」
ハロウインターナショナルスクールは、Insiderのコメント要請に回答していない。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)
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