ビデオ会議、メール作成、マウスの軌跡…全てを上司が把握する恐怖。人間関係は崩壊した〈JPモルガン従業員監視〉

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米銀大手JPモルガン・チェースの従業員(記事公開時には退職)が、行動データを逐一監視される行内の緊張に満ちた状況を赤裸々に語った。

Felix Lipov/Shutterstock.com

以下の聞き書き談話は、キャリアへの影響を回避するため匿名を条件に取材に応じた米銀大手JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)の従業員の話に基づく。

Insiderは取材に応じた従業員がJPモルガン・チェースに勤務する本人であることを確認済みだが、記事公開時点では同社を退職している。


JPモルガン・チェースで15年間働いてきましたが、心血を注いだ会社に裏切られた気がして、いまは転職活動をしています。

恐怖で人を縛りつけるシステムに、私は巻き込まれたくないのです。

JPモルガン・チェースは、私たち従業員のオフィス出社状況を監視し、日々の勤務に関するデータを収集しています。

「オフィスに復帰して大丈夫だろうか」

JPモルガン・チェースは2022年4月、ほぼすべての従業員に対してリモートワークとオフィス出社を組み合わせたハイブリッドワークの導入を通知しました。

しかし、私はいますぐオフィスに復帰するのは非常にリスクが高いと考えています。

我が家にはワクチン接種にはまだ早い小さな娘がおり、私が公共交通機関に乗ったりオフィスに出社したりすれば、新型コロナ感染のリスクを持ち帰ることになります。

そんなわけなので、私はまだ一切オフィスに復帰していませんし、いまのところ復帰する予定もありません。

ただ、会社はIDバッジを使って出社状況を監視しているのです。誰が、いつ、どれくらいの頻度で出社しているか、正確に把握しています。

このシステムによる監視をうまく免れようと、出社する同僚にキーカードを渡してリーダーに通して(出退社時間を記録して)もらうという持ちつ持たれつの手段もあると聞いています。

金融業界は基本的にコンプライアンスにきわめて厳しいので、ものすごく驚きです。

また、会社による監視はそれだけにとどまりません。

ワークフォース・アクティビティ・データ・ユーティリティ(Workforce Activity Data Utility)」と呼ばれるプログラムを通じて、ズーム(Zoom)でのビデオ会議やメール作成、社用電話での通話時間を追跡することもできます。

私たち従業員が使うマウスの動きも追跡されているとのことで、ポインタの動きを日がな止めないように(本来はコンピュータの不意のスリープを防ぐ用途の)マウスジグラーをダウンロードした同僚もいます。

実際のところ、本当にマウスの動きまで追跡されているのか、真偽のほどは分かりません。でも、会社が何を、何のために監視しているのか、それが分からないからこそ不安になるのです。

『1984』のビッグブラザーを彷彿とさせる監視

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