KDDIの大規模通信障害がほぼ回復。障害発生から60時間超、補償はどうなる?

KDDI ロゴ

KDDIは7月2日から続いた大規模通信障害の復旧が完了したと発表した。

撮影:今村拓馬

KDDIは7月4日16時、7月2日から発生していた全国規模の通信障害について「音声通話・データ通信含め全国的にほぼ回復」したと公表した。最新の状況は障害情報から確認できる。

同障害は、7月2日午前1時35分から始まり、音声通話やデータ通信などがつながりにくい状態が続いていた。

7月3日の復旧作業後もつながりにくい状態が続いた

KDDI つながりにくい状況

KDDIのオンライン専用プラン「povo2.0」でもつながりづらい状況が続いた。

撮影:小林優多郎

影響エリアは全国。対象となるサービスは、au、UQ mobile、povoといったKDDIの運営する通信サービスならびにau回線を利用する通信事業者(MVNOなど)につながる携帯電話やIoT機器、ホームプラス電話/ホーム電話などになる。

原因は7月2日未明に発生した設備障害だが、設備交換後もVoLTE交換機でトラフィックが混雑状態になる「輻輳(ふくそう)」が発生し、つながりにくい状態が続いた。

KDDIは7月3日11時頃に西日本エリア、同日17時30分頃に東日本エリアの復旧作業を終えたと発表している。

しかし、復旧作業後もネットワーク試験や輻輳を抑える流量制限により、音声およびデータ通信が利用しづらい状態が続いていた。

「重大な事故」該当で報告、今後の補償対応は注目

髙橋誠

KDDIの髙橋誠社長(写真は2022年5月13日の決算会見時)。

出典:KDDI

KDDIは7月3日午前に会見を実施。会見冒頭でKDDIの髙橋誠社長は「社会インフラを支える、安定したサービスを提供する立場である通信事業者として深く反省している」と陳謝した。

また、情報通信を管轄する総務省は7月3日に臨時の記者会見を実施。金子恭之総無相は「電気通信事業法上の重大な事故に該当すると認識」と発言。

正式に「重大な事故」と認定されれば、KDDIは事故発生から30日以内に事故のより詳しい内容を報告する必要が出てくる。

気になるのは、利用者に対する補償だ。KDDIは例えばauの5G契約の約款において

通信サービスが全く利用できない状態(その契約に係る電気通信設備によるすべての通信に著しい支障が 生じ、全く利用できない状態と同程度の状態となる場合を含みます。以下この条において 同じとします。)にあることを当社が認知した時刻から起算して、24時間以上その状態が連続したときに限り、その契約者の損害を賠償します」(au (5G) 通信サービス契約約款 本文より)

としている。

今回のケースでは障害が発生していた期間については24時間は確実に超えているが、一部のエリアや端末では利用できていた例もSNSなどでは報告されており「全く利用できない状態」だったとは言い切れない。

KDDIの髙橋社長は7月3日の会見で「一律に補償させていただくという、回答は持ち合わせていない」としつつ「今回の障害の内容をもう少し見た上で、検討していく」と話していた。

(文・小林優多郎

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