シボレーの「ボルトEUV」(上)とフォードの「マスタング マッハE」。
Tim Levin/Insider
- フォードとシボレーの電動SUVを試乗した。
- フォードの「マスタング マッハE」の方が機敏だが値段は高く、シボレーの「ボルトEUV」は安くてコンパクトだ。
- どちらもさまざまな特長を持つ素晴らしいゼロエミッションカーだ。
フォードとシボレーのファンは、別のことで論争している。
デトロイト発のこの2つのブランドは現在、電動SUVの販売で競い合っている。フォードは2020年後半に販売された「マスタング マッハE」、シボレーはバッテリーに関する問題のため長期間販売を休止していた「ボルトEUV」の販売を最近再開した。
この2つの車には共通点はない。一方はクラシックなマッスルカーを電動化したスポーティなタイプ。もう一方は、通勤用のコンパクトなSUVだ。価格面でも2022年式ボルトEUVの価格は比較的控えめで3万4495ドル(約470万円)からだが、フォードのマスタング マッハEはベースとなるセレクトモデルでもそれより1万ドル(約136万円)も高い(追記:2023年式のボルトEUVは、2万8195ドル(約384万円)に大幅値下げされるという。現在注文可能で、生産は2022年の夏以降に開始)。
だが、SUVタイプの電気自動車(EV)は多くないため、これらを次のゼロエミッション車の購入候補に考える人もいるだろう。
そこで、これら2台のファミリー向けEVに試乗し、項目ごとに比較した。
運転のしやすさ
2022年式ボルトEUV。
Tim Levin/Insider
フォードのマスタング マッハEは、ボルトEUVよりも速く、機敏で、あらゆる面で運転する楽しみを与えてくれる。何しろマスタングなのだから。マッハEは、航続距離は短くなるがパフォーマンスは上がる全輪駆動バージョンも購入可能だ。
一方、ボルトEUVは前輪駆動のみだ。しかし、運転はスムーズで、信号待ちからも比較的早く走り出すことができる。
航続距離
2021年式マスタング マッハE。
Tim Levin/Insider
ボルトEUVはすべてのグレードで、EPA(アメリカ環境保護庁)の航続距離評価で247マイル(397.5km)を獲得しており、これはマッハEの最も安いモデルと同じだ。全輪駆動のマッハEセレクトは224マイル(360km)まで落ちる。
だが5万3500ドル(約727万円)のマッハEカリフォルニア・ルート1は最大314マイル(505km)走行可能で、このクラスではトップに近い。
充電の早さ
2021年式マスタング マッハE。
Tim Levin/Insider
ボルトEUVは、DC急速充電器で55kWで充電できるが、これはマッハEなどの競合と競える数字ではない。シボレーによると、30分の充電で走行距離を95マイル(153km)伸ばせるという。
マッハEはモデルにより、最大で115kWから150kWを充電でき、より短時間でより長い走行距離を伸ばすことが可能だ。
多くのEVオーナーは自宅で夜間に充電するため、最大のkW数はあまり大きな問題ではない。だが長距離ドライブで、短時間で充電して再び走り出そうとするようなときには大きな違いになる。
サイズ
2022年式ボルトEUV。
Tim Levin/Insider
ボルトEUVはマッハEより、全長は16インチ(約40cm)、全幅は4インチ(約10cm)短く、車庫入れはやりやすい。車高は同じだ。
収納スペース
2022年式ボルトEUV。
Tim Levin/Insider
サイズから言ってもマッハEの方が収納力が高いのは当然だ。後部座席の後ろには29.7立方フィート(約841リットル)の収納スペースがあり、一方、ボルトEUVは16.3立方フィート(約461リットル)だ。
しかし、後部座席を倒せば、ボルトEUVは56.9立方フィート(約1611リットル)のスペースが生まれ、マッハEの59.7立方フィート(約1690リットル)よりもやや少ないだけだ。
マッハEのフロントトランク。
マッハEはさらにフランク(フロントのトランク)に4.7立法フィート(約133リットル)のスペースがあり、これはボルトEUVにはないものだ。フランクは必須でないが、濡れたり汚れたりしたものを他の荷物と一緒にしたくないときには役立つだろう。
最終評価
この2つの車には異なる特徴があり、それぞれが堅実な選択肢になるだろう。
ボルトEUVは、手に入れやすい価格で販売されている(マッハEが7500ドルの税額控除の対象であったとしても)。そして、2023年モデルはさらに価格が安くなる。サイズもコンパクトで、都市生活に適した車だ。
マッハEは、最大航続距離や充電速度、収納、パフォーマンスで優位に立っている。さらに、低いボディとなめらかな外観は注目を集めるはずだ。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)