ガーリング・ジョーンズの従業員は、曜日が重ならないように休日を取っているが、月曜日と金曜日は全員がオフィスに出勤している。
Girling Jones
- イギリスで70社3300人の労働者を対象に、週4日労働の実証試験プログラムが行われている。
- それに参加しているガーリング・ジョーンズは、2022年1月から独自に週4日労働を試験的に導入していた。
- 同社のアソシエイト・ディレクターによると、生産性、収益、勤労意欲、すべてが向上しているという。
1年前、イギリスのデヴォン州を拠点とする建設人材紹介会社ガーリング・ジョーンズ(Girling Jones)の経営陣は、求職者に対して自社をより魅力的にアピールする方法についてブレインストーミングを行っていた。
同社アソシエイトディレクターのフィオナ・ブラックウェル(Fiona Blackwell)(34歳)がInsiderに語ったところによると、給与の引き上げや労働時間の短縮など、さまざまなアイデアを議論したという。しかし、あるアイデアが何度も出てきた。週4日労働だ。
アイスランドで成功したという週4日労働の試みに触発されて、ブラックウェルのチームでも2022年1月から1年間のテストを実施することになった。12人の従業員が、少ない労働日数で同じ額の給料をもらうという試みだ。当初は従業員の雇用と維持を容易にすることを目標としていたが、ブラックウェルによると「もっと大きなものになった」という。勤務時間中に生産性を高めようという環境が生まれ、従業員の雰囲気も良くなり、さらに収益も上がったのだ。
「今、週4日労働を取り入れているのは、その方がもっと幸せになれるからだ」とブラックウェルは言う。
「家庭生活が充実し、趣味とのバランスも取れていれば、仕事も充実してくるだろう。これらは直結しているからだ。それこそが、当初の目標を超えて、現在我々が週4日労働を導入する理由だ」
ガーリング・ジョーンズは2022年7月から、他の約70のイギリス企業とともに、週4日労働の実証試験プログラムに参加している。これは3つの非営利団体、労働シンクタンク、英米の3大学の研究者が共同で行う「週4日労働グローバル(4 Day Work Week Global)」というプログラムで、6カ月にわたって食品製造、マーケティング、技術などさまざまな産業から3300人の労働者が参加する。ガーリング・ジョーンズは、週4日労働のテストを独自で開始した数カ月後に、このプログラムに参加するよう要請された。
このプログラムは、労働時間を削減することで、労働者のメンタルヘルスと幸福度を向上させることを目指しているが、ブラックウェルが指摘するように、労働時間の削減は、労働者を引き付け、雇用を継続させるために、雇用主にとっても必要なことなのかもしれない。
というのも、アメリカでもイギリスでもこの1年、「大退職」で労働者が大量に仕事を辞めているからだ。労働者はより良い給料や労働条件、ワークライフバランスを求めており、「フルタイムで出勤させられるのであれば辞める」と多くの人が答えている。転職が盛んになり、労働者がオフィスに戻るのを嫌がるようになったことから、ガーリング・ジョーンズのように、各企業では労働者を幸せにするための方法を模索している。そして、その答えが週4日労働なのかもしれない。
「我々は、人材紹介会社として初めて週4日労働を取り入れたので、労働者の定着を確実なものにしていきたい」とブラックウェルは言う。
「この環境で仕事をすると、週5日労働に戻ることは難しくなるだろう」
「週4日になって、より集中して仕事をするようになった」
ガーリング・ジョーンズの従業員は、曜日が重ならないように休日を取っているが、月曜日と金曜日は全員がオフィスに出勤している。
「週4日になって、より集中して仕事をするようになった」とブラックウェルは言う。
さらに、勤務時間が減ったにもかかわらず、ここ数カ月の従業員の生産性は、全体的に向上しているという。それは、無駄な時間が少なくなったからだろうと彼女は考えている。