Irene Jiang / Business Insider
- 米サブウェイが、カスタマイズせずにそのままオーダーできる12種類のサンドイッチを含む新メニューを発表した。
- 新メニューは、サブウェイがこれまで重視してきたカスタマイズ方式とは異なる新しい試みだ。
- 新メニューは、キッチンでのシンプルなオペレーションを可能にし、売上を伸ばすことで、不振からの脱却をもたらすかもしれない。
米サブウェイ(Subway)が、これまで行ってきた「自分で好きなものを作る」ビジネスモデルから大きく転換し、新しいメニューの提供を開始した。
新メニューには利用客がそのまま注文するだけの12種類のサンドイッチが含まれており、これは多くのレストランでは普通のことだが、サブウェイにとっては大きな変化となる。新メニューはイタリアーノ、チキン、クラブ、チーズステーキの4カテゴリに分かれている。
サブウェイは、利用客が好きな材料を指差して、目の前にいる店舗スタッフがカスタマイズサンドイッチを作るスタイルで人気を上げた。「利用客は、自分のサンドイッチをカスタマイズすることを期待して店に入る。それがサブウェイが築き上げたものであり、それは60年にわたって続いてきた」と同社は新メニュー発表のプレスリリースで述べた。
サブウェイは他のファーストフード店と同じようなメニューに再構成し、利用客には同社の食に関する専門知識や、楽しんでもらえるサンドイッチ作りを行うサンドイッチ職人を信頼してもらうよう呼び掛けているという。
新しいサンドイッチのメニューは7月5日から販売開始となったが、利用客は食材を代替品に変えたり、自分で好きなサンドイッチを作ったりすることもできる。
新メニュー導入にはいくつかの理由がある。カスタマイズの少ない標準化メニューは、複雑さを軽減することで従業員の素早いオペレーションを可能にする。導入テストでは、新メニューによってオペレーションがスピードアップし、利用客からの質問も少なくなったと北米サブウェイ代表のトレバー・ヘインズ(Trevor Haynes)はプレスイベントでInsiderに語った。
サービスのスピードアップはより多くの販売と利益につながる可能性があるとカリノフスキー・エクイティ・アソシエイツ(Kalinowski Equity Associate)のマーク・カリノフスキー代表はInsiderに語った。サブウェイはマクドナルドやウェンディーズなどの競合と比較すると販売量が少なかったが、メニューをシンプルにすることで利用客の待ち時間を短くし、売上を伸ばす可能性がある。サブウェイが2021年に行ったメニューの刷新は、下降傾向だった売上を押し上げ、同チェーンに希望を与えたので、今回の非常に野心的な変更も期待できるかもしれない。
事前のオプションを選択したメニューを設けたことは、カスタマイズオーダーしたい利用客のオンラインオーダーの利用も促進するだろう。オンラインオーダーは業界全体で伸びており、カスタマイズ方式に最適だとカリノフスキーは指摘した。オンラインの売上は、多くのマージンを得て、調理をより素早く行い、利用客は通常テイクアウトするため、低コストでダイニングスペースを維持できることから、企業にとって魅力的だ。
サブウェイのカスタマイズ方式は、ファーストフード全体にトレンドをもたらし、チポトレ(Chipotle)の登場でより一層大きくなり、スイートグリーン(Sweetgreen)からキャバ(Cava)まで業界全体に及んだ。特にチポトレは、利用客が材料を指差してボウルやブリトーができる様子を観察できる、サブウェイと似たモデルで人気になった。現在、業界は正反対のシンプルなトレンドに向かっているとカリノフスキーは言う。
利用客により良い体験を提供でき、売上も上げられる「スマートな移行だ」と、カリノフスキーはInsiderに語った。サブウェイの店舗閉鎖やフランチャイズ店減少の傾向を変えられるか、次の四半期の結果で明らかになるだろう。
[原文:Subway is straying from the business model that made it the biggest fast-food chain in the world]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)