Brittany Chang/Insider
- 「EmpireDAO」という組織が、ニューヨークの歴史あるビルの複数フロアを貸し出している。
- メンバーシップとデスク利用権は、NFTの形で購入する。
- Web3クリエイターの交流やコワーキングを目的に作られたスペースの内部を紹介しよう。
ブロックチェーン技術に基づく次世代インターネット「Web3」が、いよいよ「現実」の世界にやってきた
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そこで「EmpireDAO(エンパイア・ダオ)」というDAO(分散型自律組織:ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営する組織)が、ニューヨークの街を拠点に、Web3分野のクリエイターや開発者に向けて、実世界でのコミュニティを提供することにした
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EmpireDAOは現在、ニューヨークのランドマーク的な建物の数フロアを貸し出している
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フロアに並ぶ部屋は、たくさんのデスクと、若いWeb3愛好者たちで埋まっている
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EmpireDAOの目標はシンプルで、Web3の成長を促進し、加速させることだ
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Source: EmpireDao
EmpireDAOのコンセプトは、ハッカーハウス(起業家やエンジニア向けのシェアハウス)をヒントに生まれた。創設者のマイク・フライエタ(Mike Fraietta)はInsiderに、数カ月がかりで資本と関心を集めた後、2022年5月にこの建物に入居したと語った
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しかし、建物の外観からは、そこに新たなハブが育っているとは思えない
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看板も出ていない入り口は、落書きだらけだ
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角を曲がるとそこには、同じくこの歴史的建造物に入居する、ファッションブランド「シュプリーム(Supreme)」の店舗に入ろうとする人たちが、しばしば列を作っている
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複数フロアにまたがる広さ3万4000平方フィート(約3160平方メートル)のスペースの中には、ビンテージもののエレベーターが置かれている場所もある
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木でできた部分には、Web3的な警句を書いた紙が貼られている
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すり減った床は、この建物のかつての姿を思い起こさせる
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しかし、銀行としての以前の姿とは異なり、この建物には現在、多くのWeb3や暗号資産(仮想通貨)、NFT(非代替性トークン)の愛好者たちが集まり、長いテーブルを囲んでノートパソコンに向かっている
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当初、Web3企業の多くは「リモート・ファースト」を掲げていた
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しかし、カンファレンスやオフィスのような物理的なスペースには、業界の他のクリエイターとの直接的な交流を促す点で価値がある、とフライエタは言う
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そのためこのスペースは、コワーキングスペース「WeWork(ウィーワーク)」を彷彿とさせるスタイルをとっている
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数階建ての建物の室内にはデスクが並び、キッチンやトイレが備わっている
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窓からは、ニューヨークの街並みが一望できる
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会議室のほかにも、
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広い談話室やイベントスペース、屋上もある
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会員は、NFTの形で日単位または月単位の利用料を支払うことで、EmpireDAOの約280あるデスクの1つを予約し、「インキュベーター」として利用することができる
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しかし、従来のコワーキングスペースとは異なり、EmpireDAOは、クリエイティブな用途のための部屋を増やそうとしている
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建物内には近いうちに、ミュージシャン向けのレコーディングスタジオや、デジタルアーティスト向けの機材、映像制作者向けのプロダクションスペース、さらには、プロジェクトを立ち上げたい人向けのイベントやパフォーマンス会場を設置する予定だという
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また、いずれはジムやゴルフシミュレーターを備え、遠方から来た人向けのエアビーアンドビー(Airbnb)方式のアパートメントも近くに用意するかもしれないと、フライエタは述べている
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DAO、NFT、暗号資産、DeFi(分散型金融)のプロジェクトやスタートアップが存在感を増していることを考えると、EmpireDAOが1日に「数百件」もの問い合わせを受けるというフライエタの話も、驚くにはあたらない
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しかし、大企業の経営者がEmpireDAOに問い合わせるのはお勧めしない
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このスペースでは、クリエイターではない大規模なチームを常駐させたい企業を受け入れていないからだ
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「ここは、企業が仕事場として使えるという意味でのコワーキングスペースではない」とフライエタは言う。「しかし、もし自社のエコシステムにクリエイターがいて、彼らに場所を提供したいのであれば、そのときはEmpireDAOを選択肢にしてほしい」
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EmpireDAOは、独立系のクリエイターや新進の小規模チームを優先的に受け入れている。Web3の分野で活動していること、また、通常はトークンを介して互いの仕事に投資していることが条件だ
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「(EmpireDAOで)仕事をすることで、我々は皆、仲間内で互いのプロダクトを所有しあっているようなものだ」とフライエタは言う。「ここでは、そういった形でWeb3に自ら投資することが当たり前になっていて、それがうまくいく理由だ」
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このスペースで仕事をするクリエイターのなかには、以前はシリコンバレーでインスタグラム(Instagram)やアマゾン(Amazon)などのWeb2企業に勤めていたが、ニューヨークとWeb3分野に移ってきた人もいる
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ニューヨークは戦略的な立地だ、とフライエタは考えている。ウォール街の「関心および資本」と、「HBO、Facebook、グーグル(Google)のような大手企業や広告代理店に縛りつけられてきた」クリエイターたちが出合う接点であるからだ
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もちろん、Web3のプロジェクトについて語る上で、激動する仮想通貨などの暗号資産を無視することはできない
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仮想通貨の投資家たちは、ここ数週間でたくさんのお金を失った
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Source: Insider
しかしこの落ち込みは、EmpireDAOにはさほど影響を及ぼさないとフライエタは言う
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「戸惑いなどはまったくない」とフライエタは言う。「(EmpireDAOは)あくまでクリエイティブのレイヤーにある。クリエイティブのレイヤーは、基盤となるテクノロジーについては気にしていない」
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目下の焦点は、EmpireDAOのニューヨーク拠点の助けを借りて成功を収めたミュージシャンやアーティスト、さらにはコメディアンのようなクリエイターたちのポートフォリオを構築することだ
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そして、仮想通貨市場の不穏な状況にもかかわらず、EmpireDAOは国内外から多くの注目を集めている
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したがって、この先いつか、デンバーやロンドン、東京などの都市でEmpireDAOのスペースを見かけても驚きではない
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(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)