アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 コンサルティンググループ シニア・マネジャーの井谷有寿(いたに・ありす)さん。外資系消費財メーカーの製造・流通部門でマネジメント職を経験後、2018年5月にアクセンチュアに中途入社。現在は消費財業界を担当するチームに所属し、大手消費財メーカーのサプライチェーンマネジメント改革を支援。シニア・マネジャーとしてプロジェクトのマネジメント、施策提案を行う。5歳の子を持つ。
コンサル=ハードワーク? アクセンチュアが実践する、多様性を活かす「最強チーム」の作り方
世界で69万人以上が働き、早くからインクルージョン&ダイバーシティに取り組んできた総合コンサルティングファーム、アクセンチュア。
一人ひとりの意思や柔軟な働き方を認め合いながら、チームでしっかりと成果も出す──その裏には、どんな人たちのどのような工夫や苦労があるのでしょうか。アクセンチュア流「最強チーム」の作り方を現役社員の2人に聞きました。
※“変化の兆し”を捉えて動き出している人や企業にスポットを当てるBusiness Insider Japanのオンライン番組「BEYOND」。2022年6月29日(水)に放映した、<第8回 多様性を活かす「最強チーム」の作り方 Sponsored by アクセンチュア>の内容を、一部編集して掲載します。
「コンサル=ハードワーク」って本当?
──外資系コンサルティングファームと言えば、“ハードワーク”というイメージがありますが、実際はいかがでしょう?
井谷有寿さん(以下、井谷):徹底的に頭を使って考えるという意味では、“ハード”な仕事なのかもしれません。「そもそもこれはどうあるべきか?」「課題解決のために何をすべきか?」などみっちり真剣に考えると、1日の業務時間内でへとへとになります。
逆に時間はある程度管理しやすい職業なので、ハードワーク=長時間労働という意味ではなく、インプットやアウトプットの“高い質”が求められる仕事です。
──働き方やアクセンチュアの社風について、もう少し教えてください。
井谷:アクセンチュアでは、国内外のプロジェクトの中から参加したいものに自ら応募することができ、スキルや適性があれば配属されます。
プロジェクトを進めるうえでは、多様な強みを持ったメンバーが結集し、チーム全体で成果を出すことが求められます。その際、スキルも国籍も異なるメンバーが集まりますから、多様性──異なる価値観や文化、成果の出る働き方を互いに理解し、受け入れながら進める風土が根づいていると思います。
大塚:個人的には、「超人」が多い会社だと感じています。世界中にいるメンバーは何かしらの強みを持っていて、エキスパートの集団だなと。スキルはもちろん、マインド面でも“世の中に変革を起こそう”と熱い気持ちを持って仕事に向き合う社内メンバーが多く、いつも刺激を受けています。
プロジェクトの選び方は、スキル×どうなりたいか
アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 コンサルティンググループの大塚未宇(おおつか・みう)さん。国内総合製紙メーカーの製造部門で技術職を経験。2018年11月にアクセンチュアに中途入社。現在はビジネス コンサルティング本部の消費財業界向けチームに所属。大手消費財メーカーに対し、中長期需給計画システム導入に伴う業務プロセス改革を支援している。
──グローバルプロジェクトにも、自ら手を挙げて参画できるのでしょうか。
大塚:そのプロジェクトで求められるスキルがあることが前提ですが、基本的には希望を出せます。実は、私は転職した当初、なかなか参加できるプロジェクトが見つからなかった時期がありました。
前職はメーカーの製造部門の技術職として工場で勤務していたので、コンサルティング業務は未経験。井谷さんと同じプロジェクトに呼んでもらってコンサルタントとしての経験をみっちり積んだことで、次に選べるプロジェクトが増えました。
入社時点での経験の有無はそれほど問題ではなく、「自分の強みは何で、どんな部分で発揮できるのか」を自分自身が理解しておくことが重要ですね。
井谷:確かに、スキルに加え「何をやりたいのか」を明確にしておくことは大事です。
自分の経験やスキル、志向に加えて、キャリア形成を視野に入れて今入るべきプロジェクトを探す、という選び方もあるでしょう。自分自身に何ができるかと、どうなりたいかという観点を組み合わせてプロジェクトを選ぶのが良いと思います。
──外資系企業と言えば、英語でのコミュニケーションに苦労したことは?
大塚:私は、アクセンチュアで働くまで英語を使う仕事をしたことがなかったので、グローバルプロジェクトに入ったばかりの頃は苦労しました。自宅にいる時は英語のみで会話するなど、それなりに勉強はしました。
ただ仕事をする中で、英語力だけが問題になることは少ないですね。あくまでもプロジェクトとして達成したい目的があって、そのためのコミュニケーションツールとしての英語なので、完璧ではなくてもいいんだというのは発見でしたね。
井谷:私は前職では英語が社内公用語だったので、そこまでハードルは感じませんでした。
プロジェクトのメンバーは必ずしもネイティブスピーカーばかりではないですし、コミュニケーションが取れれば業務に支障は出ないです。
むしろ、日本語だとニュアンスで曖昧になりがちなことが、英語だからこそ「こういう認識で合ってる?」「次はこうだよね?」と、きっちり確認を行います。業務を遂行するうえでは、英語だからこその良さも感じています。
「どう働きたいか」は人によって違う
──言語の違い以外にグローバルのプロジェクトで苦労したこと、スムーズな業務遂行のために意識していることはありますか?
井谷:インクルージョン&ダイバーシティの観点はとても大切です。
たとえば日本では、忙しければランチタイムを削ってでも仕事を進めよう……と考える人も多いと思います。でも、インドではランチを2時間くらいかけてゆっくりと取りたいと考える方もいます。これはあくまでも文化的背景や考え方の違いであり、良し悪しはありません。
私がマネジメントしているプロジェクトでは、当初、時差も加味しながら働き方を調整することに苦労しました。本当は全員が日本に集まるはずだったのですが、コロナ禍で渡航ができなくなり、日本、インド、中国、アメリカ、フランス……と、メンバーの拠点が世界中に分散してしまったんです。全員が合う時間は日本時間の夜しかない状況で、これだと全員倒れてしまうと。
そこで各メンバーの勤務時間や働き方の希望を細かく聞いて、会議のコアタイムを設定するなど、個人が実現したい働き方とチームとして動くことを両立させる工夫をしました。
各国のメンバーの状況を細かくヒアリングし、勤務カレンダーの調整を行った。
提供:アクセンチュア
大塚:私がグローバルのプロジェクトで動いていた時は、午前中に会議に参加し、15時以降は仕事が溜まっていなければ長めに休憩を取って妻と食事に出かけるなどして、夜にまた仕事に戻るといった働き方をしていました。個人的にはそれがフィットしていて、メリハリをつけて働くことができましたね。
井谷:勤務時間然り、メンバーがどんな働き方を望むかという点でも、丁寧に認識を合わせることを心がけています。
成果を出せる働き方にはプライベートや生活とのバランスも必要で、事情は人それぞれ違います。私自身5歳の子どもがいる母親ですし、大塚さんもご家族と過ごす時間を大切にしたいという考えもある。
また、その人にとってのベストな働き方は環境の変化によって変わることもありますし、柔軟に変えられることも大切だと思います。
ワークライフバランス=福利厚生ではない
「多様性を活かすために必要なことは?」という問いに対して、大塚さんは「一人ひとりが成果を出せる働き方を提案していくこと」と回答。
──個人の意見や価値観を受容しすぎるとチームとして成果を出せなくなってしまうのでは、という意見もあります。その点についてはどうでしょう?
井谷:成果を出すことは大前提で、それは揺るぎません。ワークライフバランスはその成果を最大限出すための方法なのです。自分がどういう働き方であれば心身ともに健康でいられて成果を出せるのか、そのための手段だと思います。
そして、求められる成果をきちんと出すことができれば、働き方や価値観の違いを受容するムードが高まって自由度がさらに上がる。働きやすい仕組みや環境が整えば、ますます高い成果を出せるようになる…そんな好循環になっていきます。
また、アクセンチュアはコンサルティングファームとして、お客様に対して多彩な提案を行わなければいけません。その意味でも、多様性があることは事業展開上の強みです。
大塚:私は、多様性のある環境に身を置くことで、自分自身が変化したと感じます。以前は、自分が正解だと思うことは「こうあるべきだ」というコミュニケーションを取ってしまいがちだったんです。だけどそれでは対立してしまい、話がスムーズに進みません。多様な考え方の人たちとともに働くことで、一段高い目的を見つめ、そこから落とし込んだ最適解を提案するスタンスに変わってきました。
意図を伝え、理解してもらってこそ協働ができるし、それが成果創出への近道だろうと実感しています。
「多様性を活かすには、自らがUnconscious Bias(アンコンシャス・バイアス:無意識のバイアス)をもっていることを自覚してコミュニケーションをとる必要がある」と話す井谷さん。
井谷:文化や国籍なども含めて、“違い”を受け入れる柔軟性は、今後ますます重要になるでしょう。
少子高齢化の日本で、優秀な人材はさらに貴重になっていきます。個々の状況に合わせて多様性を受け入れながら働ける状態をつくることが、結局は成果を最大化することになると考えています。
また、同じ人でも、時期や事情によって状況は変化します。多様性を活かす強いチームであるためには、思い込みや過去の認識などにとらわれないことが大切ですね。お互いに認識をすり合わせることを惜しまず、その時々のベストを探っていきたいと思います。
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