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インフレとは何か?…物の値段が上がる理由、それがあなたの財産に及ぼす影響

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インフレとは、商品やサービスの価格が上昇することであり、あなたのお金の価値が実質下がることを意味する。

WHYFRAME/Shutterstock

  • インフレとは、経済において財とサービスの価格が上昇していくことである。
  • これはまた、あなたのお金の価値と購買力が下がることとも言える。
  • 2%という低く安定したインフレ率であれば健全な経済を示すが、高いインフレ率や急速に変化するインフレは危険でもある。

1ドルで買えるものが以前より少なくなったように感じていないだろうか? それは気のせいではない。「インフレだね」とみながため息をついている。

インフレの意味について大まかには知られているだろう。物の値段が上がるのだ。

しかし、インフレの正体、原因、そして家計への影響はどんなものなのだろうか? 本記事では、この日常的な経済用語について知っておくべきことをすべて説明する。

ニュースより:2021年10月、アメリカの消費者物価指数は前年同月比で6.2%上昇し、31年ぶりの高い伸びとなった。

インフレとは?

インフレとは、一定の期間にわたり財とサービスの価格が上昇することである。

つまり、あなたの購買力が失われるということだ。同じ1ドル(あるいは、あなたが使うあらゆる通貨)でも買えるものが少なくなり、結果として通貨の価値が下がる。言い換えれば、インフレになるとあなたのお金は以前ほどの力を持たなくなるのだ。

例:リンゴ1個の価格が25セントだとすると、1ドルあれば4個買える。しかし、リンゴの生産量が減ったり栽培コストが上がったりして、翌年にスーパーが1個50セントに値上げしたとする。そうなれば1ドルで買えるのは2個だけだ。購買力という意味では、1ドルは(少なくともリンゴに関する限り)実質的にその価値を半分失ったことになる。

思い出してほしい。現代の貨幣に本質的な価値はなく、ただの紙とインク、最近ならコンピューターの画面上の数字に過ぎない。その価値は何をどれだけ買うことができるかで測られる。

インフレが起きているかどうかは財とサービスの価格を計算すれば比較的簡単にわかるが、インフレは一般的にセクターや産業の垣根を超えて適用される尺度であり、経済全体に影響を与える。

連邦準備制度理事会(FRB)の主な役割の1つは、インフレを最適な水準にコントロールして貯蓄ではなく支出や投資を促し、それによって経済成長を促進することだ。

インフレの測り方

インフレは、ある年と別の年を比較した物価の変化率であるインフレ率で測定される。インフレ率の測定法はいくつかある。

  • 米労働省労働統計局は消費者物価指数(CPI)を用いてインフレ率を測定している。CPIは家計調査に基づいて選ばれた代表的な商品を指数品目とし、消費者が一定期間に購入した財とサービスの総コストを計算する。その品目群の購入コストが上昇すればインフレということになる。また、複数の品目を調べることで、全体的な物価の変動を示せるとともに、異なる物の価格が異なる速度で変化する様子もわかる。
  • CPIとは対照的に、生産者物価指数(PPI)は生産者の立場からインフレを測定する。PPIは、国内で生産された財とサービスに対して生産者が受け取る平均的な価格を示す指標である。代表的な品目群について売り手がそのとき受け取っている価格を基準年の価格で割り、その結果に100を乗じて算出される。
  • 米商務省経済分析局は、個人消費支出(PCE)という3つ目の一般的な指標でインフレ率を測定している。PCEは生産者のGDPデータに基づき、家計が消費した財とサービスの価格変動を測る。PCEの指数品目はCPIと同じものをベースとしているが、その他の品目も調査するため、CPIよりも幅広い物価動向を測ることができる。CPIおよびPPIと同様、PCEにおいてもある年と別の年を比べて指数が上昇していればインフレを意味する。

PPIは個人消費と需要の予測ができる点で有用だが、最も一般的な指標はCPIであり、インフレに敏感な物価予測はCPIから大きな影響を受ける傾向にある。 PCEはCPIよりも知名度が低く、消費者支出を測定するために異なる計算式を用いる。

PCEはGDP報告書と企業から得るデータに基づいており、使用する計算式は安定性の低い産業における潜在的な価格変動を考慮していることから一般的にCPIの値よりも変動が少なくなる。

実質価格と名目価格

過去のコストを効果的に比較するため(ある年のリンゴと別の年のリンゴを比較するように)、経済学者はインフレの影響に合わせて価格を調整する。

過去の価格が「実質」のドルで語られているとき、それはその価格がインフレによる影響を考慮して調整されていることを意味する。「名目」のドルで語られている場合は、調整されていないということだ。

インフレは善か悪か?

投資などによる利息がついていない手持ちの現金に関しては、インフレは確かに問題である。現金や銀行に預けているお金の価値は徐々に失われてしまう。また、インフレは固定金利や固定リターンを提供する商品の敵でもある。

しかし、住宅や株式など値上がりしうる資産を持っている人にとっては、インフレの恩恵を受けてそれらを高く売ることができるかもしれない。

一般に、経済学者はインフレが低く安定した速度で進むことを好ましいとする。これは健全な経済を示す。財とサービスがどんどん生産され、消費者が買う量も増えるということだからだ。アメリカでは、FRBは平均2%のインフレ率を目標としている。

インフレ率がそれ以上に高まったり急激に変化し始めたりすると、それは深刻な問題になりうる。通貨の価値がたちまち失われて商品の価格が高騰すれば、経済の仕組みに支障をきたすからだ。

賃金はそれに追いつけないので、人々はものを買わなくなる。そうして生産が停止あるいは鈍化し、経済はやがて不況に陥りかねない。

インフレの原因とは?

インフレの原因について論じた経済学文献は膨大にあり、非常に複雑な問題だが、基本的には需要と供給の問題に行き着く。ケインズ派の経済学者は、短期的なインフレの最大の原因は需要圧力だと主張する。

  • デマンドプル型インフレとは、経済全体の需要増加による物価の上昇を指す。
  • コストプッシュ型インフレとは、生産コストの上昇や(自然災害などを原因とする)供給量の低下による物価の上昇を指す。

そのほかにインフレの原因として挙げられるのが、貨幣供給量、つまり現金などすぐに使えるお金の流通量の増加である。何かが大量にあれば、その価値は下がる、つまり安くなる傾向にある。通貨学派の経済学者の多くは、これが長期的なインフレにおける最も重要な要因の1つだと考える。貨幣が大量に流通しすぎるとその価値が下がり、物を買うのにかかるコストが増えるのだ。

極端なインフレの種類

ハイパーインフレとは、インフレ率が極めて高く、ときには前月比で50%以上の物価上昇が数カ月間続くような状態を指す。通常、ハイパーインフレは政府の財政赤字と貨幣の過剰発行によって引き起こされる。

例えばアメリカの南北戦争では、北部の州と南部の州いずれもが戦費を賄うために貨幣を発行してハイパーインフレが発生した。

現代の事例ではベネズエラがハイパーインフレに陥り、2020年10月のインフレ率は80万%を超えた

スタグフレーションは、コストと物価は上昇しているのに経済は停滞する、つまり失業率が上がり生産性が低下するという珍しいケースである。米国は1973年から74年にかけてスタグフレーションを経験し、これはGDPが低い中で石油価格が急騰した結果だった。

インフレをコントロールする方法

政府は金融政策を通じてインフレをコントロールすることができる。その手段は主に3つある。

  • 金利:金利を上げると、お金を借りるためのコストが高くなる。そのため人々はお金を使わなくなり、需要が減少する。需要が減れば物価も下がる。
  • 銀行の預金準備率:預金準備率が引き上げられれば、銀行はより多くのお金を支払準備金として保有しなければならなくなる。それによって銀行が貸し出せる額が減り、人々の支出が減少して、うまくいけばデフレ、つまり物価の下落につながる。
  • 通貨供給量:通貨供給量の削減はインフレを抑制する。政府が通貨供給量を減らす手段は複数ある。例えば国債の利回りを上げれば、より多くの人が国債を買って政府に多くのお金が流れるので、流通する貨幣を減らすことができる。

投資でインフレに打ち克つには

インフレに備えた投資とは、インフレ率よりも高い収益率を確保することである。特定の種類の資産はほかの資産よりもインフレに勝てる可能性が高い。

  • 株:株で儲けられるという保証はないが、通常は時間をかければ株価は全体的にインフレ率を上回る率で上昇する。ほとんどのインデックスファンドもインフレ率を上回るリターンを提供する。
  • インフレ連動債:ほとんどの米国債の金利は固定だが、インフレが進行するとその価値は低下する。しかし、物価連動債(TIPS)という国債はインフレになると利子が増える(デフレ時には減る)。
  • 実物資産とコモディティ:金(きん)、商品、美術品、収集品などの有形資産を投資対象とするオルタナティブ投資はインフレ下で優れたパフォーマンスを見せる。不動産も同様だ。リーチ・ストラテジック・ウェルス(Reach Strategic Wealth)のザック・アシュバーン(Zach Ashburn)社長は、「これまでの多くの期間において、不動産投資のリターンはインフレ率と肩を並べるか、あるいは上回ってきた」と指摘する。その理由は、こうした実物資産は紙の資産とは異なり本質的な価値を持ち、従来の金融市場の外で売買され価格が決まるからだ。

より全体的な視点で見ても、マグニファイナ(Magnifina)の最高投資責任者アッシャー・ロゴヴィ(Asher Rogovy)氏は、インフレの進行中には名目的な資産を避けて実物資産に投資するのがベストだと言う。

株式や不動産などの実物資産は価格が自由に変動する。譲渡性預金や従来型の債券などの名目資産はその固定金利に基づいて価格が決まるため、インフレの時代には価値が下がってしまう。

まとめ

インフレとは、コストと物価が上昇することを意味する。そうなると同じ額のお金でも買える量が減る。低インフレや安定したインフレは、経済には良いがあなたの貯蓄には悪い。

アシュバーン氏によると、「いつでも使える現金を持つことは経済的安定を保つために重要だが、インフレが起これば現金は徐々にその価値を失う」。

インフレに打ち克つには、現金をマットレスの下など流動性のない場所にしまい込んでおいてはならない。現金には稼がせ続ける必要がある。

そのために、リターンを生む投資ポートフォリオを構築しよう。ほぼいつでも進行中であるインフレのスピードに追いつける、望むらくは追い越すリターンをもたらす投資計画だ。そうすれば、投資の利益によってあなたは真の意味で、実質的に豊かになれるだろう。

[原文:What is inflation? Why the cost of goods rise over time and what it means for the value of your money

(翻訳・長尾莉紗/LIBER、編集・長田真)

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