ファミリーマートが店舗で働く大学生を対象とした独自の就活支援講座を開始した。コンビニバイトを「ガクチカ」にするためのエントリーシート添削などを行うという。取り組みの経緯を聞いた。
問題解決能力が就活の強みに
ファミリーマートが店舗で働く大学生向けの就活講座を開始した。コンビニバイトを「ガクチカ」にする試みとは?
撮影:今村拓馬、三ツ村崇志
ファミリーマート初となるこの試みは、同社がベネッセホールディングスとパーソルキャリアの合弁会社・ベネッセi-キャリアが運営する新卒就活支援サイト「dodaキャンパス」と協業したものだ。
店舗でアルバイトとして働く大学3年生らを対象に、コンビニアルバイトの経験を「学生時代に力を入れたこと」、いわゆる「ガクチカ」として就職活動に生かすためのプログラムをオンラインで提供する。
すでに大学3年生向け講座の1回目が6月に実施され、エントリーシートを1万件以上見た経験を持つ講師が、ファミリーマートのアルバイトでどう自己PRすればいいか、エントリーシート作成のポイントを伝え、添削指導を行った。
しかしガクチカといえば、インターンシップやサークル・社会貢献活動などを想像する向きが多いだろう。講座を担当するファミリーマート店舗運営業務部の担当者は、コンビニバイトの「ガクチカ」としての価値をこう語る。
「接客や売場づくり、新人ストアスタッフへのトレーニングやお客様からのクレーム対応など、コンビニのアルバイトはマルチタスクが要求されます。問題解決能力が身につくのも特徴です。
その力を就活に生かして欲しいと思い、この講座を開始しました」
実際、ファミリーマートのアルバイトで培った接客経験を生かし、ホテル業界の有名企業に就職した学生もいたという。
アフターコロナで大学生バイトが減少
ファミリーマートのアルバイト求人ページ。大学生歓迎の店舗が検索できる。
出典:ファミリーマートHP
ファミリーマートが大学生の就活支援を行う背景には、大学生アルバイトの人手不足もある。
「アルバイト応募者に占める大学生の割合は、コロナ前の3割からコロナ禍で4割まで増加しました。飲食店のアルバイトができなくなったため、コンビニに流入するなどの背景があったと考えています。それがコロナが落ち着いてまた他の業界に流れていくという傾向、つまり以前の状態に戻りつつあるんです。
大学生は業務の習得も早く、サークルのつながりなどから友人を紹介してくれることも多いので、今後も積極的に採用していきたい。
就活支援には、ファミリーマート店舗での大学生アルバイトスタッフを増やしたい、大学生にコンビニバイトをより魅力的に思ってもらいたいという思いもあります」(ファミリーマート店舗運営業務部)
リクルートによると、三大都市圏(首都圏、東海、関西)の2022年5月のアルバイト・パートの募集時平均時給は1123円と過去最高額を更新した。特に飲食業のニーズは増加しており、今後も人材獲得競争が繰り広げられるだろう。
就活支援は大学生の心をつかめるか。8月には大学1〜2年生に向けて、新卒採用の選考過程で取り入れる企業も多い「グループワーク」の講座が予定されている。
(文・竹下郁子)