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トヨタ、スノーピークとコラボ「タープ付きSUV」試作車を初公開…スノーピークが「協業」加速

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スノーピークのタープとコラボしたトヨタ。試作車に選ばれたのは、PHEV(プラグインハイブリッド)車両の「RAV4」。写真右には、RAV4に充電するケーブルが見える。

撮影:山﨑拓実

アウトドア用品大手・スノーピークは7月6日、新規事業などの取り組みを紹介するイベント「Snow Peak LIFE EXPO(※)」を、本社を置く新潟県三条市で開催した。

イベントでは、トヨタ自動車とスノーピークがコラボしたタープ(テント型の日よけ)付きのPHEV(プラグインハインブリッド)車などが初めて展示された。詳しい仕様や発売時期は未定。

トヨタとスノーピークのコラボ車は動画でチェック。

撮影:山﨑拓実

スノーピークは高品質なキャンプ用品などが支持され、16期連続で増収するなど好業績を継続。近年ではアパレル事業や住宅事業、全国のキャンプ場経営など事業の多角化を進めている。

今回のイベントではトヨタに加え、日本製鉄、コクヨ、大東建託、アメリカのEVメーカー・リビアンなどとの協業事例について、ブースを設置して解説した。

事業の多角化に加えて、自社イベントで他業種の企業との「協業」路線を鮮明に打ち出した形だ。

※注…同イベントは6日・7日はメディアや関係者らを対象に実施し、7月9日・10日に一般向けに開催する。

3分でタープを張れる手軽さ

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トヨタ自動車の積田氏は「使い勝手を重視しています」と話す。

撮影:横山耕太郎

今回トヨタが展示したのは、PHEV車のバックドアからタープを広げられる試作車。ベースとなった車種は人気SUV「RAV4」だ。

ただし、実際にこのタープのセットが搭載される車種や、販売時期などは具体的に決まっていない。現時点では、特定車種の特別仕様車での搭載を検討しているという。

車内には車載可能な組み立て式のテーブルと、折り畳みイス2脚が収納でき、トランク部分にはコンセントが付いた台も設置できる。

景色をより楽しめるよう、タープの開口部は大きく設計した。タープは、地面に固定するペグがなくても自立する設計にするなど、使い勝手にこだわった。

「長くても5分、慣れてくれば3分でタープが張れるくらいの気軽さを追求しました。タープの骨の部分も、折りたたんでそのままバックドア部分につけられるよう、収納の簡単さも大事にしています」(トヨタ自動車ZEV B&D Lab・積田祥氏)

トヨタ車がスノーピークとの接点に

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撮影:山﨑拓実

トヨタによると、スノーピークとの共同開発は2019年頃から開始。もともとはトヨタのゼロエミッション次世代車の専門部署「ZEVファクトリー」の担当者と、スノーピークの現会長が知人だったことがきっかけとなり、両社の社員有志が集まったという。

EVなどのバッテリー搭載車は車体後部から排気ガスを出さない運用もできるため、後部のバックドアを開けたスペースの活用を考えた。試作車のRAV4はエンジンとバッテリーの両方を搭載するPHEV車だが、EV車への搭載を視野に入れることも、否定はしていない。

タープの使用シーンとして家族での利用はもちろん、テレワークでの使用も見込む。

「風景がきれいなところに行って、タープとテーブルを広げればどこでも仕事ができるようになります。また家族向けの使い方としては、父親や母親が一人で子どもと外出したときでも、遊んでいる子どもをタープの下で見守ることもできる」(前出の積田氏)

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スノーピークのイベントには、企業との協業を紹介するパネルが何枚もある。

撮影:横山耕太郎

スノーピークでタープ開発を担当した山下亮氏は、トヨタとの協業についてこう話す。

キャンプ人口よりもピクニック人口の方が多い。これまでスノーピークとの接点がなかった人にもトヨタ製品を通して接点が増えることに期待しています。今後は我々のギアが他ブランドの商品と融合していくことが増えていくと思っています」

世界初の環境配慮型チタンでも協業

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日本製鉄が開発した環境配慮型の純チタン。

撮影:横山耕太郎

今回の展示では、トヨタの他にも日本製鉄と開発した、生産段階でCO2の排出量が従来よりも少ない環境配慮型の純チタン「TranTixxii-Eco」も展示されていた。

日本製鉄によると、純チタンでは世界初の環境配慮型素材だという。

これまでも日本製鉄はスノーピークにチタンを提供していたが、この環境配慮型チタンでは、スノーピークが製品を作る際に発生したチタンのスクラップを、原料全体の5割以上使用。製錬過程におけるCO2の発生量を5割以上削減できるという。

スノーピークでは、このチタンを使ってボトルを販売する予定という。

「協業で使命を加速させたい」

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イベントで登壇したスノーピーク社長の山井梨沙氏。2020年3月に社長に就任した。

撮影:横山耕太郎

この日、開幕イベントに登壇した山井梨沙社長は今後の事業展開について説明した。

イベントで山井氏は、これまでのメーカー商品開発やイベント開発などに加えて、グローバル企業とのアライアンスや未開拓業種とのアライアンスを推進する構想「ライフ・ビオトープ・コンソーシアム(LIFE BIOTOPE CONSORTIUM)」を発表した。

登壇後、記者団の取材に応じた山井氏は、協業先の企業について聞かれ、

「主に関わりのあるBtoB企業や、その企業の周りにいる、我々と同じ価値を共有できる事業パートナー、また我々の外側にいるパートナーたちと繋がりを拡大していきたい」

と説明した。また、具体的な協業の時期や事業規模などについては明言を避けた。

また、Business Insider Japanが「業績が好調な現状で、他社との競合を加速する理由」について質問したところ、山井氏は次のように答えた。

「日本のキャンプ人口はわずか7%と言われています。自然との関わりを持つことが、すべての人にとって、人として生きる上で重要だと我々は考えています。

1社だけでは実現できない領域で、協業によって人と自然と繋ぎ直すという使命を加速させていきたい」

(文・横山耕太郎

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