参院選で「誰に投票すればいいかわからない」あなたへ送る“お役立ちサイト&本”まとめ

参院選の投開票日(7月10日)まで残りわずか。「誰に入れたらいいかわからない」「特に支持する政党・候補者はいない」という方が、投票する上でヒントになるサイトや本を紹介します。

参院選の投開票日(7月10日)まで残りわずか。「誰に入れたらいいかわからない」「特に支持する政党・候補者はいない」という方が、投票する上でヒントになるサイトや本を紹介します。

ntv.co.jp、choiceisyours2021.jp、nhk.or.jp、vote.mainichi.jp、yomiuri.co.jp、japanchoice.jp

第26回参院選の投開票日(7月10日)まで、残りわずかとなりました。

国政・地方問わず、選挙のたびに投票率の低さが懸念され、「投票に行こう!」という呼びかけがなされます。その一方で「誰に入れたらいいか分からない」「これといって支持する政党や候補者はいない」という声があるのも実情です。

今回は自分の一票を投じる候補者や政党を考えるヒントになるであろうサイトや書籍をご紹介します。

よかったら投票の参考にしてみてください。

「自分の考え方と近い候補者・政党は?」が分かるサイト

zero選挙2022「2分でわかる!あなたの考え方診断」(協力:JX通信社)

アンケート形式で質問に答えると自分の政治意識や考え方を大まかに可視化。自分の選挙区のどの候補者が自分の考え方に近いかひと目で分かる仕組みになっています。

また、同年代の人たちや異なる世代の人たちの考え方と自分の考え方もマトリクス図で比較できます。

参院選2022 朝日新聞ボートマッチ(朝日・東大谷口研究室共同調査)

朝日新聞・東大谷口研究室の共同調査サイトでは23のアンケート項目に回答することで、主要政党や選挙区と比例区の候補者と自分の政策への意識の一致度が「%」で分かります。また、個別の政策ごとの各政党の平均値との一致度も見ることができます。

読売新聞ボートマッチ-VOTE MATCH-

読売新聞では政策に関する20の質問に答えることで考え方の近い主要政党が分かるボートマッチを公開しています。

毎日新聞「えらぼーと2022」

毎日新聞のボートマッチサイト「えらぼーと」では若者団体「NO YOUTH NO JAPAN」の協力で全25問の質問事項を作成。自分と各政党、候補者との一致度が分かります。

重視する政策3つに絞った一致度の表示や、政策姿勢とは別に「あなたは今の政治についてどのように感じていますか」といった政治への感情を問う質問もあります。

「誰が立候補しているの?各政党や候補者の政治姿勢や考え方は?」が分かるサイト

NHK 参院選2022「候補者アンケート」

NHKの特設サイトでは、選挙の争点や個別の政策の考え方を選挙区・全国比例の各候補者に尋ねたアンケート結果が公表されています。また、党派ごとのアンケート結果も公表されています。

朝日新聞デジタル「朝日・東大谷口研究室共同調査」

朝日新聞・東大谷口研究室の共同調査サイトでは、外交・安全保障、経済・財政、社会の課題の各テーマで合計36の質問に対する各候補者の政治・政策スタンスがわかります。

各政党の「政策の違い」が分かるサイト(比例代表向け)

JAPAN CHOICE「政策を比較する」

んなの未来を選ぶためのチェックリスト -参議院選挙2022-

日本消費者連盟「参院選に向けた政党アンケート結果」

ARTLOGUE「文化芸術マニフェストを問うアンケート ManiA

セーブ・ザ・チルドレン「国内外の子どもの権利に関する参院選政党アンケート」

ヒューマンライツ・ナウ「人権政策に関する、参院選政党アンケート2022」

移住者と連帯する全国ネットワーク「移民政策に関する政党アンケート 2022参院選」

参院選では2枚の投票用紙を記入します。

一枚目は、自分が暮らす選挙区で立候補している候補者から一人を選んで記入する「選挙区」。2枚目は政党名もしくは比例候補者の個人名を記す「比例代表」です。

比例代表では、政党名と各党の比例候補者名が記された票が合算されて各政党の得票となります。得票数に応じて各政党に議席が配分され、各党内で個人得票が多かった候補者から順に議席を得ることになります。

各政党のマニフェストを見比べると、政党によって選挙の争点や個別の政策の考え方には「違い」があります。上に挙げたサイトではこうした「違い」が分かりやすくなっています。

この他にもさまざまな団体が政党や候補者へのアンケートを実施しています。いずれも投票先を考える助けになるかもしれません。

「現職議員や元議員はどんな仕事をしてきたの?」が分かるサイト

国会議員白書

選挙には現職の参院議員や元議員だった人も立候補しています。政治学者の菅原琢さんが運営するこのサイトでは、国会議員が任期中に国会でどんな仕事をしていたのかを調べることができます。

「見えにくい国会議員の普段の活動を可視化するのが当サイトの中心的な狙いです」とあるように、具体的には本会議での発言回数、委員会の出席回数・幹部経験・発言回数や発言内容の一覧、質問主意書提出数、議会・政府での役職経験などが分かります。

「投票することに何か意味あるの?」という方へ

選挙のたびに懸念されるのが投票率の低さです。

下のグラフで、戦後の国政選挙の投票率の推移を見てみましょう。

国政選挙の投票率の推移について

国政選挙の投票率の推移について

出典:総務省

衆議院の総選挙・参議院の通常選挙ともに投票率は低下傾向にありますが、参院選は特に低迷。この30年ほど60%に達しておらず、前回の2019年は24年ぶりに50%を割り込みました。

参院選は衆院選とは異なり「政権選択選挙ではない」として有権者の関心が低いと言われがちです。ただ、参院選に惨敗したことで時の首相が退陣に追い込まれたり、衆院と参院で多数派が異なる「ねじれ国会」になったりした事例がありました。

政権選択選挙ではなくとも、国政に大きな影響を与える可能性はあるのです。

「 ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください 17歳からの民主主義とメディアの授業」より

「 ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください 17歳からの民主主義とメディアの授業」より

amazon.jp/Kindle

社会学者で東京工業大学准教授の西田亮介さんは、著書『ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください 17歳からの民主主義とメディアの授業』の中でこう指摘します。

「投票を通じてただちに政治が変わるかどうかは、必ずしも明確ではありませんが、『無関係』と政治家たちが認識してしまえば、ますます変わりにくいですよね。最近の日本にはちょっとそんな雰囲気があります」

西田さんの著書では「政治に問題がある場合に、私たちの投票で変わるんですか?」「選挙権は使わないのどうなりますか?」「選挙の際も、自分の意志と言うより、結局テレビが選んだ人を選んでいる気がします」など、政治や選挙のみならず、政治とメディアの関係に関する疑問について一問一答形式かつ平易な言葉で解説されています。

投票率が低くなると具体的にどんな人々の声が反映されやすくなるのかなど、学校ではあまり教わらないであろう現実の話も記されていたり。政治への無力感がある方にも、そうでない方にも是非おすすめしたい本です。

「選挙の何が面白いの?」という方へ

『コロナ時代の選挙漫遊記』より

『コロナ時代の選挙漫遊記』より

撮影:吉川慧

今回の参院選には545人が立候補し、前回を上回りました。投票率が低迷傾向にある中、高額な供託金を支払って立候補する人がこれだけいるわけです。

主要政党のみならず、メディアではあまり取り上げられない「諸派」と呼ばれる政治団体や無所属の立候補が全国各地にいます。

そんな各地の候補者を丹念に取材し、選挙戦の現場を記録し続けているのがフリーライターの畠山理仁さんです。

畠山さんはコロナ禍の中で実施された15の選挙取材をまとめた著書『コロナ時代の選挙漫遊記』の中で、こう指摘します。

「『選挙は返品不可能な高額商品を見定める機会』だと考えてほしい。政治家の任期は4年から6年もある」


「私は自分の目で候補者を見てほしいと思っている。有権者の厳しい目、批判の声は絶対に必要だ。有権者の愛がこもった見守りは、候補者を確実に成長させるからだ」


「この国には、今も選挙に行かない人たちが半数以上いる。もし、その人たちが投票に行ったら、簡単に結果が変わる。最初から結果がわかっている選挙など一つもないのだ」

過去の選挙では、わずか数十票差で当落が決まったこともあります。有権者の一票を得るために、候補者たちが選挙戦をどうやって戦っているのか。「選挙って、なにが面白いの?」という方に是非おすすめしたい本であり、選挙の面白さや臨場感だけでなく、全ての立候補者へのリスペクトを感じる一冊です。


市民(人民)は選挙を通じて代表を選び、自らを統治する──。

今の私たちにとっては当たり前となった考え方も、世界史の中でみれば近代になってから。18世紀末のアメリカ独立革命やフランス革命を経て、次第に受けいれられていったものでした。

政治に参加できる権利もアメリカ、イギリス、フランスといった国であっても、はじめは男性のみでした。

世界初の女性参政権は1893年のニュージーランド。近代議会政治の先駆けとされるイギリスでさえ、女性の参政権が認められたのは第一次世界大戦後。男女平等の普通選挙は1928年の第5回選挙法改正で定められました。

ちなみに日本で男女普通選挙が実現したのは、戦後になってからのことでした。

『それでも選挙に行く理由』

『それでも選挙に行く理由』

撮影:吉川慧

政治学者でニューヨーク大教授のアダム・プシェヴォスキさんは著書『それでも選挙に行く理由』の中で、こう指摘します。

「選挙をおこなうというだけでも暴力的な紛争の頻度を減少させ、それほど競合的ではなくとも野党が存在する選挙では頻度はさらに減少し、実質的に競合的な選挙は、暴力的な紛争の頻度をほぼゼロにする」

平和裏に公正な選挙が実施されることは、民主主義の国としてかけがえのないことだと言えるのかもしれません。

「選挙の最大の価値は、社会のあらゆる対立を暴力に頼ることなく、自由と平和のうちに処理する点にある」

(アダム・プシェヴォスキ『それでも選挙に行く理由』日本語版に寄せて)

「議席を増やしてほしい人・政党を能動的に選んで投票する」という視点でも良いですし、自分の票を投じたくない人・政党を考えて「消去法で選ぼう」という視点でも構わないと思います。

3年ぶりの参院選です。選挙権がある方は、ぜひ投票に行ってみてください。

(文・吉川慧

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