ドイツのガイゼルタール地方で発掘されたカエルの骨格。古代の沼地で交尾中に死んだと考えられている。
D. Falk
- 科学者たちは、ドイツにある世界有数の化石の宝庫から発掘された何百ものカエルの化石を分析した。
- これらのカエルの死因は長い間分かっていなかったが、交尾中に死んだ可能性が高いと結論付けられた。
- この古代の沼地からは、5万羽の鳥、ウマ、コウモリ、魚、そしてカエルの化石が見つかっている。
4500万年前の沼地で、大量のカエルがなぜ死んだのか。科学者たちは長い間頭を悩ませてきた。そして今、不運な先史時代の両生類にとって、この沼地が「死に至る交尾の罠」として機能した可能性が高いことが示唆されている。
アイルランドの研究チームは、現在のドイツ中央部ガイゼルタール地方で4500万年前に死んだ数百匹のカエルの化石を分析し、その結果に関する論文を学術誌「Paleontology」に2022年7月5日付けで発表した。この地域はかつて亜熱帯の湿地林だったことから世界有数の化石の宝庫となっており、5万羽以上の鳥やウマ、コウモリ、魚、カエルの化石が発掘されている。
「我々が知る限り、これらのカエルは死んだとき健康で、骨には捕食者に襲われたり死肉を食べられたりした痕跡はない」とコーク大学の古生物学者で論文の筆頭著者であるダニエル・フォーク(Daniel Falk)はプレスリリースで述べている。
「また、洪水で流されたり、沼が干上がったりして死んだという証拠もない」
フォークは「消去法で考えると、交尾中に死んだという説明しかできない」と付け加えた。というのもスキアシガエル科(Pelobatidae)に属するこの種のカエルは、一生を陸上で過ごし、繁殖期にだけ水中に戻って交尾をして卵を産むからだ。
世界有数の化石の宝庫であるドイツのガイゼルタール地方で発見されたカエルの化石。
D. Falk
現代のカエルは交尾の際、複数のオスがメスを水中に押し込んで溺れさせることがよくある。
「この現象は、短い爆発的な繁殖期に交尾を行う種でしばしば起こる」と、コーク大学の古生物学者で論文の共同執筆者であるマリア・マクナマラ(Maria McNamara)はプレスリリースで述べている。
研究者たちが分析した古代のカエルも、同様の交尾習慣を持っていたため、それらの体は沼の底に沈み、水の流れによって沼の奥へと運ばれたと考えられる。しばらくすると死骸は粘土や砂で自然に埋もれ、やがて化石となった。
研究チームはこの研究成果によって、カエルが数百万年の間にどのように進化してきたかについての知見が深まることを期待している。「本当に興味深いのは、他の場所から発掘されるカエルの化石にもこのような特徴が見られるということだ。このことは、現代のカエルの交尾行動が実に古く、少なくとも4500万年前から行われていたことを示唆している」と、マクナマラは述べた。
[原文:Hundreds of frogs died while mating in an ancient swamp 45 million years ago, new study suggests]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)
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