コロナ禍で急成長したテック企業で人員削減の猛吹雪が吹き荒れている。そして、その終わりはまだ見えない。
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パンデミック下の行動制限を追い風にテック企業は業績を大きく伸ばした。
株価は記録的な上昇を続け、ビデオ会議ツールのズーム(Zoom)、ID管理・多要素認証サービスのオクタ(Okta)、モバイル決済サービスのブロック(Block)のように、従業員数を倍以上に増やす急成長を見せた企業もあった。
しかし、そうした我が世の春を謳歌(おうか)した繁栄の季節は突如として終えんを迎え、テック企業の株価下落は止まらず、景気後退入りが差し迫るなかで苦境に陥っている。
Insiderは5月9日(日本語記事は5月11日)、大手テック企業が記録的な株価上昇を背景に実施した大幅増員の実態を整理し、チャート「間もなく人員削減に着手しそうな大手テック企業」として公開したが、その直後に電気自動車大手テスラ(Tesla)や決済大手ペイパル(PayPal)など複数の企業によるレイオフが判明した。
今回は同チャートをアップデート。調査対象企業数を増やした上で、前回チャート公開後の株価下落も反映させた。多くの企業の株価はパンデミック前を下回る水準で推移している。
アマゾン創業者で前最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスは最近、バイデン米大統領がツイッター投稿を通じてガソリンスタンド運営会社に価格引き下げを促したことを受け、「ミスディレクション(誤認に導く説明)、あるいは基本的な市場ダイナミクスに対する深い誤解」と反論。企業に責任を押しつけようとする政権を批判している。
ベゾスは以前も、バイデン大統領の「インフレを抑制したい?それなら金持ちの大企業にもっと税金を払わせればいい」との投稿に対し、「(大統領が4月末に)新設した『偽情報ガバナンス委員会』にこの大統領のツイートの真偽をレビューさせるべきだ」と反論している。
下の【図表1-1】から【図表1-3】は、米主要テック企業の2019年末〜21年末の従業員数変動率(右側)を、2021年11月19日〜2022年6月30日の株価変動率(左側)と並べて示したもの。
先述の前回記事では、5月5日分までの株価変動率を示していたが、今回はさらにその後およそ1カ月半分の株価下落を反映している。
アマゾンやブロック、テスラなど、パンデミック下で大幅増員した(=チャート右側で緑色部分が大きく見える)企業が、最近になって人員削減を進めており、その「対応性」が一目瞭然だ。
【図表1-1】大手テック企業の従業員数および株価変動率(画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示されます)。
出所:ヤフーファイナンス、米証券取引委員会(SEC)資料よりInsider編集部(Andy Kiersz)作成
【図表1-2】大手テック企業の従業員数および株価変動率(画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示されます)。
出所:ヤフーファイナンス、米証券取引委員会(SEC)資料よりInsider編集部(Andy Kiersz)作成
【図表1-3】大手テック企業の従業員数および株価変動率(画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示されます)。
出所:ヤフーファイナンス、米証券取引委員会(SEC)資料よりInsider編集部(Andy Kiersz)作成
(翻訳・編集:川村力)