2021年11月、GMのデトロイト工場で電気自動車のハマーに試乗するジョー・バイデン大統領。
Mandel Ngan/Getty Images
- ハマーEVには、希望販売価格の3倍近い価格で転売されている。
- GMCは、ハマーEVのピックアップトラックとSUV、合わせて7万7500台以上の予約を処理するのに苦労している。
- GMCは生産を拡大しているが、2022年12月以降ハマーEVを372台しか納車できていない。
2022年6月30日から7月2日にかけてラスベガスで開催された世界最大級の自動車オークション「バレットジャクソン(Barrett-Jackson)」で、ほとんど乗られていないGMCのハマーEV(Hummer EV)が、当初の希望小売価格の約3倍にあたる32万4500ドル(4410万円)で落札された。
ワンオーナーだったこの電気自動車の走行距離計は、わずか48マイル(約77キロメートル)。数少ない「ハマーEV エディション1(Hummer EV Edition 1)」の1台で、ディーラー希望販売価格をはるかに上回る価格がついた。2022年4月と5月には、2台の中古のハマーEVがオンラインオークションに出品され、それぞれ27万5000ドル(約3738万円)と26万420ドル(約3541万円)で落札された。ともに走行距離は1000マイル(約1609キロメートル)未満だった。
Courtesy of Barrett Jackson's Las Vegas Auction
「ハマーEV エディション1」の希望販売価格は約11万ドル(1496万円)だったが、この電動ピックアップトラックはGMCの発表以降、非常に高い需要があった。
高値がつくオークションが、熱心なバイヤーにとってハマーEVを手に入れる唯一の方法かもしれない。
ハマーEVのピックアップトラックとSUVは2023年生産分まで完売しており、7万7500台を超える予約が入っている。だが2021年12月の発売から現在まで、GMCが納車したピックアップトラックは372台だけだ。
2022年6月、デトロイトにあるGMのファクトリー・ゼロ(Factory ZERO)では、このピックアップトラックを1日あたり12台程度しか生産できていないことをウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は報じている。また、GMCが現在の生産ペースで予約分をすべて納車するには約17年半かかるとザ・ヴァージ(The Verge)は報じている。しかしながらGMCは、2022年内に数千台を納車できるよう生産のペースを上げる予定だと述べている。
2022年6月、GMCは部品コストの上昇を理由に、ハマーEVの価格を6250ドル(約85万円)値上げしている。
ハマーEVは、次世代の高級電気自動車を象徴するモデル
2022年7月初めの週末にラスベガスのオークションにかけられたハマーEVは、インターステラー・ホワイト(Interstellar White)に塗装され、内装はブロンズをアクセントにしたものだった。
Courtesy of Barrett-Jackson Las Vegas Auction
GMによると、この電気自動車の航続距離は350マイル(約563km)で、時速60マイル(約96km/h)まで約3秒で到達することができるという。
Courtesy of Barrett-Jackson Las Vegas Auction
ハマーEVは、パネル式で脱着可能なインフィニティ・ルーフをはじめとする多くの豪華装備を備えている。また、4輪を同時に最大10度まで回転させ、斜め前方へと移動できる「Crab Walk(カニ歩き」モードも搭載している。
Courtesy of Barrett-Jackson Las Vegas Auction
現在、ブリング・ア・トレイラー(Bring A Trailer)で、もう1台のピックアップトラックのハマーEVがオークションにかけられ、最終的には19万8000ドル(約2694万円)で落札された。
今回のラスベガスのオークションの結果は、中古のハマーEVの最高落札価格を記録した。しかし、2021年のチャリティーオークションでは、最初のハマーEVが250万ドル(約3億4200万円)という途方もない価格で落札されている。
[原文:A barely-used Hummer EV was sold for nearly three times its suggested price in a Las Vegas auction]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)