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こんな今でも「マイホーム」? そんな顧客にFPが伝えたい4つの事実

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住宅価格がこれだけ高いのだから、賃貸を選んだ方が賢明かもしれない

Shutterstock/takayuki

  • 今の市場では、住宅購入は必ずしも得策とはならない。 賃貸のほうが賢明な場合もある。
  • 現在の高騰した価格で家を購入しても、いずれ損をする可能性がある。
  • 今は購入できないとしても、生涯ずっと家を買う機会がないというわけではない。

(アメリカでは)ここ2年ほど、不動産市場は完全に売り手市場となっているようだ。金利は上昇し、住宅ローン金利は2009年以来の高水準となっている。しかし、それでも物件の供給不足が続き、マイホーム購入を検討している顧客にとっては、依然として不利な状況である。

コスト高と住宅ローン金利の上昇で、住宅の価格はかつてないほど高騰している。「買いたいけど、今は買えない」という方のために、何かよい解決策はないのだろうか?

もしそのような解決策を求めているのなら、筆者がファイナンシャルプランナーとして、以下で語ることを、ぜひ念頭においてもらいたい。

1. 持ち家が賃貸より良いとは限らない

まずはじめに、これはよく言われることだが、賃貸より持ち家のほうが得策になるとは限らない。逆を言うと、賃貸を借りて月々家賃を支払うことは、お金をドブに捨てることにならないということだ。

持ち家では、さまざまな出費がかさむ。しかし、それ以外の面で考えても、賃貸には経済的に有利な面がたくさんある。それは、家を買える余裕があるのかどうかに関わらず、ここには該当しない、今すぐに家を購入できる方にも言えることである。

私事ではあるが、ボストンに住んでいたこともあり、家を買うのに随分と待たされた。当時実際に計算してみたところ、賃貸が経済的な面で最適になるということがわかったのだ。賃貸にすることで、毎月のキャッシュフローが増えて、その分を投資にまわして資産を増やすことが可能になるからだ。

賃貸を借りることで、固定費や安定した出費で、毎月の計画が立てやすくなる。一方、家を購入すると、急な出費や修理、メンテナンス費用で家計に大打撃となることもある。

また、家を購入するとなると長期的な計画を立てなければならない。(アメリカでは)持ち家は長く住めば住むほど、売却する際に損益がない状況になるか、あるいは利益を出せる可能性があるからだ。

絶対にマイホームを買わなければならないという理由はない。特に今すぐには買えないという方は、持ち家に対する執着を手放してほしい。賃貸を利用してみると、別の選択肢ができる。

例えば、キャリアアップのために引っ越しをしたり(これは家計の改善に大変効果がある)、ただ暮らしてみたい環境に変えるために引っ越すという選択もできる。

2. 不動産投資は「お金をかければ儲かる」というものではない

家を売却して利益を得ることは、大きな賭けである。一般的には不動産投資というと、すばらしい儲け話と思われがちだが、実際はもっと複雑だ。

もっとも言えるのは、本居とする家を購入する場合である。その家では、家賃収入は得られない。しかも売り手市場で、需要が高まり、相場も上昇傾向である。

それではなぜ「不動産投資は稼げる」と強く言う人がいるのだろうか? それは、「いくらで家を買ったのか」「今どのくらい価値があるのか」などと、目先の数字しか追っていないから、そのように言ってしまうのかもしれない。

このように状況を甘く見込んでしまうのは、以下にまとめた持ち家の現状について、考えが及んでいないからであろう。

  • 住宅の資産で、支払いを賄えるというわけではない。不動産サイト「Zillow(ジロウ)」を利用すると、持ち家の資産価値を査定できる。しかし、問題となるのは、売却しようとした際に、買い手がいくらで買ってくれるのかということである。
  • 長期にわたって固定資産税や保険料がかかる。
  • メンテナンスや修理費の負担。6000円の乾燥機や洗濯機の定期点検から、数万円もかかる作業に至るまで、とにかく諸費用がかさむ。
  • リフォームやリノベーション費用の負担。ここで費用をかけた分、建物の価値は高くなる。しかし、かけた費用を100%取り戻すことができるのは、非常に稀なことである。そして実際の運用益を得ることはさらに稀なことだ。
  • 雑費の負担。忘れがちなことであるが、家を買うと購入しなければならないものがある。例えば、芝刈り機を購入する(いずれ買い替えが必要になる)、設備を揃えるなど(賃貸であれば大家さんが賄うところである)、そのためにホームセンターに何度も通うことになるであろう。
  • 機会費用。つまり、もし家を買わなかったら、家につぎ込んだお金で、他に何ができたかということである。
  • 金利の負担。住宅ローンの金利にもよるが、30年ローンを組むと家の販売価格よりも、はるかに高い金額を支払うことになる。

たしかに不動産投資は、すばらしい投資法とは言える。しかし、ほとんどの地域では、賃貸ではなく持ち家を選んだ方にとって、住宅とは実用品であり、お金稼ぎの手段にはならない。だからこそ、今家を買う余裕がないのなら、無理をしなくてもいいということなのだ。

3. 今すぐに購入できなくても、将来ずっとマイホームを持つことができないわけではない

「今すぐには家を買えない」とうお客様から相談を受けた場合、まず筆者が質問することは、「今購入する必要があるのか?」ということである。そして「今すぐ」という回答でなければ、「機会を待とう」と提案するであろう。

待っている時間は、家を購入するために必要なキャッシュフロー、貯蓄、収入など、懐事情を立て直す機会になる。2022年現在の異常な市場の中では、買い手に厳しい状況が和らぐまで待つことが、やはり得策だろう。

今は家を買うことができないという状況の中で、まず今取るべき行動とは、資産の運用計画について、考え直してみるということである。将来こうなりたいという目標を設定し、計画を立ててみてはいかがだろうか。

4. 予算を調整する

そうは言っても、誰もが待つことができるわけではない。もし待てないという場合は、予算を調整するという方法もある。耳の痛いアドバイスであるが、より安い価格帯で物件を探してみると、待つことなく購入できる可能性が出てくる。

経済的に無理のない範囲の物件を見つけるためにも、エリアを変える、狭い物件を探す、あるいはグレードアップや改修を抑えた、古い感じの家にも目を向けてみるなど、探し方を変えてみてはいかがだろうか。

心に留めてもらいたいのは、「今すぐには」 夢のマイホームが買えないということであっても、絶対に叶わないということではないということだ。マイホームを購入することが最優先であるのなら、探し方を変えてみると、意外と可能性は出てくるものである。

[原文:4 things a financial planner tells his clients who want to buy a home right now but can't afford it

(翻訳・伊藤麻衣子、編集・長田真)

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