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ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による新しい宇宙の姿…ハッブル望遠鏡の画像と比較

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(左)の性能は、ハッブル宇宙望遠鏡(右)の100倍だ。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(左)の性能は、ハッブル宇宙望遠鏡(右)の100倍だ。

NASA/Chris Gunn; NASA

アメリカ宇宙航空局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が初めて撮影したフルカラー画像が2022年7月12日に公開され、世界中の天文学者や天文ファンを驚かせている。

このプロジェクトに携わった科学者たちでさえ、この画像には驚かされたといい、彼らは涙を流し、言葉を失い、卒倒しそうなほどびっくりしたと、12日の記者会見で語っている。

これらの新たな宇宙のスナップショットは、無数の星や銀河をこれまで誰も見たことのないような細かなディテールでとらえている。星の誕生と死がシャープに新しい色で描かれ、どの赤外線望遠鏡よりもはるか遠くまで見通すことができるようになった。

これまでこのような画像は、1990年に地球の軌道に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡(HST)からしか得られなかった。しかし、NASAが25年の歳月と100億ドル(約1兆3700億円)を費やしたJWSTから画像が得られるようになり、しかもより幅広い波長の赤外線で撮影できるようになった。

ハッブル宇宙望遠鏡とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、同じエリアを撮影した画像。

ハッブル宇宙望遠鏡とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、同じエリアを撮影した画像。

NASA/STScI; NASA/ESA/CSA/STScI

7月11日に公開された最初の画像(上)は、空のごく一部を長時間露光して撮影したもので、JWSTの可能性を感じさせるものだった。そして7月12日、新たな画像が次々と公開され、JWSTの性能がいかにシャープで強力なものであるかが明らかになった。しかもこれらの画像は、今後何年にもわたって続く科学的な探求のためのウォームアップに過ぎない。

「すでに発見は始まっているが、実際には我々はまだ挑戦を始めてもいない」とNASAの天体物理学部門のチーフサイエンティストであるエリック・スミス(Eric Smith)は記者会見で述べている。


HSTでは1つにしか見えなかった星が、JWSTでははっきりと2つに見える

南のリング星雲の中心にある星が、HSTでは1つしか写っていないが(左)、JWSTでははっきりと2つ写っている(右)。

南のリング星雲の中心にある星が、HSTでは1つしか写っていないが(左)、JWSTでははっきりと2つ写っている(右)。

The Hubble Heritage Team (STScI/AURA/NASA); NASA, ESA, CSA, STScI

南のリング星雲は、死にゆく星が崩壊し、その外層が連続した波のようにゆっくりと広がっていくもので、カラフルなガスのバブルがふくらんでいるように見える。その中心に2つの星があることは知られていたが、これまで画像で確認されたことはなかった。

JWSTがとらえた画像では、死にゆく星がダストに包まれ赤く光り、その隣に白い伴星があるのが分かる。


赤外線の波長が違えば、同じ星雲でも異なる姿が観測される

JWSTが近赤外線でとらえた南のリング星雲。

JWSTが近赤外線でとらえた南のリング星雲。

NASA, ESA, CSA, STScI

近赤外線でとらえたこの画像は、星雲の構造を示している。中央の青いバブルは、星の残骸によって過熱された高温の電離ガスだ。その外側のオレンジ色の泡のような領域は、新たに発生した水素でできており、内側のバブルの穴から星の光が飛び出している。


5つの銀河団が JWSTの性能でより鮮明に

左がHST、右がJWSTによって撮影された「ステファンの五つ子」銀河団。

左がHST、右がJWSTによって撮影された「ステファンの五つ子」銀河団。

Hubble SM4 ERO Team/NASA/ESA/CSA/STScI

この画像に写っている5つの銀河のうち4つは、地球から約2億9000万光年の距離にあり、それぞれの銀河の重力が他の銀河に影響を及ぼし合っている。


HSTでは写せなかった銀河をJWSTがとらえた

HSTの画像(左)ではよく見えない「五つ子」の背景にある銀河が、JWSTの画像(右)でははっきりと見えている。

HSTの画像(左)ではよく見えない「五つ子」の背景にある銀河が、JWSTの画像(右)でははっきりと見えている。

Hubble SM4 ERO Team/NASA/ESA/CSA/STScI

JWSTの性能はHSTの100倍であることから、はるかに多くの銀河をとらえることができる。


銀河が合体するときにできる星形成領域も明らかに

HSTの画像(左)では見えないが、JWSTの画像(右)では、引き寄せ合う銀河の間で圧縮されたガスの領域が写し出されている。

HSTの画像(左)では見えないが、JWSTの画像(右)では、引き寄せ合う銀河の間で圧縮されたガスの領域が写し出されている。

Hubble SM4 ERO Team/NASA/ESA/CSA/STScI

NASAと共同で望遠鏡を開発している欧州宇宙機関(ESA)の科学・探査担当上級顧問、マーク・マコーリアン(Mark McCaughrean)は、ライブ配信でこの画像を公開し「これらの衝突する銀河の間で加熱されるガスやチリを見ることができるようになった」と述べている。

ガスやチリが圧縮され、加熱されるとそれらは新しい星になる。つまり、JWSTがとらえた銀河の間の雲は、新しい星が形成される領域なのだ。「この領域で新しい星が生まれる過程を実際に見ているということだ」とマコーリアンは述べた。


HSTが撮影したカリーナ星雲の星形成領域と…

ハッブルが撮影したカリーナ星雲の星形成領域(NGC 3324)。

ハッブルが撮影したカリーナ星雲の星形成領域(NGC 3324)。

NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)

…JWSTが撮影した同じ領域の画像

JWSTが撮影したカリーナ星雲の星形成領域(NGC 3324)。

JWSTが撮影したカリーナ星雲の星形成領域(NGC 3324)。

NASA, ESA, CSA, STScI

JWSTチームに所属するNASAの天体物理学者アンバー・ストラウン(Amber Straughn)は「このような画像を見ると、スケールについて考えずにはいられない」とライブ配信で語っている。

「ここに見える光の点ひとつひとつが、我々の太陽と似たような個々の星であり、これらの多くには惑星があると思われる。そして、我々の太陽や惑星、そして究極的には人間までもが、ここで見るのと同じようなものから形成されたということを思い起こさせてくれる」


JWSTが撮影した画像から、これまで見えなかったたくさんの星の姿が明らかに

左がHST、右がJWSTによって撮影されたカリーナ星雲の一部。

左がHST、右がJWSTによって撮影されたカリーナ星雲の一部。

NASA/ESA/The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)/CSA

JWSTの運用を統括するNASAの科学者ジェーン・リグビー(Jane Rigby)は12日の記者会見で「これは革命的なものになるだろう」と述べた。

「これまでにない驚くべき能力だ」

[原文:Side-by-side images from the James Webb and Hubble space telescopes show why NASA spent 25 years and $10 billion

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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