Patrick Pleul/picture alliance via Getty Images
- Twitterがイーロン・マスクを訴えた。同社を買収するという合意から逃げようとしているためだ。
- マスクはTwitterにいくつかの「違反」があったと非難し、それらはすべて契約を無効にするものだと述べた。
- Twitterはマスクの「不真面目な態度」に対して反撃し、彼の主張は「口実であり、何の価値もない」と述べた。
Twitterは、同社の買収から手を引こうとしたイーロン・マスクを訴えるという約束を実行に移した。
2022年7月12日に提出された訴状の中で、Twitterの弁護士はマスクが「義務を果たすことを拒否している」と非難した。この訴訟は、Twitterが登記されているデラウェア州の裁判所に提出された。
この訴訟で問題になっているのは、マスクが4月に交わした買収契約を「終了」させようとしたことで、契約では1株あたり54.20ドル、総額440億ドルでTwitterを買収して非公開化するとしていた。Twitterの弁護士はマスクの動きを「無効かつ不当」だとした。
マスクは書簡で、Twitterが「使用可能な」状態のユーザーデータの引き渡しを拒否したと非難し、プラットフォーム上に存在する「ボット」またはスパムアカウントの数についてマスクと証券取引委員会(SEC)に誤解を与えたと述べた。さらに、マスクの承認を得ずにレイオフと主要幹部の解雇を決定したとも述べている。マスクの弁護士は、これらすべてが契約に「違反」していると主張している。つまり、彼はこの契約から手を引くことができ、10億ドルの違約金を支払う必要もないというのだ。
Twitterは訴状の中で、これらの点すべてを「口実」だとし、「何の価値もない」と反発している。そして、4月にマスクが署名した買収契約には「拘束力」があり、法的には合意通りに買収を完了しなければならないが、彼は「もはや個人的な利益にならない」という理由で今になって手を引こうとしているに過ぎないと主張している。
マスクは提訴が行われてからまもなくTwitter上で反応し、「皮肉だね(Oh the irony lol)」とだけ書いている。
Twitterの弁護士は、マスクの個人資産は主にテスラ株に結びついたもので、その株価はハイテク株全般の下落とともに2022年に44%下落したと指摘した。彼の所有するテスラ株の価値は1000億ドル以上下落しているという。マスクは株式市場が下落しているからTwitter買収を「やめたい」だけで、Twitterの株主に下落のコストを「転嫁」したいのだとしている。
「Twitterを買収するために公衆の面前で見世物的な行動をし、売り手側に有利な買収契約を提案して、それにサインしたマスクは、デラウェア州の契約法に従う他のすべての当事者とは異なり、考えが変わったからといって会社を捨て、業務を妨害し、株主価値を破壊し、立ち去っていく自由があると信じているらしい」とTwitterの弁護士は述べている。
「今回の買収拒否は、Twitterとそのビジネスに暗雲を投げかけているマスクによる数多くの重大な契約違反の中のひとつだ」
弁護士は、買収やTwitterの特定の役員について述べたマスクのツイートのいくつかが契約における機密保持条項および名誉毀損条項の違反にあたると述べている。彼らは、マスクが取引の資金調達に関する合理的な情報を提供せず、他の要求も「合理的に」対応しなかったと主張している。
Twitterは、この契約で弱点になる可能性があると思われるいくつかの領域についても言及しており、それには買収資金も含まれる。Twitterは、今回の買収契約の中で、借り入れと株式による資金調達の部分は 「付け入る隙がない」 と、マスクが個人的なコミットメントである335億ドルについて指摘した。
また、2022年に入って20%下落している同社の株価について、少なくとも部分的にはマスクに責任があるとし、彼の「不真面目な態度」と同社に対する「軽蔑の念」がさらなる事業リスクを生み、株価を圧迫していると指摘した。
しかし、以上の主張にもかかわらず、Twitterはマスクには合意した440億ドルで同社を買収する義務があるとし、裁判所に取引を成立させ、彼の「さらなる契約違反」を差し止めるように求めている。Twitterはまた、争いが長引くと同社のビジネスに影響を及ぼす可能性があることから、9月には審理を始めるよう、裁判所に迅速な対応を求めている。
マスクの弁護士にコメントを求めることはまだできていない。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)