グーグル(Google)のスンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)。
Reuters/Beck Diefenbach
グーグル(Google)が一部の部署で採用計画を縮小する。Insiderの取材で明らかになった。
幹部クラスの従業員2人からの提供情報によれば、同社は少なくとも2022年第3四半期(7〜9月)の採用目標を下方修正した。採用活動自体は継続するものの、目標人数は引き下げる。
人員採用の抑制方針はすでに6月段階で各部門のリーダーに伝えられ、現在は各部署現場に展開中という。
採用計画に詳しい複数の関係者によれば、経営幹部からは一部の部署の管理職に対し、2022年第3四半期分の採用向け予算の一定割合を返上するよう指示が出ているという。
同関係者らによると、削減される採用人数は当初計画の「半分まではいかない」規模で、オープンポジションの採用枠も(第3四半期を避けて)年内中という形で延期される模様だ。
冒頭とは別の幹部従業員は、同社は採用計画を完全凍結したわけではないと前置きしつつ、「あらゆる追加的な人員確保について慎重な見直しを進めている」と語った。
グーグルの広報担当にコメントを求めたが得られなかった。
ただし、本記事が公開された直後(現地時間の7月12日夕方)、スンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は従業員向けにメールを送り、2022年下半期の人員採用を抑制することを追認した。
Insiderが独自に確認した上記のメール文面で、ピチャイCEOは同社も「景気に対する逆風と無縁ではいられない」とした上で、以下のように方針を示している。
「2022年下半期と続く23年は、エンジニアリングやテクノロジーなど決定的に重要なポジションの採用に重点を置き、しっかりと当社の長期的優先テーマに沿う形で優秀な人材の確保を進めていく考えです」
「私たちは今後、景況が良かった(2021年までの)時期よりはるかに強いアントレプレナーシップ(起業家精神)を発揮し、一層の緊迫感を持って集中を研ぎ澄まし、より貪欲に仕事と向き合っていく必要があります。
場合によっては、投資が重複する部分を統合し、プロセスを合理化するケースも出てくるかもしれません。また、開発を一時中断し、より優先順位の高い分野に資源を再配分するケースもあり得ます」
Insiderの記事公開直後にピチャイCEOが発信した社内メールを最初に報じたのはブルームバーグだった。
グーグルが採用抑制を決断したのは、同社の事業に悪影響を及ぼす可能性のあるマクロ経済ファクターが無視できないほど大きくなり、景気後退入りが現実味を帯びてきたことで、事業を慎重に進めざるを得なくなったからと考えられる。
こうした判断を下したのはグーグルだけでなく、他の大手テック企業も同様の方針転換にすでに動き出している。
ロイター通信(6月30日付)によれば、フェイスブック(Facebook)の親会社メタ・プラットフォームズ(Meta Platoforms)も目標採用人数を下方修正し、エンジニアの新規採用数を少なくとも30%削減することを決定。
同社のマーク・ザッカーバーグCEOは、深刻な景気後退の可能性が想定されるため備えるよう従業員に伝えている。
マイクロソフトも一部の部門で採用を凍結、アマゾンのリテール(小売り)部門も2022年下半期の採用目標を引き下げている。
内情に詳しい関係者によれば、グーグルでは採用の完全凍結やレイオフ(一時解雇)の可能性は現時点で示唆されていない模様だ。
とは言え、2022年第3四半期の採用抑制の影響で、同下半期に計画していたプロジェクトの進行が難しくなるチームも出てくるおそれがあると、別の関係者は指摘する。
なお、今回の採用抑制に関する情報伝達は厳しく統制されてきた。
Insiderが取材した複数の一般従業員によれば、数週間前から採用活動の減速に関する噂は社内に流れていたものの、採用目標人数を削減する話までは出ていなかったという。
[原文:Google pulls back hiring in face of economic uncertainty]
(翻訳・編集:川村力)