ウォルマートが採用するカヌーの「ライフスタイル・デリバリー・ビークル」。
Courtesy of Walmart
- ウォルマートは、配送用にEVスタートアップのカヌーから新たに車両を購入する。
- ウォルマートの従業員は、オンライン注文に対応する配送でこの車を使用する。
- カヌーの配送用電気自動車は、2023年に路上で見られることになりそうだ。
ウォルマート(Walmart)は、オンライン注文の配送能力を強化するため、電気自動車スタートアップであるカヌー(Canoo)から配送用電気自動車4500台(最大1万台のオプション付き)を購入した。
ウォルマートの従業員や小売事業者向け配送サービス「ウォルマート・ゴーローカル(Walmart GoLocal)」のドライバーは、オンライン注文された商品をこの車で配送することになる。カヌーは2022年第4四半期にこのカプセル型のバン「ライフスタイル・デリバリー・ビークル(Lifestyle Delivery Vehicles)」の生産を開始する予定だ。
この車両はを路上で見るようになるのは2023年になる見込みだとウォルマートはブログで述べ、まずはウォルマートのチームが「数週間以内に、ダラス・フォートワース複合都市圏で車両構成を見直し、最終決定する」必要があるとしている。
ウォルマートはこのバンについて、「サステナブルなラストマイル配送に最適化」されていて、「配送でストップアンドゴーを繰り返すような状況や、食料品などをスピーディに車両から届け先のドアへと運ぶ場面のために設計」されていると説明している。またこのバンには視認性を高めるためのパノラマウインドウが装備されている。また120立方フィート(約3400リットル)の荷室もあり、その内装は小口配送用にカスタムデザインされているとカヌーは声明で述べている。
ウォルマートはこれまでも、GMの電動商用車部門であるブライトドロップ(BrightDrop)や、フォード(Ford)と配送用電動バンに関する契約を結んでいる。
今回のウォルマートの発表は、アマゾン(Amazon)が2020年に発表した電気配送用車両への対抗策と見て取ることもできる。この小売大手2社は、長い間激しい競争を繰り広げてきた。2021年にはアマゾンが初めてウォルマートを退け、アメリカ最大の小売業者の座を獲得している。このような競争の高まりを受けて、ウォルマートは3800店舗をオンライン・フルフィルメント・センターとして活用し始めた。ネット上のライバル・アマゾンとの競争が激化する中、実店舗を持つウォルマートは「アメリカの人口の80%の人々に即日配達が可能になり、品ぞろえも増えていく」とアピールしている。
ウォルマートのイノベーション&オートメーション部門担当バイスプレジデントのデヴィッド・グッジーナ(David Guggina)は「今日、顧客に最も近いウォルマートはポケットの中にある。それはウォルマート・アプリだ」と声明で述べている。
「サステナブルな方法によるラストマイル配送を拡大し続けることで、コストを抑えながら、さらに多くの顧客やウォルマートプラス(Walmart+)会員に即日配送を提供することができる」
カヌーはウォルマートと同様、アーカンソー州ベントンビルに本社を構えている。この電気自動車会社は2017年に「Evelozcity」という名前で設立されている。今回のウォルマートとの契約は、資金不足に陥っていたカヌーにとって転機となるかもしれない。2022年5月、The Vergeがカヌーはあと4四半期しか営業できないと発表するほど資金繰りが悪化していると報じていた。
「『今すぐ必要(Need it now)』という考え方が広まる今、ウォルマートの大規模な店舗網は戦略的な優位性をもたらしており、またEV需要が拡大し、特に現在ガソリン価格が高騰する中で比類のないチャンスをもたらす」とカヌーのトニー・アクイラ(Tony Aquila)CEOは声明で述べている。
[原文:Check out Walmart's new fleet of electric delivery vans]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)