AIが採用試験でのカンニングや盗用を感知。リモート面接で不正が増加する中、88%の企業が人事業務にAIを活用し対抗

採用面接

採用ソフト「グライダーAI」による最近の調査で、コロナ禍が始まってから候補者による不正が倍増したことが分かっている。

STOCK4B-RF/Getty Images

採用活動のリモート化と人材不足により、応募者側が嘘をつきやすい環境になってきている。そこで企業は、AIを活用して不正を働く候補者の特定に乗り出している。

オンライン選考における候補者の不正も変化してきた。Zoom面接でカメラに映らない他の誰かが代わりに質問に回答をしていた事例や、リモート試験であることを悪用して、他の人に認知テストやコーディングテストの替え玉になってもらっていた事例もある。採用したら面接した人とは別の人物が来た、というケースもある。

こういった不正は、企業にとってコストが無駄になるだけでなく、腹立たしいものだ。採用自体にかかるコストだけの話ではない。見合った能力がない人間でも、入社が決まればその新人をサポートするために周りの人間は生産性を下げざるを得ず、これがチームの士気にも影響する。

さらに、セキュリティ面での懸念もある。犯罪歴のある人たちが企業の機密情報や顧客データにアクセスできるような在宅のIT系職種に応募することでリスクが高まっていると、最近FBIは企業に注意喚起した。

採用活動のためのソフトウェアを開発するグライダーAI(Glider AI)によれば、コロナ禍が始まってから候補者による不正はほぼ倍増しているという。グライダーAIの役員は、候補者の1割がなんらかの不正を試みたと推定している。

フォーチュン500企業の候補者選考に携わる人材派遣会社、マトレン・シルバー(Matlen Silver)で顧客戦略・業務担当のシニア・バイスプレジデントを務めるキャメロン・エドワーズ(Cameron Edwards)は、この現象は業界・職種を問わず見られるが、特に技術職、IT、開発者の採用に多いと指摘する。

「経歴を盛る人は昔からいましたが、最近は単純に自分を偽っているような事例がどんどん増えています。デスクの下に隠れて応募者の代わりに質問に答える人がいたこともありました。その人の頭頂部が見えていたんですよ。ただ、もっとバレにくい方法もあります」

企業はこうした不正に対策を打つべく、選考過程で応募者が不正を行おうとするのを検知するツールを導入し始めている。

技術が急速に進歩し、また人材不足で企業が採用を急ぐ今、悪質な方法に対して先手を打つのは簡単なことではない。しかし、リモートでの採用が常態化してきた今、対策をとろうと考える企業が増えてきている。

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