“生娘シャブ漬け”発言で早稲田大が再発防止策を公表「講師の適性を十分に確認する」

吉野家元常務の性差別を含む不適切発言から3カ月。吉野家ホールディングスと早稲田大学に抗議と再発防止策を求める署名が提出されたことを受け、署名発起人に両者から回答が届いた。

再発防止策を正式にHPで公表した早稲田大学に対し、吉野家は「すでに対処している」という対応にとどまった。

外部講師のコンプライアンスに問題あり

吉野家

「生娘シャブ漬け」発言に決着が付いた。吉野家と早稲田大、それぞれの対応は……。

撮影:吉川慧

本件を問題提起した受講生と弁護士らが約2万9200筆の署名を吉野家HDと早稲田大学に郵送したのは6月20日。署名ではコンプライアンスルールの策定や教育、組織内でのハラスメント調査の実施と結果の公表などを求めていた。

これに対して早稲田大学は「社会人向け講座での不適切発言と本学のコンプライアンス推進体制について」と題したホームページを7月8日に更新。問題となった発言は「性差別や人権侵害にあたる極めて不適切な表現」であり、「学外から招聘する講師へのコンプライアンス遵守に関する注意喚起について、不十分な面があった」と明言した。

今後は外部講師を依頼する際は適性について十分に確認し、人権侵害やハラスメントに該当しうる言動は慎むよう注意喚起を行っていくという。

吉野家は既存ルールに効果がないことに向き合って

早稲田大学

shutterstock / yoshi0511

一方の吉野家HDは、「すでに対処をさせていただいております」「各要望に対してお答えしているとの理解でおります」として、新たに対応を取ることはなかった。署名発起人であり、本件を問題提起した受講生は言う。

「早稲田大学は真摯に対応策を検討いただけたと思います。一方の吉野家は、再発防止策のコンプライアンスルールの策定について『既にHPに公表している』との回答に終始し、真摯な回答をいただけず残念です。

現在公表されているルールが適切に運用されていないことが問題なので、そこに向き合っていただきたかった」

吉野家HDは役員らに対してコンプライアンス研修を実施し、社内で今回のような発言が日常的になされていなかったか、外部の専門家と共に調査を行っている。一方で、コンプライアンスについては既存ホームページを参照して欲しいという回答にとどまっており、方針の見直しなどは行われていない。

署名の提出と両者の回答を受け、一応の決着がついた本件。しかしこれで終わりではない。

「問題意識を持ち、SNSで投稿したり署名に協力してくれたたくさんの人がいたからこそ、こうした対応が引き出せたと感じています。回答文に明記されていることが本当に実行されているか、引き続き注視していきたいです」(受講生)

(文・竹下郁子

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