電気自動車のリビアンR1Sは、クールで高性能、そして実用的。
Tim Levin/Insider
- 「R1S」は電気自動車スタートアップのリビアンにとって2台目の一般消費者向け車両だ。
- リビアンによると、この車は835馬力を発生し、3秒で時速60マイルに到達するという。
- R1Sは7人乗りで、オフロードが得意な電気自動車だ。
自動車メーカーをゼロから立ち上げるのは至難の業だ。ましてや実績のないスタートアップの車にお金を払わせようとするのはさらに難しい。
カリフォルニア州を拠点とする電気自動車スタートアップのリビアン(Rivian)はそれを成し遂げた。2021年9月に発売された画期的なピックアップトラック「R1T」が最初の1台で、次は優れた大型SUVの「R1S」を2022年8月から予約者向けに発売する予定だ。
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もし、オフロードに挑戦できる車、スリリングなスポーツカー、豪華なファミリーカーが1つになったような電気自動車を探しているのなら、R1Sはリストの最上位に位置づけられるに違いない。この車は、考え抜かれたデザイン、興味深い数々の機能、そしてオンロードとオフロードの両方で高い能力を発揮する、車の形をしたマルチツールだ。
リビアンR1Sはどんな車?
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リビアンは、アウトドア向けの頑丈でハイエンドな電気自動車を専門とするスタートアップ企業で、R1Sは2つ目の市販モデルになる。2つのモーターを搭載したベーシックなモデルは7万2500ドル(約1000万円)で販売される予定だ。しかし、2022年6月に開催された同社が主催したイベントで私が試乗したモデルは、4つのモーターを搭載した、価格9万ドル(約1243万円)のものだった。
R1Sは同社のピックアップトラックのR1Tとの共通点が多いが、トラックの荷台が無い分、3列目のシートと広大な荷室スペースを確保している。アメリカ環境保護庁(EPA)によると、7人乗りのこの車はフル充電での最長走行距離が316マイル(約508km)だという。市販されている中で最も長い走行距離を誇る電気自動車の1台ということになる。
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リビアンR1Sを運転してみた
7000ポンド(約3175kg)もある大型ボディのSUVが、わずか3秒で時速60マイル(約96.5km/h)に到達するというのは、信じられないような話だ。しかしリビアンによると、クワッドモーター搭載のR1Sは835馬力と最大トルク1231Nmを発生し、この加速を実現可能にしたという。アクセルを踏み込むと、このSUVは巨体とは相反する静かな速さで瞬時に前進するのだ。
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R1Sの真価が発揮されるのは人里離れた場所だ。ゴツゴツした岩、水場、信じられないほどの急な勾配のある険しい道を走っても、R1Sはすべての障害を難なく乗り越える。ひとつのモーターで各ホイールを駆動する高度な全輪駆動システムにより、R1Sはグリップに悩まされることはほとんどない。トルクは大きな岩を乗り越えるときにも威力を発揮する。
また、サスペンションやスロットル、車高をさまざまな地形に合わせて調整できるオフロード用のモードも搭載されており、舗装されていない道を走行しても問題はない。
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R1Sの内装は?
R1Sの室内は、広々としていて高級感が漂う。車両価格はBMW、アウディ(Audi)、キャデラック(Cadillac)といった高級車メーカーと同等だ。そのため、機能性だけでなく快適性も重視されている。
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筆者の乗った「ローンチ・エディション(Launch-Edition)」には、豪華なフェイクレザーのシートに加え、ダッシュボードやドアなどには木製のパーツが施されていた。また2つのパノラミック・サンルーフが開放感を演出していた。
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さらに、R1Sのインテリアは機能的で多目的に使える。3列目は意外と広く、大人でも快適だろう。2列目と3列目を倒せば、ツインベッド並のフラットフロアが現れる。室内には小さな収納棚やUSB-Cポートも充実しているので、スマホの充電に困る人はいないだろう。
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このSUVの大きな15.6インチのタッチスクリーンは、(私のような)物理的なボタンやノブを好む人には好まれないものかもしれない。エアコンの吹き出し口の向きなど、基本的な機能もほぼすべて画面を通じて行わなくてはいけないため、走行中などには設定切り替えに苦労することもある。
しかし、私はリビアンには敬意を表したい。メインディスプレーもデジタルゲージクラスターはどちらも使いやすく、見た目も美しいものに仕上がっているからだ。
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すべてはディティールに現れている
リビアンは、ゼロからクルマを設計して創り上げ、不要な旧習を排除し、他の電気自動車にはない興味深い機能をたくさん盛り込んでいる。
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運転席のドアに内蔵されている懐中電灯は常に充電された状態になっている。キャンプやテールゲートパーティなどでは、運転席横のセンターコンソールの下からワイヤレススピーカーとランタンを組み合わせたものが取り出せる仕組みだ。多数のカメラを使ってSUVの周囲を監視し、何か怪しいものを感知すると録画が始まる「ギア・ガード(Gear Guard)」という気の利いた機能も搭載している。
エア・コンプレッサーを内蔵し、タイヤやエアベッドに空気を入れることができるモデルもある。また、フロントトランクは追加の荷室を提供してくれる。
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R1Sの印象
最低価格が7万ドル(約967万円)を超えるが、決して高いものではないと思う。このSUVの日常的な実用性、オフロード性能、オンロード性能のすべてが優れていることが短時間の試乗で分かった。EV分野での最大のライバル、テスラのモデルX(Tesla Model X)は、12万1000ドル(約1672万円)で、しかもオフロード走行には向いていない。
このR1Sに夢中になっているのは明らかに私だけではない。リビアンは現在数千件もの予約注文を処理中で、新規注文の受付は2023年後半まで対応できないというのだ。つまり、買おうと思っても今すぐには買えないほど魅力的な車ということだ。
[原文:I drove Rivian's new R1S — it's like 3 dream cars wrapped up in one ultra-cool electric SUV]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)