Boom Supersonic
- ブーム・スーパーソニックは同社の超音速旅客機「オーバーチュア」の最新情報を公開した。
- 「オーバーチュア」の最新版では、搭乗人数を減らしてエンジンを増やし、胴体とガルウィングの形状を変更している。
- 現時点で同社の顧客は、ユナイテッド航空と日本航空の2社のみだ。
米コロラド州を拠点とするブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic)は2022年7月19日、ファーンボロー国際航空ショーで、待望の超音速旅客機「オーバーチュア」の最新完成予想を公開した
同社は「世界一速い旅客機」の製造に一歩近づいた
離陸の様子。
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「オーバーチュア」は、すでに驚くほど速く飛行するよう設計されていた。だが、さらに効率的で静かな飛行機にするため、ブーム・スーパーソニックは搭乗できる人数を減らし、エンジンの数を増やし、胴体とガルウィングの形を変更した
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同社によると、「オーバーチュア」には翼に小型エンジン4基を取り付ける予定で、これにより運航コストを下げ、より静かに飛行できるという
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このエンジンによって、「オーバーチュア」は海の上を音より速いマッハ1.7(約2100km/h)で飛行する
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出典:Insider
しかし、ソニックブーム(音速を超えることによる衝撃波が生む轟音)のため、超音速で合法的に陸地の上を飛行することはできない
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出典:FAA
そのため、陸地近くではマッハ0.97(約1198km/h)で飛行する
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しかし、エンジンはまだ確定しているわけではない。別のエンジンの選択肢も検討していると、同社のブレーク・スコール(Blake Scholl)CEOは記者会見で述べた
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出典:Paxex.Aero
エンジンの数と同様に、胴体とガルウィングの形状も変更された
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胴体は機体前方に向かって幅が広がっており、空気抵抗を最小限にして燃費を向上させる
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新しいガルウィングは、低速で飛行する際、エンジンの負担を軽減し、安全性を上げるという
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さらに、「オーバーチュア」の大部分は炭素繊維複合材を使用して製造されるため、機体が軽くなり、燃費が良くなる
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同社は「オーバーチュア」の小型プロトタイプ「ベイビー・ブーム」での試験飛行をコロラド州で行っている
エンジンをテストしている様子。
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排出量ネットゼロの「オーバーチュア」はこれまでに5回の風洞試験を複数の場所で行っている。この試験は、パフォーマンスやコントロール、燃費の改善に役立っていると、同社広報がInsiderに語った
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現時点で同社の顧客は、ユナイテッド航空と日本航空の2社のみだ。ユナイテッド航空は、2021年6月に「オーバーチュア」を15機注文した
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出典:Insider
実物大のプロトタイプの製造は、2025年の製品完成を目指して、2024年から開始する予定だ。
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ブーム・スーパーソニックはノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)と提携して、政府や軍向けの「オーバーチュア」も開発している
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ブーム・スーパーソニックの広報によると、同社は2026年にカリフォルニア州モハーヴェで、試験飛行を開始する。2029年までに65人から80人の乗客を乗せた旅客サービスを開始できるという
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実際の旅客運行では、ニューアーク・リバティー国際空港からロンドンまで3.5時間で、ドイツのフランクフルトまでなら4時間で飛行できるという
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出典:Insider
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)