廃棄物管理のプロが循環型社会のプラットフォーマーに。福島で「ごみ+再エネ」の地産地消目指す

gaeadream sato

ガイアドリームは「仕組みづくりコンサル」として、地域のサーキュラーエコノミー構築の仕掛け人兼伴走役を果たしてい。

オンライン取材よりキャプチャ、提供:ガイアドリーム

ウイスキー造り、ブランド果実の開発、再生可能エネルギーの導入。

一見、何の関係もなさそうなこれらの取り組みには共通点がある。サーキュラーエコノミー(循環型経済)で重視される廃棄物の再資源化、特に「ごみの地産地消」にこだわったプロジェクトだという点だ。

その一つ、ウイスキー造りを軸にした福島県磐梯町の「循環型タウン構想」に注目が集まっている。

構想を打ち出したのは会津若松市を拠点に福島・新潟・栃木でスーパーを展開するリオン・ドールコーポレーションだが、実は影の立役者とも言える仕掛け人がいる。

サーキュラーエコノミーのコンサルティング企業、ガイアドリームだ。

gaeadream fukushima bandai whisky

【図1】民謡「会津磐梯山」で知られる磐梯町で計画されている循環型タウン構想のイメージ。2023年に老舗酒蔵がウイスキー製造を開始。それに合わせて、町内で出た廃棄物を再資源化し、循環型社会を目指す。

提供:ガイアドリーム

世の中を変えるためビジネスモデルを転換

磐梯町の「循環型タウン構想」は、リオン・ドール子会社の老舗酒蔵・栄川酒造がかかわっている。2023年7月に新たに始めるウイスキー事業について、廃棄物ゼロで製造する仕組みを構築し、工場で使うエネルギーも段階的に再生可能エネルギー100%にすることを目指すというものだ。

ガイアドリームは1998年の創業以来、製造・サービスに関する環境負荷を最小限に抑えるための国際規格ISO14001のコンサルティングを行ってきた。従業員が数人という小規模ながらも経営は堅調で、大手食品関連企業の廃棄物管理も手掛けるようになった。

ところが、7年前の2015年、ビジネスモデルを大きく転換させた。

その理由について、ガイアドリームの常務、佐藤貴文さんは「単なる提案や啓蒙だけでは、世の中が変わらないと感じたから」と話す。

「僕らが本気で伴走しますから皆さん一緒にやりましょう! というスタンスにならない限り、変化することは難しい。だから、自分たちが仕組みをつくる側になろうと決めたんです」(佐藤さん)

環境負荷を減らし持続可能な社会に変える手段として、廃棄物の再資源化に着目。廃棄物管理の現場を知るプロを複数採用し、サーキュラーエコノミーのコンサル事業「仕組みづくりコンサル」(佐藤さん)に乗り出した。

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常務の佐藤さんは、ガイアドリームがビジネスモデルを転換した時期に入社した一人。前職の廃棄物処理会社時代に中国を訪れ、日本が輸出した廃棄物がいかにずさんに処理されているかを目の当たりに。「日本が廃棄物を輸出できなくなる日が近い。国内での循環が不可欠だ」と実感したという。

オンライン取材よりキャプチャ

3000件以上の現場経験が生む独自の強み

ひと口にコンサルと言っても、ガイアドリームがカバーする範囲は幅広い。

解決策や方針を示す一般的な領域にとどまらず、廃棄物の種類とその排出量、処理方法といった地域の特性を詳細に調べ、それを踏まえた循環のフローやマネタイズモデルを構築し、必要な設備のアレンジや関係するパートナーとの連携・交渉も手掛ける。

「僕たちは、排出事業者と廃棄物処理業者をつなぐ、プラットフォーム的な存在なんです」(佐藤さん)

プラットフォーマーとしての実績を生かし、事業化の計画から実現まで「最強の伴走者」としてプロジェクトを推進する。それがガイアドリームの目指す仕組みづくりコンサルのあり方だ。

「ガイアドリームの強みは2つあります。1つは、廃棄物管理の現場をよく知っているということ。うちほど現場を知っている(廃棄物管理)会社はほかにないんじゃないかと思います」(佐藤さん)

そう胸を張るのには理由がある。

廃棄物を出す企業・団体(排出事業者)は年1回以上、適正に処理されているかを現地で確認する「処理状況確認」を行わなければならない(自治体によっては努力義務の場合も)。確認は排出事業者が自ら行うのが一般的だが、ガイアドリームは廃棄物管理の一環としてその業務も受託してきた。

件数にして約3000件。その膨大な場数を踏んだ経験が、もう1つの強みにつながっている。

「出てくる廃棄物を分析できるので、廃棄物を廃棄物としてではなく原料と見ることができる。それも大きな強みです。分析を踏まえて、例えば『ボトルtoボトル※の取り組みをしてみませんか? 僕らも一緒に動くから』といった提案ができますから」(佐藤さん)

※ボトルtoボトルとは:使用済みペットボトルから再生ペットボトルをつくること。このように、使用済み製品を原料に同じ製品をつくるという資源循環型のリサイクル方法は「水平リサイクル」とも呼ばれる。

「グリーンウイスキー」をブランド商品に

先述のウイスキーを軸にした「循環型タウン構想」は、そうした強みを背景に仕掛けを進めてきたプロジェクトの一つだ。

ウイスキーの製造工場で使う電力はすべて、廃プラスチックやバイオマス、太陽光といった「地元産の再エネ」で賄う方向で検討を進めている。

また、蒸留時に必要な蒸気についても、地元の未利用資源であるもみ殻や伐採木などをボイラー燃料に加工して供給。さらに、製造工程から発生する蒸留廃液や麦芽かすを飼料に再生して地元の畜産農家に販売することも計画している。

目指すは、ウイスキー製造に関わる廃棄物ゼロ、二酸化炭素(CO2)排出も実質ゼロのカーボンニュートラルな「グリーンウイスキー」の商品化。それがウイスキーを軸にした循環型タウン構想の全体像だ(【図2】)。

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【図2】磐梯町の循環型タウン構想の全体像。廃棄物ゼロ、CO2排出ゼロの「グリーンウイスキー」造りを目指す。

提供:ガイアドリーム

再資源化がビジネスになる時代が到来

このプロジェクトを担当するガイアドリームの取締役、大嶋伸章さんは、「廃棄物の再資源化がビジネスになる時代が来た」と話す。

「廃棄物の一般的な処分方法は焼却することですが、技術が進展したおかげでたいていのものは再資源化できる時代になっている。問題は、それがビジネスになるかどうかでした」(大嶋さん)

これまでは廃棄物を再資源化しても売れない、つまり採算が取れないからビジネスにならないという状況が続いていた。しかし、世界的なカーボンニュートラルの流れを受け、その状況にも変化が訪れているという。

「本気で取り組めば収益を上げられるところまで来ているんです」(大嶋さん)

磐梯町のプロジェクトに本気で伴走するため、磐梯町に移住した大嶋さんはこう話す。

「会社としても個人としても、すっと手掛けたかった地域循環系のプロジェクト。未来の子どもたちに負の遺産を残さない仕組みを地域で育てたい。そのためにもまずは成功モデルと言えるものを1つつくりたいですね」(大嶋さん)

廃棄物の再資源化だけでなく、地産地消することで地域の経済が回る仕組みづくり。それを実現するために「最強の伴走者」として走り続けていく。

「廃棄物が出れば出るほど儲かるのではなく、資源化すればするほど利益が出る。その利益を次の循環型の仕組みをつくることに投資していく。そんな社会にしていきたいと思っています」(佐藤さん)

(文・湯田陽子


※ガイアドリームは、サステナビリティ経営に取り組む企業を表彰するBusiness Insider Japanのアワード「Beyond Sustainability2022」の環境部門にノミネートされています。ノミネート企業13社の中から受賞した4社が登壇するオンラインイベントが、2022年7月25日(月)~29日(金)に開催されます。詳しくはこちらから。

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